おもてなし三昧な世界【台湾南部滞在】

月台の電光掲示板

10時36分発の426号台北行きに乗る。400番台なので、要するに「各駅停車で台北(もしくは左營)まで行くぜ」という列車だ。

426号台北行き

国際空港の最寄り駅なのに、速達列車は素通りされてしまうというのはなんとも変な話だが、桃園站の写真を見るとそれも納得する。驚くべき田舎なのだった。田舎、というか回りに何にもない。日本では新幹線駅でいわゆる「政治駅」と呼ばれるものが何カ所かあるが、この桃園駅ほどすごいところはなかなか無いと思う。

売り子さん

さて、われわれが乗った高鐵は台北に向けて動き出したのだが、金曜日の午前便だというのにほどよく混んできた。台南で結構人が乗りこみ、台中ではほぼ満席状態。結構な繁盛だ。その乗客の中には、みかん箱みたいな段ボールに荷物を詰め込んで背負ってきている行商人チックな人もおり、なかなかワイルドだ。

ただそうはいってもここは台湾一のハイソな路線。ほら、前方から車内販売がやってきたよ。

車内販売をするのはなんとお兄さんだった。女性の仕事、と勝手に思いこんでいたのでこれは意外だった。そうか、そりゃそうだよな、男性がやっても全然違和感がない。でも、日本だと女性がやる仕事なんだよなあ。キオスク店員も女性限定だし、ヤクルトレディも女性だし、案外「男性にはやらせてもらえない」男女差別ってこの世の中には存在する。

車内販売で特に買うものはない。手元には、Fish母から「車内で食べなさい」と渡された蓮霧をはじめとするフルーツがどっさりだ。これを早く食べてしまわないと、国内には持ち込めないので大変。・・・と、販売員のおにーさんをスルーしようとしたら、あれれ、あのワゴン、駅弁が積んであるぞ。

そうだった、お昼時と夕方になると、駅弁を売っているんだっけ。便数限定の、高鐵弁当。ちょうど今乗っている便では車内販売で駅弁を売っているのだった。うわ、欲しい。おなかは空いていないが、正直欲しい。

「Fish!写真を撮ってくれ!」と、通路側に座っていたFishにお願いする。しかし、間に合わずに素通りした後になっての写真になってしまった。何だか隠し撮りだ、これだと。

駅弁を食べるおじさん

われわれの席の斜め前方では、駅弁を見事ゲットし、ホクホク顔で(実際は顔が見えていないので想像にすぎないが)開封しているおじさんがいた。ええのぅ。

「写真撮らせてもらおうか?」とカメラを持つFishが立ち上がろうとしたが、さすがにそれは何だか恥ずかしいので制止した。Fish、なんてフットワーク軽いんだ。「すいません、弁当が珍しいので写真撮らせてください」「ああ、どうぞ」なんて会話、台湾では普通にあり得るのか?

高鐵弁当はぜひ欲しかったが、手元が蓮霧で溢れかえってるし、飛行機に乗ったら機内食があるし、弁当を日本に持ち込むと検疫上アウトだし、食べる機会が皆無だ。残念残念。

ちなみに台灣では、「美味い弁当」として名高い「池上弁当」というのがある。名前からして、日本統治時代の名残を感じさせるが、台灣一の呼び声高いんだそうだ。しかしこの池上弁当、食べられるのは台東の方。美味なる米の産地だからだそうだが、さすがに台東には滅多な事が無い限り行く機会は無い。死ぬまでにあと数回は台灣に行くことがあるかもしれないが、一生食べられないかもしれない。

車窓からの風景

車窓からの風景は実に単調でつまらない。

日本の新幹線だって田園風景の中を疾走するのであまり楽しくなく、せいぜい野立て看板を眺めるくらいしか楽しみはない。しかし、途中で富士山がありますとか、工場があったり町があったり、そこそこ楽しめる作りになっている。野立て看板だって、「777って何だ?」なんて考えると面白い。しかし、高鐵は本当にストイックなまでに何にもないところを走るのだった。さすがの外国人旅行者のおかでんでも、この光景にはワクワク感を維持できなくなり眠たくなった。

以前、「台灣の人が日本に来たらやっぱり北海道の雄大な自然を見せるべきだな。遠くまで広がる平野なんて見たら、小さな島国の台灣人はびっくりするぞ」と考えていた。しかし今回の台灣訪問で完全に認識が改まった。台灣、平野だらけ。しかも人口密度がそれほど高くなく、雄大な平野はまだまだいっぱいだ。

高鐵桃園站

高鐵桃園站に到着。高雄(左營)から1時間ちょっとなので、近い近い。コンパクトな国はこういうところが便利だ。花蓮や台東などの東部地区に住んでいない限りは、国際空港に行くまでの距離と時間はあまり気にならない。

桃園站は地下ホームになっている。なぜこんな荒野のような場所なのに地下に潜ったのか、分からない。山があるわけでもなし、地上はビルが林立していて場所がありません、というわけでもなし。何だか、「いやあ、地下に駅作ったらカッチョイイと思ったので。」くらいにしか考えていないように見える。でもそんなバカな話はないので、きっと理由はあるのだろうが。

ホームドアの設置はない。台北站だけだろうか?そのかわり、黄色い線を越えて足を踏み入れると、猛烈に駅員さんから笛を吹かれるという、人力ホームドアではある。

運転席に通じるドアがない

「あれっ」と思ったのは、最後尾車両の1号車。車掌室(運転室)に入るドアが存在しないのだった。日本の700系と全然違う。車掌さんは編成真ん中に車掌室があるので、そこに乗車するので使わないようだ。で、先頭車両の運転手は、1号車のデッキから乗り込む事になる。結構あれこれ改変しているんだな。日本のものをそのまま輸入しちゃえば、改造費があまりかからなくて済んだだろうに、台灣の鉄道習慣とは相容れなかったのだろう。

無駄にデカい桃園站
自動改札
自動精算機

左營站同様、この站も非常に大きい。というか、無駄にでかい。左營は台鐵新左營站との接続があるし、MRT站もあるのでまだ良いが、この桃園站は高鐵のみだ。こんなに大きくしなくても良いだろうに、と呆れる。田舎に作ったこともあり、土地には困らなかったんだろうが・・・でも、今じゃ借金返済に首が回らない状態なんだから、初期投資に金をかけすぎたとしかいいようがない。

ただ、そういう懐事情を気にしなければ、ガラス張りで高い天井の建物はとても近代的な雰囲気で格好がよろしい。台灣の人たちはさぞや誇らしいだろう。

さすが国際空港の最寄り站だけあって、自動改札の幅が広めにとってある。スーツケースを運びやすいようにするためだろう。

直通 桃園機場のバス乗り場

この站から桃園國際機場への直通バスに乗るわけだが、乗り場を探す必要なんて全く無かった。もう、駅前たって何もややこしいことがない。「←機上巴士」という案内に従って站を出れば、そこに緑のバスが待ちかまえている。どうも台灣のバスターミナルというのは、縦列駐車ではなく、斜め駐車がスタンダードのようだ。おかげで、バス前部の行き先表示がよく見えてよろしい。705系統、「直通 桃園機場」というバスを目指す。というか、それ以外のバスなんて停まっていないのだが。

このバスの他にも、ここから台鐵桃園站に行く無料巴士が出ているようだ。高鐵の站はどこも辺鄙なところにあって、站から降りても途方に暮れるありさま。だから、あちこちの站では「市街地まで無料巴士が出ています」というサービスをやっているらしい。そういうコストも高鐵が背負っているのだから、大変なこっちゃ。

チケットを買う

さて、乗車券だが、前払いだ。バス乗り場の前にカウンターがあり、職員さんが常駐しているのでそこできっぷを買えばよい。お釣りも多分でるので、安心だ。台灣のバスはお釣りが出ない事で有名なのでドキドキするが、ここは大丈夫。

お一人様30元の乗車券

お一人様30元の乗車券を購入し、バスに向かう。

ダイヤが濃い

時刻表を見ると、相当多頻度で運行されていることがわかる。10分~15分間隔だ。飛行機がもう出るんだけど、バスが来なくてやべぇぇぇぇ、ということはあまり心配しなくて良さそうだ。あと、桃園站でトイレに行っている間にバスが行ってしまい、次のバスは1時間後です、なんて事もない。さすがだ。日本の地方空港連絡バスなんかとは訳が違う。当たり前だが。

なお、現在はバスのみだが、いずれは「桃園機場捷運」というMRTができる予定。台北車站~桃園國際機場~高鐵桃園、というルートになる。今まではバスかマイカーでしかアクセスできなかった陸の孤島空港だが、これで相当便利になるだろう。

バスの中

バスは普通の乗り合いバス風だが、トランク置き場が広めに確保されているのが特徴。なお、トランク置き場の事を中国語では「行李放置区」と書くと知って妙に感心した。

感心しつつも、手元にあるプチトマトや蓮霧とまだ格闘中。食べても食べても減らないんですが、Fishお母様。一人頭ビニール袋まるまる一杯、だもんな。カリウムたくさん摂取したので、相当トイレが近くなりそうな予感。血圧は下がるだろうが、糖分取りすぎで血糖値は上がりそう。

空港の看板

あまりに何にもなくてあぜんとするような平野を走り、空港を目指す。こんなに何もないのは六ヶ所村くらいじゃないか、というありさまだった。記憶が誇張されているだけかもしれないが。

20分もしないうちに、もう空港だ。15分くらいから航空関係の施設が見えてくるので、感覚的にはあっという間だ。バスは第二ターミナル→第一ターミナルの順に停まるので、日本行きの便が出る第二ターミナルは最初だ。降りる準備をとっととしないといけない。

第二ターミナル(第二航廈)に発着する航空会社一覧が路傍の看板で表示されていたが、なかなか面白かった。NHが全日空、JLが日本航空くらいは知っているが、それ以外のIATAはあまり知らないし、ましてや漢字で書くとどうなるのかも知らないからだ。

せっかくなので書き取ってみた。

第二航廈 Terminal2

長榮 BR →台灣のエバー航空(長榮航空)。成田-台北便は全便全日空とコードシェアしたり、マイレージを共通化するなど、全日空と仲が良い。だが、いまだにスターアライアンス入りさせて貰えていないのは中華民国という国の生い立ちのせいだろうか。安全な航空会社として評価が高い。

華航 美・加・濠・日本航線 CI →台灣のチャイナエアライン(中華航空)。台灣のフラッグキャリアなので桃園での便数が多く、方面毎でターミナルをわけている。アメリカ(美国)、カナダ(加国)、オーストラリア(濠太剌利)、日本路線は第二ターミナル。ご存じ、「時限爆弾飛行機」。ほぼ4年おきに重大インシデントを起こすと言われ、しかもそれが爆発炎上とか、墜落などとしゃれになっていない。前回が2007年、那覇空港での大爆発だったので、次回2011年にぜひジンクスを崩したいと気合いが入る。李登輝から「チャイナなんて名前を冠するから落ちるんだ」と嫌味を言われた事もある。CAは奇麗で機内食は旨いとの噂。

立榮 B7 →台灣・エバー航空の子会社、ユニエアー(立榮航空)。国内線中心。台北-高雄を主要路線としていたのだが、高鐵開通により全面撤退という大変に気まずい状態に。今では専ら金門や馬公といった離島路線がメイン。

全日空 NH →説明不要。漢字二文字にはならなかったのか・・・。2008年4月までは、子会社のエアーニッポン(EL)が台北便を運行していた。中国様の圧力があったため、全日空そのものが運行をするのは控えていたのだが、今では晴れて全日空本体が運行している。

港龍 KA →香港・キャセイパシフィックの子会社、香港ドラゴン航空(港龙航空公司)。中国との直行便が無い台灣は、中国に行く際は専ら香港経由となる(2009年2月時点)。

荷航 KL →オランダのKLMオランダ航空。正確に言うと、KLMアジア航空。これも中国様の圧力により、台湾便は別会社使用にしなければいけなかった為。でも、その実体は尾翼の会社マークを消しただけで、別会社ではないらしい。なんじゃそりゃ。

西北 NW →アメリカのノースウェスト航空。そうか、漢字で書くと「西北」になるのか!新鮮な驚きだ。デルタ航空と2008年に「倒産した会社同士で」合併し、デルタが存続会社となった。そのため、NWという会社名はいずれ消滅する予定。

帛琉 GP →パラオトランスパシフィック航空。聞いたことがないと思ったら、台北-パラオ便のみの運行らしい。

韓亞 OZ →韓国・アシアナ航空。大韓航空と並んで日本の地方空港の国際線の顔。路線図を見ると、呆れるくらい地方空港から仁川国際空港にストロー効果で人が吸い上げられているのが分かる。大丈夫か、日本。

新航 SQ →シンガポール航空。マイル修行のために成田~シンガポールを往復する人が多いと聞くが、相当な苦労だろう。ただ、SQのサービスは素晴らしいので快適な空の旅。

聯合 UA →アメリカ・ユナイテッド航空。そうか、漢字は「連合」なんだな。スタバのコーヒーが飲めるエアラインだが、アルコールは一杯6ドルもお金を取るので要注意だ。というか、6ドルもするならさすがのおかでんでも飲まない。LCCみたいだ。

日航 JL →JALですな。中国様の圧力をごまかすために、わざわざ台北便専用に日本亜細亜航空(BL)という会社を立ち上げた苦労人。2008年4月よりJLにて運行。最近の新聞を広げると、この会社の話題は資金調達が・・・とか、労働組合との調整が・・・とか、路線撤退・・・というのばっかり。何か景気の良い話題はないのかね。

印航 AI →インドのエア・インディア。実は国営企業。機内食のインドカレーは相当に美味いという噂。ただ、食事中は相当カレーの臭いが機内に充満しそうだな。

桃園国際空港の中1
桃園国際空港の中2

Fishはチャイナエアでの日本行き、おかでんはエバー。Fishがチャイナのチェックインカウンターで、重量オーバーとなったスーツケースからパイナップルケーキを手荷物に移し替えている間にこっちは楽々終了。しかもこっちはネットで事前チェックインと座席指定が済んであるので早い早い。

為替

その間に、余った台灣元を日本円に戻しておく。結局、3,000元近く(=約1万円)も余らせてしまった。いや、それもこれも台灣の皆様のお世話になった証。あらためて感謝したい。

次回台灣に訪れるのが全くの未定なので、1万円相当を台灣通過で眠らせておくのはもったいないので換金した。しかし後で考えれば、Fishにこの台灣元を売れば良かったんだな。対価は日本円にして。そうすりゃ、双方、両替屋の為替手数料分得をしていたんだった。惜しいことをした。

さて、Fishと合流後出国審査。Fishはもう搭乗時間が迫っていたが、おかでんはFishの便に合わせたため、まだ1時間半くらいの余裕がある。しばらくうろうろすることにした。

キティちゃんがお出迎え

目についたのは、なにやら怪しいキティちゃん。「どうぞいらっしゃいませ」と手をさしのべている。なんだ?ラウンジの案内っぽい。キティちゃんといえば、エバー航空だな。その後ろには、すらりとした美人CAの写真でシンガポール航空がラウンジへ御案内している。ううむ、この差は凄い物がある。6頭身と、3頭身。シンガポール美人も悪くないが、おかでんとしてはこういう二次元ものに理解を示す台灣の方が性にあっている。

「牛肉麺」のネオン

桃園國際機場第二ターミナルを利用したことがある人なら、誰しもが知っているであろう「牛肉麺」のネオン。吹き抜けの階上にあるのだが、結構目立つので100%目にとまる。

今回も、あらためて目にとまったのでわざわざ見に行った。

カフェテリア方式のお店

お店の様子。カフェテリア方式になっていて、小皿に盛られた好きな料理を選んで行くことができる。これだったら漢字が読めなくても、料理名を知らなくても安心。

小菜

小皿ということもあって、結構な盛りだ。いいなあ、こういうのを酒肴としてぐいぐい飲みたいなあ。

写真右のお皿のところには、「小菜(appetiser)」というシールが棚に貼ってあった。これで一皿60元(約192円)。空港にしては良心的な価格だと思う。もっとも、台灣人から言わせれば「たっけぇぇぇ」と不満そうな声をあげそうだが。

なお、麺を頼むと200元(約640円)なのでそれなりの値段になる。我が愛しの啤酒は120元(約384円)。ミネラルウォーターが70元(約224円)であることを考えると、水飲むくらいなら啤酒飲もうや、という気になる。でもさすがに空港なので高い。

このお店、日本円での支払いもできるようだが、1元=4円で換算されているのでレートが悪い。できるだけ元を余らせておいて、元で支払った方が得。・・・といっても、この後飛行機に乗って、機内食が待っているというのにここでがっつり食事をする人ってどれだけいるのだろう?

なおこのお店、因縁のサバヒースープも売られていたのだが、さすがに手をだすのはやめておいた。

SK-II

Fishのところに戻ってみると、Fishは免税品店で店員さんを従えて長考中。何を悩んでいるのかと思ったら、SK-IIの化粧品を買おうかどうしようか悩んでいるのだった。横にぴったりと付く店員さんは、「今なら消費券を使えば5%引きですよ」「免税店なので、定価の35%引きで買えるんですよ」と熱心にお奨め中。

Fish思案中

そこに割ってはいるおかでん、「でもさあ、定価なんてあってないもんじゃん。楽天なんかで安い店探せば、送料込みでも免税品店より安いんじゃない?楽天だったらいつでも買えるし」なんて商売の邪魔をしてみる。

消費券使えます

結局、Fishは買うのをやめた。実際、SK-IIに関しては楽天でギリギリ免税品店よりも安い店があったので、営業妨害した甲斐があったってものだ。そのかわりFishはSHU UEMURAの化粧品をご購入。化粧品にはとんと疎いのだが、日本のブランドを台灣で買うと安い、というのは何だか面白いな。

チャイナエア

Fishをチャイナエアの搭乗口まで見送る。第二ターミナルはHの形をしており、チャイナエアとエバーとではそれぞれ対極の位置に搭乗口がある。相当歩く事になるのだが、まあいいや。時間はまだある。

汽車購買指南

まだこちらの搭乗まで1時間ほどあるので、ぶらぶらとターミナル内を歩く。

本屋を覗くと、店頭にはホンダのFITの写真が。「汽車購買指南」とかいう本と、あともう一つ。いずれも車の本のようだが、表紙に全く同じ商材を使っているのは大変に紛らわしい。メーカーから車借りてきて、どこか風光明媚なところで奇麗な写真でも撮ればいいのに。

フィットは2008年10月から現地生産が始まったらしいが、2009年2月になって車雑誌の表面を飾るってちょっと妙なタイミングだ。てこ入れ、ということだろうか。

台灣生啤酒

Fishを見送っている最中、途中に非常に気になる横断幕を発見していた。

Fishには何も言わずそのまま見送ったが、お別れをしたあとは即座にその場所に移動だ。何がって、そこは軽食コーナーがあるスペースなのだが、「台灣生啤酒」の横断幕があったのですよキミィ。「上青的滋味 台灣生啤酒」だって。いい表現だね、「滋味」だってよ。いやもう、全く賛同ですよ。

特にこのコーナー専用に作られた横断幕ではない、汎用的なものなので「車に乗るなら酒飲むなよ」という標語は全くの無意味だが(このエリアにいるやつで、飲酒運転する人は100%いない)、まあそれはおいといて。

正直、今この時点でビールを飲む必然性なんて全くなかった。機内でビール飲めばいいじゃないか、それだったら無償だ。

しかし、しかしだねキミィ。台灣啤酒の「生」が飲めるなんてことは飛行機内であり得るか?あり得ないだろ?そして、日本でも多分そんなものは飲めない。となると、今ここで飲んでおかないと一生後悔するかもしれん、というわけだ。本当にあんまり飲む気はしなかったのだが、まあ、飲むだけ飲んでおこうと思い立った。

生ビールをたしなむ大人たち
生ビール!

しかも勇気づけられたのが、テーブルでは4人のオッチャン達がジョッキを傾けていたということ。日本人か?と思って近づいてみたら、台灣人(中国人かも?)だった。おお、生ビールを愛する心は国境を越えた。ならば俺も飲む。

店頭には、バーやビアホールにありそうな、ラベル入り生ビールサーバーが据え付けてあり客引きの役目を果たしていた。素晴らしい。しかし、ラベルを見ると国内向けのものではなく、海外輸出向けのものだった。あれっ。・・・ああそうか、既にここは国内じゃないからな。

生ビールサーバーの前には店員さんは常駐していないので、その他のメニューを受け付けているカウンターで注文。「台灣啤酒、1つ」と注文したが、「生」であることをどう伝えてよいかがわからない。そのままだと、缶ビールが出てきてしまう。仕方がないので、「ドラフト!」と叫んだら、なんだか通じた。

台灣生啤酒、160元(約512円)。うわ、空港物価だとはいえ、すげえ高い。一体どれだけ利益を積んでいるんだこの店は。・・・まあ、仕方がない。需要と供給がうまいことバランス取れているのだろう。

ただこちらは極限まで台灣元を日本円に戻してしまった後の状態。予定外の出費に対して、クレジットカード払いとなってしまった。アホくせぇ。こうなることが分かっていたら、もう少し台灣元を残していたのに。

台灣生啤酒

で、いただいたですよ台灣生啤酒。

つまみもなにもなく、単に啤酒だけ。メニューを見ると「台灣生啤酒組合(Taiwan Draft Beer Combo)」と書かれていたので、何かスナックが少量つくのかと思ったが、いやいやそんなに甘くないですぜ旦那。そりゃまた別料金でさぁ。

クレジットカード払いにしてまでも買って飲んだ生啤酒。美味いか?というと・・・いや、正直言うとあんまり美味くなかった。つまみがないから後半しんどくなってきたのは兎も角として、前半からしていただけない。写真見ての通り、泡が全然ないのだった。これじゃ、缶ビールをグラスに注いだのと変わらないよ。この店の人は美味いビールというのを知らんからこういう注ぎ方をしちゃうんだろうな、怪しからんと一人納得いかない日本人となった。

ここにもキティちゃん

さっきから見かけていたキティちゃんのパネル、何かと思ったらこれだった。小さな子供が遊べるスペース。すげぇな、上級会員様向けにラウンジがあるのは当然だが、お子様にもこういう部屋があるとは。

キティジェット

そろそろ時間なので搭乗口に移動してみたら、自分の乗る飛行機がキティジェットだった。ここでもキティか!

エバー航空の機内食

飛行機は無事離陸し、台灣の地を後にした。

さあ、この旅行、最後の食事だ。機内食出てこいや。

出てきたのは、こんな料理。丸いパンがちょこんと載っている。

「HELLO KITTY」の文字

おや。こんなところにも・・・

機内食1

フォークナイフ及びナプキンが入っている袋の柄にも、「HELLO KITTY」の文字が。細かいな。記念に持って帰る人っているのだろうか?

機内食2
機内食3
機内食4

機内食。

鶏肉を甘辛く炒めたものと、ポテトと、温野菜がメインディッシュ。その他、ピクルスと、フルーツと、デザート。おいしく頂きました。今回の訪台はエバー航空を使ったが、手堅いサービスと機内食で満足度高かった。多分日系航空会社を使うと、より手堅いんだろうが、機内食が真面目すぎてワクワク感が足りないと思う。やはり、外国のエアラインの方が楽しい。

台灣啤酒

そうそう、忘れちゃいけない台灣啤酒。こちらは当然「生」ではなく「缶」。高度が高いので泡だらけ。この泡がさっきのジョッキの中に入っていれば良かったのになあ、と思いつつぐびりと飲んだ。でも泡ばっかりが口の中に入った。

以上、おかでんの台灣旅行記でした。今回4泊5日で台灣を旅したが、一人旅の体裁ではあったものの結局全日において台灣の方々のお世話になりっぱなしだった。本当にありがたいことだ。以前から台灣の人は世話を焼きたがる、とか人と分け隔て無く付き合う、という話は聞いていたが、ここまで積極的に旅人に関与してくるとは思わなかった。すごいメンタリティだ。日本人も昔はそういう部分があったとは思うが、次元が違う。

ただ、ありがたいとはいえ、日本人からするとその善意が重たく感じるのも事実。このあたりが、文化の違いというところで面白い。おかでんは今回善意を受ける度に、「貸し借りはできるだけ作りたくない」とその場で何とかしようとしたが、なすすべがなかった(取り合って貰えなかった)。それは結構辛いものだ。だから、当初この連載のタイトルは「おもてなし地獄の日々」にしていたくらいだ。しかし、このタイトルを見たFishが、「地獄ってどういう意味?」とむっとして聞いてきたので、あーこりゃ誤解を招くな、と気付いて「おもてなし三昧」に表現を直している。「地獄」というのは、言葉通りの地獄という意味の他に、もう少しコミカルな、「やめてくれー」というニュアンスもあるのだが、さすがにそれを台灣の人に汲み取ってもらうのは無理がある。「台灣でひでぇ目に遭った」とおかでんが言ってやがる、と誤解されても困るので、「三昧」にした。

旅行から帰ってきて一週間は、台灣でのでき事を思い出して、うなされる毎日だった。情報量が多すぎたのだろう、夢をたくさん見ることで、だんだん頭の中で情報が整理され、過剰な情報は削除されていったのだと思う。10日くらいが経過した時点でうなされる事はなくなった。今では良い想い出になっている。

本当は、5月のGWを使って台中を起点に紹興酒の里「埔里」、廬山溫泉、嘉義、阿里山、関子嶺溫泉、台南と6日くらいの旅をする計画を立てていた。しかし、飛行機が確保できずリタイア。当分先送りの予定。

まあ、今後も台灣とのつきあいは続くと思う。物価は安いし、人はいいし、料理はおかでんの口にあっているので時折訪れることもあろう。そのためにはもう少し言葉を覚えないといかん、と思っているところ。

そうこうしているうちに、今年8月にFish母と妹が来日だって。立山黒部に行きたい、というリクエストがあったらしいので、宿やら交通機関やらスケジューリングなど全てセッティング。おもてなし三昧の仕返しをしないと。すげぇ出費になるけど。

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