屯田兵になろう【北海道ハタケ仕事1】

生ラムジンギスカン・焼き野菜セットが我々のテーブルに届けられた。さあ盛り上がってまいりました。これで3人前。

「焼き野菜」といっても、さすがに既に焼かれた野菜がお皿に盛られているというわけではない。当たり前なのに、なんでわざわざ「焼き野菜」というメニュー名にしたのか、不思議。

「生ラム」という言葉につられて「生野菜」って表現にすると、なんかサラダ的なものと勘違いされそうだからなんだろう。サンチュとか出てくるんじゃないかしら?なんて勝手な期待したり。大丈夫だって、そんな間違いは普通ならしないから。

「焼き」を名乗る野菜どもを肉と一緒にガンガン乗っける。4人が一度に食べはじめるとなると、序盤の鉄板は大騒動だ。これが焼肉大会中盤になると平和になりみんな譲り合い精神を身につけ始める。そして終盤では、「誰も手をつけなかったために炭化してしまった肉や野菜」がこびりつくことになる。つくづく栄枯盛衰じゃのう。

で、鍋奉行ならぬ「鉄板奉行」ってのもやっぱり存在するわけだが、どさくさに紛れて「清掃担当者」という役割を担う人がいることも忘れてはいけない。鉄板が焦げ出すと、その焦げを箸やらへらでこそげ落とすのを生きがいとする人。

さて我々だが、生ラムを食べて一同にっこり。

「ようやく北海道に来た、って感じになったね!」

仲間のこの一言に、一同が笑った。本当にそうだ。空港からそのまま農作業直行だったもんな。

全国を転々とするビジネスマンならともかく、首都圏にとどまってデスクワークをやっているような僕からしたら、北海道は「観光地」以外の何者でもない。北海道に来て、観光以外の事をやるなんて想像したことすらなかった。それが農作業だもんなぁ。いや、農作業だって、「お手伝いを2日間やるだけ」なので観光のようなものなんだけど。

せっかくだからジンギスカン以外のものも焼いてみよう、ということで選ばれたのがこのぐるぐるソーセージ。

もしこれが同じ量であっても、ポークビッツサイズのものがたくさん・・・だったら頼もうとは思わな買ったと思う。「ぐるぐる巻き」という見た目インパクトの勝利だ。

インパクト勝利といえば、縁日屋台の「トルネードポテト」ってのもそうだよな。今ふと思ったけど。あれ、大した量がない割にはお値段高めだけど、形が珍しいから結構買う人いるんだよな。

「5月のおすすめ」という特別メニューがあったので、そこからも何かを頼んでみることにした。やっぱり気分は「農」だったので、アスパラガスなんぞを。

ジンギスカンって、かなりストイックな食べ物だよな。肉はひたすら羊肉だし、野菜といえば基本はキャベツともやしだ。今回のセットには彩りとしてカボチャが入っていたけど、せいぜいその程度だ。

焼肉屋に行って、「今日は牛ロース以外食べちゃダメだぞ。焼いて良い野菜もナスとピーマンだけだ」と言われたら、そりゃあ暴動モンだろう。もっといろいろ食べさせろ、と。タンはせめて許してくれ、とかハラミは内臓肉の部類なので牛ロースと別扱いにしてくれ、とかいろいろ文句を言われるだろう。でも、何故かジンギスカンに関しては、ひたすらみんなストイックにシンプルな食材を食べ続ける。

僕自身、ジンギスカンは大好きだ。ジンギスカンビアガーデンがあるよ!なんて話があれば、酒が飲めなくてもすぐに飛んでいきたいくらいだ。それくらい大好きでも、やっぱり食べていくうちに飽きてくる。食材の飽きもさることながら、焼肉のたれの味に口腔内がねっとりしてしまうのがしんどい。ジンギスカンの場合、鍋の都合上「シメに焼きそば作るよ~」といったことができない、というのも飽きっぽくなる理由の一つだと思う。

でもそんなあなたもご安心。

デザートを食べれば良いのです。

僕以外の3名は、「さも当然」とばかりにデザートメニューを物色しはじめた。その光景が僕にとっては新鮮な体験だった。

なにせ、酒をやめてまだ1年ちょっと。相変わらず友人のほとんどが酒飲み仲間であり、つまり「日頃飯を一緒に喰いに行く奴らのほとんどが辛党」だからだ。こうやって、「食後にデザートを」とうきうきしている友がいる、というのがなんだか妙に嬉しかった。どんだけ友達少ないんだよ俺、とも思ったけど。

かくいう僕自身、この1年ですっかり甘い物を食べるように味覚が変化した。酒を飲んでいた頃は、宗教的禁忌であるかのように甘い食べ物や飲み物を拒絶していたものだ。

一説によると、お酒をやめた人は、これまでビールなどの酒で補っていた糖分が不足してしまうため、一気に甘党になってしまうのだという。じゃあカロリーがほとんどない焼酎とかウイスキーを愛飲していた人はどうなんだよ、ということでこの説は怪しいが、僕自身の実感としてはとても納得感がある。

というわけで、「ビール園特製アイスクリーム」なるものを頼んでみたですよ。そりゃあもう、旅情を追求したいじゃないですか。折角の北海道、折角のサッポロビール園ですもの。

というわけで届いたアイスクリームは、ヨーグルトの容器のようなカップで登場。ちゃんとサッポロビール園のラベル付きだ。いいね、旅!って感じで。

・・・って、ちょっと待て。

何の気なしに製造元を確認してみたら、「ロッテアイス日野工場」って書いてあるじゃないか。渾身のギャグだな、これ。

「いやまさか、わざわざ東京で作って札幌に運ぶ、なんてことはしないだろう?」

とみんなで首をひねったが、ちゃんと「東京都日野市」と工場の住所まで書いてある。製造メーカーであるロッテの本社住所というわけでもなさそうだ。うわ、これ本当に東京で作ったものらしい。

「うわ、僕ぁ今朝東京から北海道にわざわざやってきたばかりなのに!明日夜はまた東京に戻るのに!」

苦笑するしかなかった。

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