おもてなし三昧な世界【台湾南部滞在】

お昼ごはん全景

本日のお昼ご飯の全景。

アホだ、アホすぎる。3人(内女性1名)が食べるにしてはありえない皿数だ。総数、6皿。しかもその一皿の量がとても多い。誰だ、頼んだのは。・・・といっても、頼んだのはおかでんを除く2名、Fish兄弟に他ならないのだが。

普通、こういうときは「まあ、とりあえずこれだけ頼んでおいて、後で足りなかったら追加で注文しよう」とスモールスタートになるものだ。しかし、全くその発想、無いのだな。欲しいものがあったら全部頼んじゃえ、ということらしい。計画性が全くない。

これは今回に限らず、この後同じように何度か繰り返される「ルーティンワーク」となるので、まずはその第一弾として覚えておいて欲しい。台灣人の注文の特性のようだ。

台灣のことわざに、「吃飯皇帝大」というものがある。皇帝のように食ってやるぜ、というか、食うことは皇帝と同じように大事だ、とでもいうか、まあそんな意味だ。だから、食に対してはみんながっつり食うようだ。もちろん、「大食い」という意味でがっつり、ではなく、各自が食べられる範囲内でがっつり食ってるということだ。

日本のように、「居候、三杯目にはそっと出し」とか「武士は食わねど高楊枝」といった言葉を台灣人に伝えても、きっとそのニュアンスは伝わらないだろう。多分、「居候~」の句を台灣人に教えたら、「それは部屋を貸してあげた人の心配りが足りない。せっかく居候に来たのだから、遠慮無くおかわりさせなくては駄目だ」と言うだろう。

結局、当然のごとく食べきることなく、お食事は終了となってしまった。猪脚だけは残さないように食べたのだが。

Fishが大きな骨をお持ち帰りにしようとしていた。

「これ、家に帰って小黒(=シャオヘイ。Fish実家の飼い犬)にあげるんだ。猪脚も残ったら小黒のお土産にするから、残してもいいよ?」

とうれしそうだ。そうか、Fish家には犬も猫もいるんだったな。犬だったらこの大きな骨は喜ぶだろう。ただ、八角の臭い、犬は大丈夫なんだろうか。・・・そこは、生まれも育ちも違う犬だ、多分大丈夫なんだろうな。日本の犬だと駄目だと思うが。

厨房の中

お店を後にする前、お手洗いに行ってきた。その際、厨房の脇を通っていくので厨房の様子を見ることができた。厨房脇をお客がウロチョロできるあたり、日本だったら保健所から指導が入りそうだが台灣では無問題だ。

見ると、広い厨房ではあるが調理師の数はそれほど居なかった。5つの中華鍋をずらりと並べスタンバイしているコンロの前には、恰幅の良い調理師一名。猪脚コックと名付けておこう。そうか、この人だけであんないろいろな料理を猛スピードで調理しまくったのか。さすが中華。火力を制してこそだな。

台灣の一般家庭では、台所のコンロでさえ日本のものよりも強力な火力を誇る。もちろん、日本も台灣も、何らかの規格に基づいて家庭用コンロは規制されているはずだ。火事へのリスクテイクが、台灣の方が大きめにとっているということだ。火事のリスクよりも、早くて美味い料理、というわけだな。

化粧室の表示
通水管・馬桶・抽糞池

いざお手洗いに入ってみると、トイレ関係の庶務を請け負うお店のものと思われる広告が壁に貼ってあったのだが、そこに「通水管・馬桶・抽糞池」と書いてあった。相変わらず中国語はストレートな表現になるなあ。ちなみにこの広告、ドラえもんが描かれていてどう考えても著作権侵害。権利侵害は兎も角、まさか台灣のお店のトイレでマスコットキャラを演じさせられるとは藤子・F・不二雄先生もびっくりだ。

営業時間はちょっと変則的。朝8時から店を開け、夜は7時半には締めてしまう。夕食狙いではないということだ。でも、朝から猪脚は重いな。まあ、猪脚以外のものを食べれば良いのだけど。

確かに、萬巒という集落は猪脚以外にこれといった観光資源があるわけではなく、猪脚食べたら移動となる。萬巒で一泊を考える観光客(国内・国外問わず)はあまりないと思う。となると、観光客は宿が気になる夜にわざわざここまでやってこない、ということか。

蒋経國

店のあちこちに、誰ですかこのオッサン、という写真が額縁で飾ってある。控えおろう、これぞ蒋介石の息子・蒋経國であるぞ。蒋経國が訪れた際に写真を撮らせて貰ったのを大事に保管しているらしい。日本では政治家がお店にやってきたことはおおっぴらにしない。なんだか秘密の会合でもやっているような印象を受けるからだ。しかし、台灣ではそうではなく、ステイタスになるようだ。まあ、ほぼ独裁政権だった時代の親分が来店したのだから、記念撮影したくなるし、飾りたくなるよな。

ちなみに、「台灣」としてはまだ総統が5人しか輩出されていない。蒋介石、蒋経國、李登輝、陳水扁、馬英九。干支のように毎年変わる日本の首相とは大違いだ。だからこそ、総統来訪はプレミアム感がある。

椰子の実青いやつ10元
椰子の実白いやつ30元

蒋経國の写真を見上げていたら、いつの間にかお会計が終わっていた。慌てて「ちょっと待って、お金払うから。いくらだった?」とFishを呼び止める。「いやいや、いいから」なんて言ってFishはどんどん先に行こうとするが、そういうわけにもいくまいて。わざわざ萬巒までお出迎えに来て貰って、なおかつご馳走だなんて申し訳ないにも程がある。しかも、あれだけの料理を注文したんだし。お足代、ということでおかでんが払って当然だ。というか、むしろそうさせてくれ。

「構わないって」

とFishは本当に取り合おうとしなかった。日本での「まあまあここは私が」「いや私が払います」というやりとりとは次元が違う。「おかでんが払ういわれはない」とはっきりしていて、全く取り付く島がないのだった。出たー、ここでもおもてなしの世界。

日本人にはキッツイわあ、できるだけ細かく貸し借りゼロに持っていきたい日本人にとっては、どんどん「借り」が増えていくこの現状に恐怖するしかない。この「借り」をいずれ来日するかもしれない、今回の旅でお世話になった人に対して返さないといけないわけで、そうなると一体どれだけのおもてなしをしないといけないのだろう。

うわあ・・・と思いながら駐車場に戻っていたら、兄弟が椰子の実売りのところで立ち止まっている。「椰子ジュース飲んでけー」と呼び止められたらしい。椰子の実と、ペットボトルに入った椰子ジュースの二種類が売られている。どちらも10元。「屏東名産」なんて看板には書かれているが、それは知らなかった。檳榔の木に紛れて椰子の木も生えているんだな。

Fishから、

「椰子ジュース飲む?ちなみに、10元の方はこっちの青いやつで、あんまりおいしくないんだって。で、こっちの白い方が30元で、おいしいって」

という提案があった。

「なんだ?美味い方が30元?そんなのどこにも書いてないじゃないか。ひどいなあ、10元で客寄せして、30元に誘導しようというのか」

と呆れたが、買う前に事前に店員さんから説明があり、断る事もできるのだから店には悪意がない。

「30元の方が美味い、っていうなら30元の方を選ぶなあ」と言ったら、早速Fishが30元の椰子の実をオバチャンにオーダーしていた。あ、ちょっと待った、お金はこっちが払う。些細だけど、これくらいは払わせてくれ!・・・と思って財布をあけてみたら、高額紙幣ばっかり。そんな間に、お会計が済んでしまった。ああ、またここでもお金を払う機会を逸した・・・。

恐縮しながらやしジュースを飲む

30元といえば、96円。日本的感覚だと安いが、20元でペットボトル500mlの水が買える事を考えれば決して安くない。そんなドリンクを頂戴してしまうとは、有り難すぎる。別にそうする必要はないのだが、ついつい「おそるおそる」飲んでしまった。

うん、味は椰子です。当たり前だが。この何とも言えない微妙なまったり、ぼんやりした甘さが久しぶりだ。香港以来かな。日本の、くっきりした美味さのフルーツに慣れ親しんでいると、こういう「ぼんやり系」南国フルーツって何だか寸止め一本感があって楽しい。僕は珍しさから「楽しい」と思うが、まあ一般的には「そんなに美味いとは思わない」という部類だろう。スターフルーツなんてのも、微妙な味の代表格だ。

車は移動を開始した。

Fishから「次は潮州に行きます」と告げられた。

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