フィットネスセンターを抜けると、そこには屋台街があった。
あ、よかった、てっきり緊急事態宣言発令で屋台どころじゃねぇ!と各自持ち場についているのかと思った。しかしどっこい、こうやって年に一度のお祭りに臨戦態勢だ。
例年と比べると、出店数は少なく感じる。でも、とりあえずほっとした。
北朝鮮有事について、「本当にアメリカが戦争を起こす気があるなら、韓国に住んでいるアメリカ人を真っ先に避難させるはずだ。その形跡がないから、まだ安全だ」と言われている。でも実は、「米軍の基地祭りで、屋台が出店されているかどうか」というのも、緊迫度合いを計る目安になるかもしれない。
何か派手なカラーリングの屋台があるぞ。
横断幕には、「トロピカルレモネードスタンド」と書いてある。どうやらレモネードを売っているらしい。
レモネードといえば、子供が小遣い稼ぎに家の庭先で売るものらしいが、ここでは米兵さんが売っている。どこがどうトロピカルなのかというと、売り子さん全員がレイを首からぶら下げているあたり。
おそらく、レモネードそのものがトロピカルなわけではないのだろう。
売っているレモネードは、5ドルから10ドルまである。子供でも作ることができる簡単な飲み物な割には、やたらと強気の価格設定。値段の差は、「牛乳瓶みたいなの容器」「ウイダーinゼリーのような容器」「ジャーサラダの瓶」という違いだ。
だとしても、10ドルを払ってレモネードを飲みたいとは思わない。手作り感満載で応援したい気持ちはやまやまだけど、パス。
「フライドオレオが気になるんですよね」
初参加のあっきさんがそんなことを言っていた。ああ、言われてみて思い出した。そういえば、そんな無茶苦茶な食べ物があったっけ。
オレオといえば、ナビスコが出している定番中の定番のビスケットだ。それを揚げてしまうというんだから、到底信じられないセンスだ。日本で言えば、ブルボンの「アルフォート」を天ぷらにするようなものだろうか?
そんなけしからん食べ物、見つけたら困っちゃうねえ、壮大な前フリだねえ、と思いながら屋台を見ていたら・・・アチャー、発見してしまった。フライドオレオ。「オレオの唐揚げ」と書いてある。なんだかなぁ。
なぜそのまま食べてはいけないのか?ナビスコの商品開発がクソで、いまいちだからセルフで美味しくしてやったぜ!ということなのか?
試してみなきゃ。
5ドル、すなわち550円。たっかいなあ、もう。一個だけ、バラ売りやってくれないんだろうか、味見だけでいいので。
でも買いましたよ、ええ。
あーあーあー、衣がついて揚がったオレオがカップの中に入っている。
それだけで十分だろうに、さらにチョコソースをたっぷりとかけ、仕上げに粉砂糖までふりかけていらっしゃる。
「まだだ!まだ甘さが足りない!」と言わんばかりだ。
こうなると、もともとのオレオが面目丸つぶれだ。まるで甘くない食べ物みたいな扱いじゃないか!
みんなで食べてみる。
んー。
いや、まあ、変な食べ物ではない。もともとがオレオだし。
しかし、ご覧の通りのこってりとした衣は、アメリカンドックを作ろうとしたのか?という分厚さ。そして殺人チョコソース。もう、オレオである必然性なんてどこにもなく、そもそもこれがオレオなのかどうかさえ、怪しい。
手についたチョコソースに気を取られ、ベタベタするので慌てて食べて、気がついたら全く印象に残っていなかった。単にくどいチョコソースとそれに付随する何か、を食べただけだ。
結論:二度目はない。
これをもって「アメリカ人の味覚はどうなってるんだ」と嘲笑するつもりは全くない。食文化の違いはお互い様だ。日本人が今や平気でハンバーガーを食べるように、いずれはこの「フライドオレオ」が日本人の好物になっている時がくるのかもしれない。多分こないと思うけど。
ナチョス、ホットドッグ、ハンバーガーを売っている屋台。
基地内を見渡すかぎり、この3品は本当にあちこちで売られている。なので、米兵さんの大好物でもっとも庶民的な食べ物なのだろうと推測される。
でも、今更色気もへったくれもない、シンプルなハンバーガーを食べる気にはなれない。パス。
グッズを売っている傍らで、スナック菓子も売っている。バラ売りされていて、1袋50円。安い。ただしサイズも小さい。
アメリカにはこのスナック菓子しか存在しないのか?と不思議に思うくらい、どこでも「レイズ」や「ドリトス」といった定番スナックが置いてあった。
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