夜が更けてきた。
まだ、酒を酌み交わしながら「うしだ屋」の食堂で宴会は続く。
お手洗いのために建物の玄関脇を通り過ぎたら、フロントにカラフルな小さな人形が飾ってあった。
何気なく人形に目線を送ると、そこには「ちんころ」と書いてあった。
げっ、これが「ちんころ」なのか!
ちんころ初遭遇。
「ちんころ」という名前は、2年前の「のっとれ!松代城」に歌舞伎者として参加した白塗りの人の存在で初めて知った。ぱっと見、「オレたちひょうきん族」で西川のりおが扮していたオバQに似ていて(1980年代の話)、一体「ちんころ」とは何なんだ!?と騒然としたものだ。
で、後で調べてみたところ、米粉を捏ねてこしらえた、愛らしい小さな人形だということを知って、さらに愕然としたものだ。全然違うやんけ、と。
この「ちんころ」、十日町市界隈独特の文化で、しかも1月の市が立つ日でないと売られない縁起物だ。なので、僕はこれがちんころ初遭遇。驚き興奮してしまい、思わず写真を撮ってしまったくらいだ。
で、改めてちんころ(実物)を見たが、やっぱり「のっとれ!」で見かける「ちんころ(人物)」とは似て非なる存在だ。すげえデフォルメだ。これが本当のゆるキャラなんだ、と思う。
23:54
深夜1時頃まで、家から持ってきたジェンガをやって過ごす。もちろん、郵便局のとっつぁんも一緒になって。
みんな、お酒で結構な酔い具合。結構大胆にガンガンブロックを引っこ抜くので、相当に楽しかった。ジェンガは酔っている時の方が楽しい。
なおこのジェンガだけど、100円ショップで買ったものだ。本来なら、ガッチリした積み木のようなものでやるものだけど、安物なのでベコベコに歪んでいる。なので、安物なりのスリルが追加され、不規則な動きをしてハラハラさせられる。
01:01
延々遊べそうな気分だったけど、さすがにご主人は明日の朝が早いし、郵便局のとっつぁんも次の日は僕らよりも早く出発するのだそうだ。24時頃に切り上げ、終わりとなった。
男性部屋に入り、そそくさと寝る準備に入る。さすがにこの時間なので、もうお風呂は諦めた。
横で寝るたっぴぃさんは、何やら自分のかばんからメカを取り出し、顔に装着しはじた。
あっ、これがCPAP(しーぱっぷ)か。
睡眠時無呼吸症候群の人が寝るときに装着する、呼吸を確保するための医療機器だ。名前は知っていたけど、実物を見るのは初めてだった。
「これをつけているといびきをかかない筈ですよ」
とたっぴぃさんはにっこりだが、初めて見た人からするとびっくりだ。まるで、重症患者のような外観だからだ。
鼻と口を覆うマスク、そしてそこから伸びるホース。
僕みたいに、うつ伏せで寝たり横向き寝を左向き・右向きと繰り返す人間は無理だ、CPAPで呼吸がスムーズになったとしても、ホースが首に巻き付いて窒息しそうだ。
「おやすみなさい」
部屋の電気が消えたら、暗闇からシューッというCPAPの音だけが聞こえた。
2018年03月11日(日) 2日目
07:59
2日目朝。のっとれ!まつだい城当日。
上越市の朝は、晴れ。
雪の白と、空の青のコントラストが美しい。
部屋の窓から見た、集落。
除雪はしっかりされていて、スタッドレスタイヤの必要はまったくなかった。
今回借りたレンタカーは、オプション料金を払って4WD+スタッドレスにしたけれど、そこまでは必要なかった。とはいえ、天気が良かったのは結果論だ。お金をケチって雪用の装備を怠るわけにはいかない。
食堂に下りてみたら、既に郵便局のとっつぁんはいなかった。早々に出発したらしい。今日も商談があるのだという。なんてぇ人だ。土日も休まずに精力的に動き回っている。道理で高校時代の同級生を嫁さんにするだけある。あ、これは余計な情報だったか。昨晩、あれこれ聞いちゃったもんなぁ。
08:11
「うしだ屋」の朝ごはん。
「今日はエネルギーを使うから」とかいいながら、やたらとご飯を食べてしまった。余っても勿体ないもんね、とか言いつつ。
うまいんだこれが。つい食べ過ぎるから、「のっとれ!」前後で体重を計ると、必ず後の方が太っている。なんでレースに参加した後に太っているんだ。
いや違う、レースに参加する前に既に太っているんだ。おかげでレース中は体が重い重い。
09:45
宿を出発して20分ほどで、十日町市の松代支所に着く。案外近いものだ。ここの駐車場に車を停め、シャトルバスで会場を目指す。
09:51
シャトルバスを下り、会場を目指す。
毎年、この道を歩くとき、ワクワクさせられる。会場入りする手前の段階で、「あ、今年は雪が多いな」とか「少ないな」というのを考える。
今年は・・・
少ないのか?
道路脇に、除雪した雪が積み上がっている。
除雪した結果、道路が見えているのか、それとも雪が少なくて溶けたのか、よくわからない。なんだ、ダメじゃん。
09:52
のっとれ!戦士の集合場所である体育館。
初めて「のっとれ!」に参加した5年前は、この階段が雪に埋もれていたはずだ。それを思えば、今年はなんともうららかな雰囲気だ。
レースをやる立場としては、むしろ寒い方がいい。雪が締まっているからだ。温かいと、雪がグズグズになってしまい、歩くだけでも疲れることになる。さて、今年はどうかな。
(つづく)
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