本日のお昼ご飯の全景。
アホだ、アホすぎる。3人(内女性1名)が食べるにしてはありえない皿数だ。総数、6皿。しかもその一皿の量がとても多い。誰だ、頼んだのは。・・・といっても、頼んだのはおかでんを除く2名、Fish兄弟に他ならないのだが。
普通、こういうときは「まあ、とりあえずこれだけ頼んでおいて、後で足りなかったら追加で注文しよう」とスモールスタートになるものだ。しかし、全くその発想、無いのだな。欲しいものがあったら全部頼んじゃえ、ということらしい。計画性が全くない。
これは今回に限らず、この後同じように何度か繰り返される「ルーティンワーク」となるので、まずはその第一弾として覚えておいて欲しい。台灣人の注文の特性のようだ。
台灣のことわざに、「吃飯皇帝大」というものがある。皇帝のように食ってやるぜ、というか、食うことは皇帝と同じように大事だ、とでもいうか、まあそんな意味だ。だから、食に対してはみんながっつり食うようだ。もちろん、「大食い」という意味でがっつり、ではなく、各自が食べられる範囲内でがっつり食ってるということだ。
日本のように、「居候、三杯目にはそっと出し」とか「武士は食わねど高楊枝」といった言葉を台灣人に伝えても、きっとそのニュアンスは伝わらないだろう。多分、「居候~」の句を台灣人に教えたら、「それは部屋を貸してあげた人の心配りが足りない。せっかく居候に来たのだから、遠慮無くおかわりさせなくては駄目だ」と言うだろう。
結局、当然のごとく食べきることなく、お食事は終了となってしまった。猪脚だけは残さないように食べたのだが。
Fishが大きな骨をお持ち帰りにしようとしていた。
「これ、家に帰って小黒(=シャオヘイ。Fish実家の飼い犬)にあげるんだ。猪脚も残ったら小黒のお土産にするから、残してもいいよ?」
とうれしそうだ。そうか、Fish家には犬も猫もいるんだったな。犬だったらこの大きな骨は喜ぶだろう。ただ、八角の臭い、犬は大丈夫なんだろうか。・・・そこは、生まれも育ちも違う犬だ、多分大丈夫なんだろうな。日本の犬だと駄目だと思うが。
お店を後にする前、お手洗いに行ってきた。その際、厨房の脇を通っていくので厨房の様子を見ることができた。厨房脇をお客がウロチョロできるあたり、日本だったら保健所から指導が入りそうだが台灣では無問題だ。
見ると、広い厨房ではあるが調理師の数はそれほど居なかった。5つの中華鍋をずらりと並べスタンバイしているコンロの前には、恰幅の良い調理師一名。猪脚コックと名付けておこう。そうか、この人だけであんないろいろな料理を猛スピードで調理しまくったのか。さすが中華。火力を制してこそだな。
台灣の一般家庭では、台所のコンロでさえ日本のものよりも強力な火力を誇る。もちろん、日本も台灣も、何らかの規格に基づいて家庭用コンロは規制されているはずだ。火事へのリスクテイクが、台灣の方が大きめにとっているということだ。火事のリスクよりも、早くて美味い料理、というわけだな。
いざお手洗いに入ってみると、トイレ関係の庶務を請け負うお店のものと思われる広告が壁に貼ってあったのだが、そこに「通水管・馬桶・抽糞池」と書いてあった。相変わらず中国語はストレートな表現になるなあ。ちなみにこの広告、ドラえもんが描かれていてどう考えても著作権侵害。権利侵害は兎も角、まさか台灣のお店のトイレでマスコットキャラを演じさせられるとは藤子・F・不二雄先生もびっくりだ。
営業時間はちょっと変則的。朝8時から店を開け、夜は7時半には締めてしまう。夕食狙いではないということだ。でも、朝から猪脚は重いな。まあ、猪脚以外のものを食べれば良いのだけど。
確かに、萬巒という集落は猪脚以外にこれといった観光資源があるわけではなく、猪脚食べたら移動となる。萬巒で一泊を考える観光客(国内・国外問わず)はあまりないと思う。となると、観光客は宿が気になる夜にわざわざここまでやってこない、ということか。
店のあちこちに、誰ですかこのオッサン、という写真が額縁で飾ってある。控えおろう、これぞ蒋介石の息子・蒋経國であるぞ。蒋経國が訪れた際に写真を撮らせて貰ったのを大事に保管しているらしい。日本では政治家がお店にやってきたことはおおっぴらにしない。なんだか秘密の会合でもやっているような印象を受けるからだ。しかし、台灣ではそうではなく、ステイタスになるようだ。まあ、ほぼ独裁政権だった時代の親分が来店したのだから、記念撮影したくなるし、飾りたくなるよな。
ちなみに、「台灣」としてはまだ総統が5人しか輩出されていない。蒋介石、蒋経國、李登輝、陳水扁、馬英九。干支のように毎年変わる日本の首相とは大違いだ。だからこそ、総統来訪はプレミアム感がある。
蒋経國の写真を見上げていたら、いつの間にかお会計が終わっていた。慌てて「ちょっと待って、お金払うから。いくらだった?」とFishを呼び止める。「いやいや、いいから」なんて言ってFishはどんどん先に行こうとするが、そういうわけにもいくまいて。わざわざ萬巒までお出迎えに来て貰って、なおかつご馳走だなんて申し訳ないにも程がある。しかも、あれだけの料理を注文したんだし。お足代、ということでおかでんが払って当然だ。というか、むしろそうさせてくれ。
「構わないって」
とFishは本当に取り合おうとしなかった。日本での「まあまあここは私が」「いや私が払います」というやりとりとは次元が違う。「おかでんが払ういわれはない」とはっきりしていて、全く取り付く島がないのだった。出たー、ここでもおもてなしの世界。
日本人にはキッツイわあ、できるだけ細かく貸し借りゼロに持っていきたい日本人にとっては、どんどん「借り」が増えていくこの現状に恐怖するしかない。この「借り」をいずれ来日するかもしれない、今回の旅でお世話になった人に対して返さないといけないわけで、そうなると一体どれだけのおもてなしをしないといけないのだろう。
うわあ・・・と思いながら駐車場に戻っていたら、兄弟が椰子の実売りのところで立ち止まっている。「椰子ジュース飲んでけー」と呼び止められたらしい。椰子の実と、ペットボトルに入った椰子ジュースの二種類が売られている。どちらも10元。「屏東名産」なんて看板には書かれているが、それは知らなかった。檳榔の木に紛れて椰子の木も生えているんだな。
Fishから、
「椰子ジュース飲む?ちなみに、10元の方はこっちの青いやつで、あんまりおいしくないんだって。で、こっちの白い方が30元で、おいしいって」
という提案があった。
「なんだ?美味い方が30元?そんなのどこにも書いてないじゃないか。ひどいなあ、10元で客寄せして、30元に誘導しようというのか」
と呆れたが、買う前に事前に店員さんから説明があり、断る事もできるのだから店には悪意がない。
「30元の方が美味い、っていうなら30元の方を選ぶなあ」と言ったら、早速Fishが30元の椰子の実をオバチャンにオーダーしていた。あ、ちょっと待った、お金はこっちが払う。些細だけど、これくらいは払わせてくれ!・・・と思って財布をあけてみたら、高額紙幣ばっかり。そんな間に、お会計が済んでしまった。ああ、またここでもお金を払う機会を逸した・・・。
30元といえば、96円。日本的感覚だと安いが、20元でペットボトル500mlの水が買える事を考えれば決して安くない。そんなドリンクを頂戴してしまうとは、有り難すぎる。別にそうする必要はないのだが、ついつい「おそるおそる」飲んでしまった。
うん、味は椰子です。当たり前だが。この何とも言えない微妙なまったり、ぼんやりした甘さが久しぶりだ。香港以来かな。日本の、くっきりした美味さのフルーツに慣れ親しんでいると、こういう「ぼんやり系」南国フルーツって何だか寸止め一本感があって楽しい。僕は珍しさから「楽しい」と思うが、まあ一般的には「そんなに美味いとは思わない」という部類だろう。スターフルーツなんてのも、微妙な味の代表格だ。
車は移動を開始した。
Fishから「次は潮州に行きます」と告げられた。
こちらはおもてなしを受けまくっていて、過剰なるご配慮を賜っている身ではある。しかし、この後何があるのか全く予定を聞かされておらず、「誘拐されている」ような気分になる。一体この後何が待っているのか、さっぱりわからない。ただ、今夜は恆春で、知り合いだという方のリゾートマンションにホームステイさせてもらうということが分かっているだけだ。この唯一の確定事項だって、未体験だし見知らぬ・言葉が通じない方と一泊せにゃならんわけで非常に不安。Fishがいるので問題は無いはずだが、全くこの先が見通せない不安たるや相当なものだ。
で、なぜに潮州に行くのか。
本当だったら、一人でバスで萬巒で猪脚を食べ、その後台鐵に乗るためにバスで潮州に向かう予定だった。一人旅の場合は、だ。しかし今回は車があるので、特に立ち寄る必要は無いはずだが・・・。
「おかでん、潮州でかき氷食べたいってメールで書いてたでしょ。それを食べにいく」
そう言われて、ようやくあっ、と気がついた。そういえばそう言うこと、書いたなあ。
潮州には、「冷たくて熱いかき氷」というなんだかよくわからない名物があるらしい。それについて、ほんのちょっとだけメールで触れていたんだった。
そのメールは、おかでんの行程表を事前にFishに送ったものなのだが、以下転記。
12:50頃萬巒→(屏東汽車客運314屏東忠心崙萬巒佳佐潮州線)→13:00潮州站
13:09 潮州站→(第139次區間車)→13:55 枋寮站<枋寮散策&しらすを食べる>
15時頃 枋寮站→(墾丁列車)→16時頃 恒春站
となると思う。
あっ、しまった、潮州で熱冷冰を食べる時間がない!困った・・・。
おかでんの頭の中では、この話はここで終了だったのだが、相手の頭にはしっかりとインプットされていたようだ。こういう「来客のニーズを汲み取る」センサー、台灣人は抜群だ。ひょうひょうとしてマイペースに見えるが、抜け目ない。
「でも、お店わかるの?」
「さあ、二人とも行った事はないので分からない」
「確か駅前の方だったと思うけどなあ・・・。」
わからんで行くのか。でも、行けてしまうあたりがすごい。潮州市街に入って、若干ウロチョロはしたものの程なく目指しているお店を発見。近くに駐車して、そのお店に向かった。
台灣の道路は、ロータリーになっているところが多い。信号が無い分ありがたいといえばありがたいのだが、道に迷いながらロータリーに突入すると頭が混乱する。慣れが必要だ。そして、赤信号でいったん停止することがないので、現在地や周囲の位置関係を確認する時間が確保できないのも、つらい。
お店に移動中、屋台が何軒か軒を連ねていた。
ホント、商魂たくましいというか、どこにでも湧いて出てくるんだな屋台って。日本だったら警察による「違法占拠」による取り締まりと、保健所からの指導のダブルパンチでそうおいそれとは店を構えられないが、台灣ではその辺りの規制が緩いらしい。
写真上は、「家傳香烤玉米」という看板を掲げている。何のことか分からないし、「串に刺さった何か」を素通りする際にちらっと見た程度ではさっぱり理解ができなかった。なにやら茶色い塊が見えた程度だ。米・・・・というからには、きりたんぽのようなものだろうか。だとしたら、巨大過ぎるし、こんがり焼きすぎだ。真っ茶色になってるぞ。
何のことかと思っていたら、「烤玉米」って焼きとうもろこしの事だったのね。うそーん、どう見てもとうもろこしに見えなかったんですが。
あらためて今写真を見直しても、やっぱりとうもろこしには見えない。とうもろこし=黄色、というイメージしか持っていない身からすると、合点がいかん。焼きとうもろこしとは、黄色と焦げ目の黒のコントラスト、この二色で構成されるんちゃうんか。
調べてみると、台灣のとうもろこしは日本で流通しているものと種類が違い、白っぽいらしい。なおかつ、このお店は「獨特沙茶口味」と謳っており、要するに沙茶醤(さーちゃーじゃん)をとうもろこしに塗って焼きましたよ、というわけだ。それで余計茶色く見えたわけだ。日本だったら醤油味と相場が決まっているが、国によって違うんだなあ。
この「沙茶醤」だが、台灣や香港でよく使われる「醤」の一種。といっても、おかでんが知ったのはFishが作った鍋だ。それが未体験の不思議な味だったので、何で味つけしたの?と聞いたら「沙茶醤」と答えた事がきっかけだ。日本では滅多にお目にかからない調味料だ。「バーベキューソース」と形容して紹介しているwebサイトもあるし、「炒め物にも鍋にもなんでもどうぞ」と万能調味料を謳っているサイトもある。原材料はよくわからんので、興味があったらぜひどうぞ。
そうだ思い出した、前日士林夜市でJennyがセブンイレブンに入った直接のきっかけって、この「沙茶醤」だったのだった。
Jennyから「台灣土産として何を買いたい?」と聞かれて、意表を突かれたおかでん。あんまり人にお土産を買って渡す性分ではないし、自分用としても邪魔くさいので何も考えていなかった。2年前の訪台時のお茶、いまだに飲みきっていないし。
そんなわけで、咄嗟に出た言葉が「沙茶醤が欲しい」というものだった。それを聞いたJennyは若干呆れた顔をしていた。何でそんな当たり前なものを、と思ったのだろう。そこで、Jennyはおかでんをセブンイレブンに連れていき、調味料棚を見せたのだった。ああ、あるある、銀色に輝く沙茶醤の容器。
Jennyは「セブンイレブンだったらどこでも手に入るよ」と言う。「でもこれは小さい缶。もっと大きい缶もある。墾丁に行けば大きい缶を扱っているお店もあるので、そこで買うといいよ」とのアドバイスだった。多分、日本に置き換えたら外国の友達が「日本土産にとんかつソースを買って帰りたい」と言うようなものなレベルの事をおかでんは口走ったらしい。
で、その沙茶醤だったが、結局買いそびれた。もうね、台灣滞在中は「ショッピングを楽しむ」なんて時間の余裕が全く無かったから。
隣の屋台は「地瓜餅」という看板を掲げていた。先を行くFishを呼び止め、「地瓜って何だい?」と聞いてみたら、サツマイモの事だという。なるほど、店頭にはへなっとした感じのパンケーキ風な物が陳列されている。あれが地瓜餅ということか。そういえば、さっき別の屋台で石焼き芋を売っていたな。この辺りはサツマイモ好きが多いのか、産地なのかのどっちかなのだろう。
まだ分からないことがある。いや、分からないことを挙げだしたらきりがないのだが、「日本人でも理解できる漢字なのに、意味不明」という文字を発見すると、とても気になる。このお店、「古早味」と謳っているのだった。さっきの石焼き芋屋台も同じ表現があったぞ。これ、何。「昔なつかしい味、っていう意味だよ」とFish。なるほど、そういうことか。
サツマイモの味は、台灣人にとって郷愁をそそられる味、らしい。一つ勉強になった。ひょっとしたら、貧乏だった時代はこの芋を主食にしていたのかもしれない。
それにしても感心するのは、バイクで買い付けにくる人たちだ。そのまますいーっと屋台に横付けして、ちゃちゃっとお会計を済ませて物を受け取り、またすいーっと立ち去って行く。ドライブスルーだ。こんなローテクなドライブスルーもありなんだな、と感心。
ただ、よく見て欲しい。今まさに地瓜餅を買おうとしているバイク、よく見ると3人乗りだぞ。女性二人乗りかと思ったら、間に小さな子供が挟まっていた。噂には聞いていたけど、実物を見ると「おお」と思う。危ないなあ、もう。
警察としてはあんまり取り締まる気はないようだ。ヘルメットはみんなきっちり装着しているので、そこは徹底されているっぽい。みんな律儀に顎ひもを締めているし。しかし、乗車定員については無頓着だ。
さっきぐるぐる回ったロータリーに面して、目指すお店があった。オープンカフェの風情で、飲食店であるということはすぐにわかる。しかしお店の看板には気がつかなかったので、日本人一人旅だと見落としかねない。現地人の同伴があってこそ訪れる事ができたお店だ。ありがたいことです。
お店の名前は「潮州冷熱冰(チャオソウレンラーピン)」という。ここが、店名の通り「冷たくて、温かいかき氷」という相反した事をやってのけるお店というわけだ。今は2月、まだ冬だ。とはいえ、気温は既に25度を突破しており、かき氷を屋外で食べるのは余裕な状態だった。開放的な客席には、若い女性を中心に結構な繁盛ぶりを見せていた。
前日、Jennyに「短パンは持ってきた?墾丁まで行くと今でも気温は30度あるよ。短パンが無いとつらいよ」と言われて仰天したのだが、いざこっちに来てみるとまあ、そんなに熱いというわけではない。ただ、Tシャツ一枚で十分な気候だ。2月なのに。
とはいえ、台灣の人たちの服装はまちまち。長袖の人が多く、25度程度だと「肌寒い」と感じているようだ。しかし、中にはTシャツの人もいて、今の季節が一体いつなのか、人の服装を見るだけではさっぱり分からない。その点、日本は気候が変われば横並びにみんな服装を変える。
店頭では、いろいろな物がボウルや鍋に入っている。しかし、それが何だかさっぱりわからない。シロップ漬けのようなものが見えるので、甘味処だな、というのはわかるが、まさかかき氷のお店とは気がつくまい。しかも、このスタンバイされた怪しい鍋・ボウルがたくさんある。何をする気だ。
どうやら、こいつらが「熱くて、冷たいかき氷」の「熱い」部分を担っているようだ。
お品書きはいろいろと書かれているが、迷ったら「綜合」と書かれている奴を選べ、という鉄則発動。いろんなモンが全部入ってますよ、という意味だ。以前九份(ジォウフェン)で芋圓(ユィーユエン)を食べた際に覚えた。
実際、よく見ると「冷熱冰」を名乗っているのは「綜合」だけだった。あぶねぇ、それ以外を食べると、単にスイーツを食べに来ただけのオッサンになってしまうところだった。なお、「綜合冷熱冰」のメニューの下に、手書きで「招牌冰」と書き加えられていた。何だろうと思ってFishに聞いてみたら、「お勧め(の氷)」という意味なんだそうだ。
あれ?このお品書き、左隅にも何か手書きの文字があるのだが、よく見ると「馬英九」と書いてある。2008年から台灣総統に就任したあの人だ。ここに来てサインしていったのか。
「ほら、写真がある」と言われ、お品書きの隣にあるボードに目をやると、確かに馬英九先生の写真が写っていた。さっきの海鴻飯店は蒋経國で、今度は馬英九か。なんだか、総統が愛したお店を巡る旅、みたいになってきたぞ。
この写真を見て気がついたのだが、天井から防犯カメラがぶら下がっていた。
さらに、店の外から俯瞰で撮った写真を見ると、至る所にうじゃうじゃとカメラがあることがわかった。
一見無防備、完全ノーガード戦法をとっているお店だが、防犯対策はばっちりだ。このギャップが不思議。そういえば、先ほどの海鴻飯店もたくさんカメラがあったなあ。
台灣、治安が悪いんだろうか。いや、でも本当に治安が悪かったらこんな店構えにはしない。恐らく、「何かあったときの為に」という保険なのだと思う。ただ、それにしてはやけにカメラの数が多いのだが。薄着の若いおねーちゃんの胸チラとか狙ってるんじゃないだろうな、と思ったが、こっちの女性はピチTを好むようで、胸元がルーズな服の女性はあまり見かけなかった。よって多分盗撮は無理。
だいたい、1杯100円ちょっとのかき氷屋を襲撃して、一体どれだけの金額を強奪できることやら。リスクと利益が釣り合わない。強盗に入るのはやめとけ。
綜合冷熱冰35元、かき氷のくせに結構待たせるじゃないか、という余裕っぷりを見せつけて登場。出てきたものを見ると、何のことはないただのかき氷だ。毒々しいシロップではない、茶色なシロップがかけられており地味な見た目。
・・・これは、さすがに「冷」だな。
まさか、触ったら「あちっ」となったら相当ショックだが、そこまで手品じみたことはあるまい。
では、「熱」はどこだ。
Fishの指示に従い、食べてみる。スプーンで底をすくって食べよ、という。どれ、この何の変哲もないかき氷にスプーンを差し込んで持ち上げてみたら・・・おお、中からいろいろな物が出てきたぞ。これが「熱」の部分なのか。
底にあったのは、先ほど店頭にたくさん並べられていた鍋の中身だった。豆類をはじめとして、いろいろなものが入っている。かき氷の玉手箱だ。
食べてみると、確かに温かい。味はあんみつ的な砂糖の甘さ。放置しておくと、どんどん氷が溶けてしまうので撮影はそこそこにしてさっさと食べないといかん。
「熱」の部分だけ食べても駄目なので、「カレーライスを食べる」がごとく、「熱」と「冷」をバランス良くスプーンに配分し、食す。
確かに風変わりな甘味だ。口の中で温度差がある。よく考えると、「温度差があるものを同時に口にする」ということはない。せいぜい、激辛の鍋を食べて、びっくりしちゃってビール飲んだりするくらいだ。あ、でもこれは時間差だな。厳密に同時っていうのは例がないかもしれない。
ただ、その温度差の妙、というのははかない。ただでさえかき氷は豆類の熱に侵食されているというのに、口の中に入れたらもう我慢の限界。ふわっと溶けて、「熱」と「冷」は融合し、「ぬるい」になるのだった。ちょっと切なくなる。
面白いんだが、絶品の美味さかと言われると「いやまあ、普通っすね」という程度のものだ。無理して潮州で食わなくても良かろう。でも、旅人というのはえてして、美味いかまずいかというのを度外視して、「その地の名物」を食べた事実そのものに満足するものだ。おかでんも、激しく大満足なのであった。
それにしても、この「熱」の具は何だろう。小豆は日本でもおなじみの食材なのですぐにわかったが、それ以外がよくわからない。その回答は、壁に貼ってある紹介文で判明。中国語で説明書きがあるのだが、その横にお懐かしや日本語の解説が。「日本亜細亜航空雜誌」と銘打たれているので、恐らく日本アジア航空(JALの系列会社。台湾便を飛ばしている)の機内誌に掲載されたものだろう。
それによると、
2時間半煮詰めた白砂糖をベースにしたオリジナルシロップで、ピーナッツ、小豆、タロイモ、モチ米、湯圓(白玉団子)などのヘルシーな食材を煮込み、アツアツのこの具の上に、シャリシャリのかき氷を載せた珍しい一品
ということだ。なるほど、知りたかった事がどんぴしゃで記載されていたぞ。どうもありがとう。ただ、「一度食べるとやみつきになりそう」と形容しているが、それはちょっと大げさだと思う。「一度食べてみる価値はあり」というならわかるが。
Fishに、「地元の人に愛されるデザートって書かれているけど、そうなん?」と聞いてみたら、「それ程でもないと思うけど」という回答だった。
ロータリーをぐるぐる回っている車やバイクを間近で見られるので、最初は面白いと思った。しかし、すぐにそれは間違いであることに気がついた。
排ガス臭い。大量に行き交うバイクの排ガスが、結構きついのだった。夏になって、今よりもむわっとした天気になったら相当気分が悪くなりそうだ。
おっと、今通り過ぎたバイクはすごいな、運転しているお母さんの足の間に、ベビーカーがそのまま乗っかっているぞ。無茶苦茶だ。「大丈夫、安全運転するから」で済まない話だと思う。子供を少しでもリスクから遠ざけるのが親としての義務だと思うのだが、この程度では「リスク」とみなさないらしい。当然、怪我なんかしても保険が下りるとは思えない。一体どういう安全管理をしているのだ、この国の人は。
視線を店内に戻すと、レジカウンターの脇に透明な筒型ボックスがあった。不要なレシートをここに入れてください、というものらしい。「救救痴老人」と書いてあるので、レシートを集めてお年寄りのために使います、という主旨のようだ。
台灣のレシートは面白い。「統一發票」といい、レシート毎に8桁の数字がナンバリングされている。これが宝くじとして機能し、2カ月に一回の抽選が行われている。政府による公的なものだ。
なぜこんな愉快な事をやっているのかというと、商店の脱税を防止したいからだ。レシートを発行するということは、お店側にも控えが残るということだ。そこから、國稅局は正しい納税額を導き出すことができる。
さすがに屋台のようなお店までは導入されていないが、このお店のようなB級グルメな店であってもちゃんとレシートは発行された。「(宝くじ機能を持つ)レシートを発行することが、競合他店よりも集客力で優位に立てる」という計算が背景にはあるからだ。また、台灣人消費者だって、当然宝くじレシートが貰える店を優先的に選択する。お金にはうるさい台灣人気質のことだ、そこはしっかりしている。
そんなわけで、今じゃ多くの店でこの公的レシートが使われているのだった。で、このお店の「不要レシート入れ」は、即ち「もしよかったら、高額配当があるかもしれないレシートをください」といっているわけだ。募金ともちょっと違う、微妙な募金だ。これだったら気軽にできるので、いいアイディアだと思う。
でも、どうせ当たらないんだろう。日本の宝くじのあたらなさっぷりを考えると、こんな無料レシートで当選確率が高いとは思えない。それを指摘したら、Fishが
「いや、そんなことはない。先日、4桁目まで当てて数千円を手に入れた」
と熱弁をふるった。日々の買物をしていたら枚数は多いし、案外まめにチェックしていたら当たる事があるらしい。
でもこれ、2カ月に1回の抽選日の後は大変だよな。それまでストックしておいたレシート、しかも番号バラバラなやつを一つ一つ確認しなくちゃいけない。どれだけ時間がかかるんだよ。ワクワクするけど、大変。
また、統一發票と関連して、台灣には「統一編號」というものがある。初日の台北でのホテル予約の際に、この入力欄があって混乱させられた。何のことかと思って調べてみたら、企業毎に割り振られる背番号だった。「納税者番号」みたいなものだ。
企業が経費を使った際、領収書にはこの「統一編號」を記入しなければならない。企業側の脱税防止、というわけだ。もちろんこちらには宝くじ機能はない。
車を駐車している所に戻っている途中、本屋の横を通り過ぎた。
本屋の店頭では、新刊本の広告が華やかに飾られていた。しかし・・・どうも見たことがあるような絵柄。「ラブひな」的だ・・・。
よく見ると「魔法老師!?neo」と書いてある。これ、藤真拓哉作「ネギま!?neo」のことだった。いや、おかでんはこんな作品があるのは知らなかったのだが。「魔法先生ネギま!?」のスピンアウト作品だろうか。「赤松健老師也大推薦!」と書いてある。
その隣も、何だか知らんが日本人作家による作品。「瀬尾公治」さんという方の作品で、「小鎮有你」だって。漫画には疎いので、この人の存在も作品も知らない。ただ、後で調べたら「君のいる町」という日本名だった。しまったぁぁぁ、舞台は広島県庄原市ではないか。我が故郷の広島なのに、完全ノーマークだった。しかも、もみじまんじゅう製造大手の「やまだ屋」がこのヒロインをパッケージにした萌えもみじまんじゅうを発売しているし。知らなかった。今度読んでみるか。北京語+繁体字で。
「魔法老師!?neo」も「小鎮有你」も一巻95元(304円)。日本よりは当然安いが、台灣物価を考えるとちょっと高めのお値段だ。
車はまた省道1号線に戻り、先へと進む。まだ恆春半島の付け根にもたどり着いていない。
進む先々で、檳榔店がある。あまりにも当たり前のようにあちこちにあるので、屏東で最初の一軒目を発見したときの興奮がバカのようだ。
しかし、こういうロードサイドにあるお店は、どこもくすんだ感じのお店。見てみたい「セクシーなお姉ちゃんが営む店」というのは全く見あたらなかった。そもそも、店頭で客引きをやっている気配すらない。
写真に写っている「一品檳榔」の店の横には、「緑化大地・浄化人生・美化環境」という大きな看板が掲げられていた。Fishに「おい、あれは何かの冗談か?檳榔とこのスローガンは大きく外れていると思うのだが」と聞いたら、「あの看板は行政が立てたもので、檳榔屋とは全く関係がない。たまたま横に屋台が出店しただけだ」ということだった。悪い冗談だ。
というのも、檳榔の木は根が浅い。よって、土壌を抱え込む力が浅く、山の斜面に植えたら土砂崩れの原因になる。実際に台灣では檳榔畑が土砂崩れを起こして問題になっている。また、檳榔を噛んだ際に出る真っ赤なつばをあちこちに吐くので、台北辺りじゃ取り締まりの対象になっているくらいだ。
道は、途中で全く何もない大草原の中を突っ切って行った。広大な景色だ。北海道を思い出させる。
「台灣の人を北海道に連れて行ったら、きっと広大な風景に驚くだろうな。雪だけが北海道の魅力ではない」
と思っていたのだが、意外にも台灣には広い平野があちこちにあるのだった。島の西側ずっと、そして南側は平野が続く。山がすぐに迫る日本よりも、はるかにまとまった平野がある。なーんだ。目論見が外れた。
それにしても雑草しか生えていないこの一帯は何だろう。牧場にしては牛がいないし、フェンスがなくて危ない。もし牛が路上に出てきたら、大事故だ。
車はここでいったん停車した。一同、下車。
「ここは軍隊でパラシュート訓練をする場所だよ」
とFishが言う。なんと、こんなところに空挺演習場があったのか。しかも、Fish弟が「ここで落下傘訓練を受けたことがある」と言う。ええ、徴兵された人も落下傘訓練する事があるのか。空挺団といえば、エリートしかなれないはずだ。何しろ、「敵陣の中に空から直接乗り込む」部隊だ。降下してはいおしまい、ではない。そこからサバイバルすることが求められるわけで、心技体全てを備わっていないといけない。すごいな、Fish弟。
台灣には徴兵制があり、男子は2年間、兵役に就く義務がある。Fishには双子の弟がいて、今車を運転してくれているFish弟(1)は既に兵役を終えて地元に就職している。そしてFish弟(2)はただいま絶賛兵役中。こんな奴らとケンカしたら、ボッコボコにされそうで怖い。基礎体力は日本人の比じゃあるまい。
うかつにFish姉さんにちょっかいを出したら、軍隊上がりの双子兄弟が「うちの姉に何をするか」と上腕二頭筋やら大胸筋をムキムキさせながら詰め寄ってきそうだ。絶対勝ち目がない。おとなしくしていよう。
演習場すぐ脇には、檳榔畑があった。近くで檳榔を見ると、確かに椰子とは似ているがちょっと違う。木の表面に、竹の節みたいな横筋が入っているのが特徴。
「こんなところに間違って落下したら、木にひっかかって大変だね」とFish弟に聞いたら、「そういう人が仲間でいた」とげらげら笑いながら教えてくれた。笑える話だが、本人は救出されるまでさらし者にされるわけで、たまったものではない。なお、Fish弟は無事着地に成功したとのこと。
演習がある時は、道路を封鎖するんだとか。そりゃそうだ、着地できたは良かったが、路上に降りてしまい車に轢かれちゃたまらない。でも、「省道1号線」を封鎖するのだから大がかりな話だ。軍事力の確保というのは台灣にとって重要な施策というわけだ。
なおこの檳榔畑の横には、パパイヤが自生していたりするのだが、その境目にはきっちりとフェンスで仕切られてあった。そのフェンスは、檳榔が生えている広大な敷地をぐるりと一周している。たかが檳榔で大げさだ。聞くと、盗人対策だという。檳榔は高級品なのだな。
檳榔畑と道路を隔てた反対側には、なにやら低い木が密集している。こちらは台灣バナナ畑。こっちに落下しても、地味にいやだ。
日本だったら、こんな平地を見つけたらまずは田んぼにして稲作を試みるが、恆春までの道中、たった一回たりとも田んぼは見つけられなかった。台湾人は何を食べて生きているんだ?米が主食ではないのか?
田んぼを作るためには土壌もさることながら、豊かな水とそれを引水するための灌漑施設が欠かせない。この辺りはあまり川がないので、稲作には向かないのかもしれない。
車は道中のセブンイレブンでいったん小休止。
店の前にはビーチパラソルと椅子が並び、一休みするには最適だ。
「ここ、海角七號のロケ地になった場所だよ」とFishがうれしそうに言う。へぇ、そうだったのか。
海角七號。台灣で2008年8月に封切りされた映画で、台灣では「タイタニック」に次いで興業成績二位を叩き出した怪物映画。台灣の停滞していた映画業界に降って湧いた明るい話題だ。
日本では「ケープセブン」という呼ばれ方をする。「海角七號」とは、日本的に訳すと「岬の七番地」となる。要するに、住所だ。日本統治下の台灣と、現在の台灣が描かれており、舞台となるのはこれから向かう恆春、そして墾丁。
残念ながら日本では公開予定がない。映画の概要はあちこちのwebサイトに掲載されているので、そちらを参照のこと。
この海角七號ブームは半年経った今でも収まっておらず、ロケ地を探し当てる「ロケ地巡りの旅」がプチブーム中なんだとか。ここも、その場所の一つ。
確かに、店の周辺にいるお客さんは、買い物客だけでなく何だか観光地的だ。セブンイレブンの前で記念撮影をしている光景は、知らない人からするととても不思議なものだ。
おかでん自身、当然この映画は見たいのだが見ていない。だから、ちょっと残念だ。
そんな「海角七號」の聖地ではあるが、店頭には「彩虹島ONLINE」というゲームらしきのぼりが立っていた。「7-ELEVEN限定活動」だそうで。
キャラデザは、のんびりしていて大きなお兄さんたちをターゲットとしているのか、子供をターゲットとしているのかよくわからない。「まだまだ台灣では萌えを理解しておらんな」とその場では断じた。
しかし、帰国して知ったのだが、これって韓国のゲームメーカーが作ったものだったんだな。しかも、日本でも展開されていて、日本名「トキメキファンタジーラテール」というMMORPG。ゲームには全く興味がないので、知らなかった。
ネットゲームがセブンイレブン独占取扱い(要するに相当な厚遇だ)されているというのはちょっと驚きだ。
この地図は「恆春半島」と銘打たれ、この先待っている恆春、墾丁などの地図と現在地が描かれている。もちろん、道中のセブンイレブンは全てプロットされてある。
ちなみに現在地、セブンイレブンは左上。これを見ると、もう半島の先端に到達したかのような印象を受けるがとんでもない。まだ半島の付け根にも到達しておりません。非常に縮尺が怪しい地図だ。ただ、恆春近辺から南はある程度正確性が増して描かれてはある。
これから向かう恆春鎮は、赤い省道を南下していって、途中道が真っ直ぐなのと迂回路が描かれているところ。湖の北だ。ここは恆春古城といって、城壁で囲まれた町なので、主要幹線道は迂回しているというわけだ。
そこから右下の岬に向かっていく海岸線が、墾丁の町。台灣を代表するビーチリゾートだ。国立公園にも指定されている。
明日、明後日はこの辺りをうろうろしようかなと考えている。
車が省道を逸れたので、何処へ行くのかと思ったら、台鐵枋寮車站だった。
何しろこっちは拉致されている立場。何が行われるのかさっぱり分かっていない。ただ、当初計画ではこの站まで台鐵でやってきて、1時間くらいで枋寮名物のしらすお好み焼きを食べて、その後バスで恆春に向かうというものだった。その「しらすお好み焼き」というキーワードがFishにはあったので、立ち寄るようFish弟に指示をしたものと思われる。
枋寮。日本語の音読みにしたとしても何て読めばいいのか、分かりそうで分からない漢字だ。「ファンリャオ」と読む。恆春半島の付け根に位置する漁港の町。台灣を一周する台灣鐵路は、ここで屏東線が終了し、台東までの南廻線がはじまる。南廻線は険しい山の連続で、全行程約100kmのうち40kmがトンネルというすさまじさだ。地下鉄みたいだ。そのため、開通したのは1991年と最も遅く、これにてようやく台灣一周の環状線ができ上がった。
もっと恆春寄りの站として、「枋山(ファンシャン)站」というのが3站先にある。
台湾最南端の站となる。最初はそこからバスに乗り換えて恆春を目指そうと画策していたのだが、地図だけで判断した机上の空論であることにしばらくして気がついた。枋山は無人駅であり、墾丁行きのバスは立ち寄らない。そもそも、南廻線は便数が少なく、「できるだけ電車で目的地に近づく」のは正解ではない。それ以前に、屏東線だって便数は少ないし、単線。
駅前、といっても取り立てて派手な建物はない。
通りには、「2009大好年 歓迎光臨」という真っ赤な横断幕が掲げられていた。
站の構内にも、正月飾りと思われる赤いぼんぼんがぶら下がっている。正月はもう終わったはずなのに、どうするんだこれ。Fishに聞いてみたら、
「正月の飾りはそのままにしておくよ。壊れるまでそのまま」
だって。なんていい加減なんだ。いい加減すぎて笑った。
改札からホームの方を見やると、出発を待つ電車・・・というか、電化されていないので列車、が停まっていた。「おー」と言いながら眺めていたら、駅員さんが出てきてわれわれに何か話しかけてきた。恐らく「乗るのか?」と言っているのだろう。ちょっとだけFish一族とやりとりがあったのち、Fishから「中入っていいって」の言葉。え、入場料なしで中に入っちゃっていいんスか。こんなところも、おおらかで素敵な国だ。
鉄道は好きだが、ホームまで行ってしげしげと眺めるほど大好きというわけではない。ただ、せっかくのご厚意なので中に入らせてもらった。どうせこの後、何の予定があるかさっぱりわからないので、目の前のでき事に集中できてかえって良い。これが、おかでん単独行だったらギッチギチにスケジュールを詰め込むので、旅先での思いがけないご厚意に応じられない事になるだろう。その点今回は「ミステリーツアー」なので気が楽だ。
月台は屏東線用のものと、南廻線用のもので分かれており、2島4面のホームになっている。そのため、改札を出たらいったん地下通路に潜り、ホームまで階段で登ることになる。エスカレーター?エレベーター?馬鹿言っちゃいけません。そんなバリアフリーは無縁だ。そもそも、台鐵の場合、ホームと列車の乗車口に大きな段差があるし。
面白いのは、ホームに通じる階段の横に、スロープがあることだった。これは一体何だろう。キャリーカートを引きずるためのものだろうか。
ホームに出ると、ちょうどそこには高雄行きの火車が停車していた。思わず、記念撮影をしてしまったが、せっかく撮影するなら車両の先頭に行けば良かった、と写真を見てから後悔。
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