屯田兵になろう【北海道ハタケ仕事1】

新ラーメン横丁

札幌名物、ラーメン横丁に到着。大歓楽街であるすすきのの中心地にあり、周囲には人がひっきりなしに行き交っている。「広島のお好み村みたいだな」と想像してしまうのは、僕が広島出身だからだろう。

恐ろしいことに、札幌市の人口は191万人もいる。びっくりするくらいの超巨大都市だ。福岡市でさえ146万人なのだから、その規模のデカさは想像を絶する。これだけの規模の町であることに加え、観光客が全国から、世界から押し寄せてくるのだから、そりゃあすすきのは栄えるに決まっている。

ただし、北海道全体で見た場合、札幌市の一極集中に拍車がかかっており、それ以外の市町村は衰退の一途をたどっている。「人口減少」という生ぬるい表現ではなく、「衰退」という表現がぴったりなくらいだ。なので、札幌市の衛星都市に相当するものが非常に規模が小さく、やっぱり地方の厳しさというのを痛感せずにはおれない。

・・・ということをすすきのを歩きながら考える俺様ってなんてアカデミックなんだろう、と考えてみる。嘘だけど。

で、目の前にあるレトロ感あるネオン看板のラーメン横丁。よく見ると、何か「ラーメン横丁」の文字の左側にゴニョゴニョっとした記号?文字?が見える。なんだこれ。お墓の卒塔婆に書かれている梵字のようにも見える。

実はこれ、「新」という字をわざと崩して書いてあるようだ。そう、ここはかの有名な「ラーメン横丁」そのものではなく、後から出来た「新ラーメン横丁」なのだった。しかも「元祖」の方とは何の縁もゆかりもない。バッタもん、というと「新」の皆様から怒られるが、こうやって「新」の字をゴニョゴニョっと表記しているところを見ると引け目みたいなものは感じているらしい。

新ラーメン横丁入口

ネオン看板だけでなく、屋内看板もやっぱり「新」の字が崩して書かれている。もう面倒くせぇから名前変えればいいのに、と思う。ラーメンという食べ物がこの20年くらいでものすごく進化し、食べログのような口コミサイトも充実した。本当に美味い店なら、どんな田舎でも行列ができる時代だ。「ラーメン横丁」という肩書きに固執することはないと思う。

・・・と僕は思うんだが、やっぱりご高齢の方とかは、「折角札幌に来たんだから、ラーメン横丁とかいうところに行ってみたいのぅ」と思うのかもしれない。そうなると、紛らわしくてもネーミングは大事、ってことか。

この「新ラーメン横丁」には5店舗のラーメン屋が軒を連ねていた。東京界隈でよく見かける、新進気鋭の新店舗とは全く違うお店のたたずまい。良くも悪くも「古き良きラーメン屋」が並ぶ。うん、観光地としては面白い。食べたいか?と言われると、話はまた別だけど。

よく、テレビのグルメ番組で、昔っからやってる中華料理屋のシンプルな醤油ラーメンを芸能人が食べて、「こういうのがいいんですよね」とコメントしている。なんだか、今のラーメンが凝りすぎてダメで、昔のがいい、みたいな事を言うのがむしろツウみたいな感じではある。しかしそれはテレビ演出上の方便であるということを忘れてはいけないと思う。

元祖ラーメン横丁

さて、「新」から歩いてほど近いところに「元祖」のラーメン横丁がある。「新」の方がすすきのの中心地から見てわずかに立地条件が良く、元祖としては悔しい思いをしたことだろう。

「新ラーメン横丁とは全く関係ありません」といった趣旨の事が書かれた張り紙が貼ってある。

お店がずらりと並ぶ

規模はこちらの方が遙かに大きい。こういうのは、後出しジャンケンした方が規模が大きくなりそうなものだけど、ここでは逆なんだな。えっと、看板を見た限り17店舗あるっぽい。店舗数だけでいったら、新横浜ラーメン博物館よりもデカい。

それぞれのお店が地図とともに一覧表示されており、しかもラーメンの写真入りなので大変にわかりやすい。わかりやすいんだけど、じゃあこの中でどれか一軒選べ、といわれても難しい。思いつきでふらっと訪れたのだから、なおさらだ。

・・・ってちょっと待て、お前ラーメン食べる気満々じゃないか。

思い出横丁的な路地

元祖ラーメン横丁の横丁。新宿の「思い出横丁」を思い出した。

狭い間口で、ラーメン屋がずらっと並ぶ。それぞれのお店は、席数は10席あるかないか程度だと思う。シャッターが閉まっているお店もある。土曜日の夜なのにどうしたんだろう。閉店してしまったのか。

お店の雰囲気はどこもレトロ。昭和的感覚、とでも言おうか。最近新登場するようなこじゃれたラーメン屋とは全然違う。むしろそれが面白い。これぞ観光地!だと嬉しくなってしまった。

わざわざ札幌に来てまで、「新進気鋭の大人気ラーメン屋」の外観を観察したって楽しくもなんともない。むしろ、こういう古い感じのお店が並ぶところがいいんだ。ほら、古い町並みの観光地で武家屋敷とか蔵がある商家を見て楽しむ、あれと同じ感覚。

ひぐま

そんなわけで、「折角だから1軒くらい食べてみよう」とは思ったものの、味には期待していなかった。長年続いているお店だから、マズいってことはさすがにないだろう。それはここに入居しているお店の名誉のために名言しておく。しかし、「これはすごい!」と大絶賛するようなお店が入居しているとも考えにくい。そういうラーメンが食べたけりゃ、むしろ僕が今住んでいる東京で探した方が手っ取り早い。

どのお店も外観からはうまそうなのかそうでないのか、違いがさっぱりわからない。せめてもの救いは、店舗数が多いということだ。これがもし数店舗しかなかったら「全店制覇だ!」と僕の悪い癖が出ていたはずだ。

ラーメン

「折角だから味噌ラーメンが食べたいよね」

ということで、味噌ラーメンが旨そうな店に入ってみた。札幌のラーメンといえば味噌が定番ではある。しかし、このラーメン横丁、どこもかしこも味噌ラーメン一色というわけではない。いろいろなラーメンがあり、他店と差別化を図っている。なので、むしろ僕は「味噌ラーメン推し」の店を絞り込み、そこで食べることにした。

うん、良かったと思う。「札幌名物・ラーメン横丁でラーメンを食べたことあるぜ」という実績ができた、という点で大満足。

生ビール付飲み放題

ホテルへの帰り道、あちこちで見かけた看板。

すすきのは飲み屋街でもあるので、当然居酒屋が多い。で、飲み放題を売りにしているお店が看板を出しているのだが、そのほぼ全て(?)が「生ビール付き」という但し書きを付けているのだった。これはすすきのに限らず、札幌駅前の居酒屋でも見かけた光景なので、このあたり一帯の独特の文化らしい。東京で見た記憶はないからだ。

もちろん、酒飲みにとって「飲み放題の中に生ビールが含まれるかどうか」というのは重大なことだ。入店してみたら、「生は別です。飲み放題は瓶ビールだけです」と言われた時のがっかり感は相当なものだし、ましてや発泡酒や第三のビールが出てきたとしたら、戦意喪失で「お店出ようか?」と考えてしまうくらいだ。

だからこの「生ビール付き」という表記はとても良心的だし、生ビールがちゃんとついてこのお値段というのも素晴らしいと思う。札幌にはユーザーフレンドリーな居酒屋文化が根付いているんだな、と感心させられた。どうせ僕はお酒飲まないから知ったこっちゃないんだけど。

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