屯田兵に帰れ【北海道ハタケ遠足】

09:03
トタンを張り合わせて作られた資材置き場。「D型倉庫」と呼ばれていたが、それは愛称なのかと思ったら一般名詞らしい。

新たに作ったものではなく、ハタケの借し主さんが昔から使っていたものなので、随分と年季が入っている。通路の真ん中に、一本の鉄骨の支柱があるのが見えるが、地面との境目のところで腐食してしまい、今やぶらんぶらんとぶら下がっている。

柱としては役に立たず、単なる邪魔な存在だ。

トラクターなんかの機材も全部借り物だけど、フォード製でものすごく年季が入ったものだ。操作にはかなりの熟達した経験とコツがいるらしく、理論ではわからないレベルなのだという。要するに機械のクセが強すぎて、思うようにコントロールができないということだ。

昔の機械だからそういうものなのか、それとも時間の経過とともにあちこちにガタがきてしまったのかは不明。

09:57
たんぽぽ摘みのついでにあれこれ収穫された、路傍の草たち。これらもれっきとした食べ物なのだから、意外だ。

当たり前すぎることなのだけど、食べ物というのはスーパーの棚に並んでいるものではない、ということだ。頭ではわかっているけれど、こうやって目の前で「あ、これは食べられる」と雑草のようなものを摘み取っているのを見るとちょっと驚く。

09:58
D型倉庫裏側と、ハタケ。

10:01
さらにいろいろな草を収穫。

段ボールの中にたくさん敷き詰められているのはヨモギで、それ意外はなんだろう?ウド?

10:05
収穫されたたんぽぽが、ハタケ脇にある家のシンクで水洗い開始となった。

とにかく量が多い。面白半分でたんぽぽシロップを作ろう、というわけではなく、せっかくだから製品としてお店に並べようという話になっている。だから少々のたんぽぽじゃ足りなくて、こんなすごいことになっている。

これだけ摘んでも、ハタケ周辺のたんぽぽが全滅なんてことにはならず、まだまだ余裕たっぷりなのには恐れ入る。生命力が豊かな生き物だ。

10:09
家の片隅で、「夏野菜をおいしくつくる基本とコツ2016年版」という本が置いてあった。

なんか家庭菜園みたいだな、とこの本を手にして思ったけれど、ああそうだった、そもそもここの本業はカフエなんだった。過去に何年も経験を積んで知見は蓄積されているけれど、そうはいっても専業農家さんじゃないんだった。

広大な農地を北海道で展開しているので、つい「野菜なんて余裕で作れる人だ」と思ってしまう。ハタケ仕事を手伝っている僕でさえ、ここで働いているとそういう気になってしまう。

さっきの、「食べ物というのはスーパーにあるものだと思っていた」と同じで、いかにハタケ仕事というのが都会ぐらしのデスクワーカーにとって「わかっているようで、ぜんぜんわかっていない世界」なのかというのを思い知らされる。バルコニーのプランターでミニトマトを育てるのとはわけが違う。

11:28
(1)トラクターでうねを作る
(2)トラクターのすぐ後ろで、種をまく
(3)すばやく、種の上に土をかぶせる

ことをやっている風景。

13:37
先ほど種まきに使っていた機器がD型倉庫に2つおいてあった。「手押し種まき器 種まきごんべえ」という製品だ。

こいつをうねで転がしていけば、自動的に等間隔に種まきが行われるという、アナログでありつつクールなギアだ。

13:37
仕組みを見れば至って納得で、車輪が転がると自転車のチェーンみたいな穴開きベルトが回転し、その穴にはまっているタネがベルトの回転とともに地面に落ち、種まきが行われるというもの。

ベルトは、穴が2つ空いているものとか、穴が大きいもの小さいものとか何種類もあるようだ。植え付けるタネによって、ベルトを交換する。

ここにあるごんべえは、ベルト交換はしないで、穴の一部をガムテープで塞いでいた。そして植えているのは小豆。大納言だったっけ?

ガムテープ補修もさることながら、つくづく農業というのはDIYの世界だというのを知る。機械が動かないとか、備品が壊れたとか、そういう話は枚挙にいとまがない。その都度修理だ、買い出しだとやっていたらお金がいくらあっても足りないし、大事な種植えの時期を逃してしまう。できることはなんでも自分でやる。農業というのはトンチのような知恵も必要らしい。

13:36
D型倉庫脇に積み上げられた手竹。

これをハタケに3本1セットで突き刺し、やぐらにし、そこで豆はつるを巻きつけながら成長していく。

細い竹なので当然劣化する。3本を束ねようとするとバキッと音を立てて割れたりするし、長さがそろっていないものがたくさん含まれている。使う際には、使えるものと使えないものを選別するところから始めないといけない。

じゃあ、樹脂製のものとかもっと便利で長持ちするものにすればいいのに、と思うが、1本あたりの値段が例えやすくても、何百本・何千本も必要となるとお金がものすごくかかる。家庭菜園じゃないのだから、ちょっとした投資のつもりがとんでもない金額になってしまう。そろばんをはじくのも大変だ。道楽でやってるんじゃないのだから、お金をつかいまくるわけにはいかない。

(つづく)



タイトルとURLをコピーしました