10:25
会場の隅にそそり立つ、レースの障害。
えーと、なんだっけ。
さっき名前を確認したばかりなのに、まだ名前を覚えられていない。そして今、この文章を書いている僕自身が、未だに覚えていない。覚えられる気がしない。城壁越え、だったっけ?
(正解は:騎馬止め)
面倒だから、もういっそのことわかりやすい名前に変えようぜ。
「地獄の釜」とか、「三途の河」とか「蜘蛛の糸」とか、なんでもいいから。
で、その「地獄の釜」・・・じゃなかった、ええと、騎馬止めから崖下を見下ろした光景。
やめろやめろ、変なネーミングを冗談でつけると、ますます障害物の名前が覚えられなくなる。
いつだったかは、ここからの光景は「雪がなく、アスファルトの路面が丸見え」だった。おかげでルートが当初予定より変更になって大回りになっていたものだ。「なんで距離が伸びるんだよ」と文句を言いながらレースをする、という、アスリートとして堕落しきった態度をうっかり露呈してしまった我々。
一方今年はどうだ!?雪がたんまりあるぞ!
雪がありすぎちゃって、障害物でえらくすごいのをこしらえていた。
なんだあのカマボコみたいなやつは。
しかも、安物のカマボコじゃなくて、正月のおせちに入っているような、ブリッブリに身が詰まったカマボコ感。
「こんなの初めて!」
と乙女のような声を上げてしまう。おっさんなのに。
これは結構難敵だと思う。
僕みたいに、ほぼ最後尾をチンタラ進むレース出場者の場合、450名以上が通り抜けた雪の障害がどうなっているのかは経験上よくわかる。
運が良ければ、雪の一部が崩れて階段状になっている。
しかし、運が悪けりゃ、みんなにコスられまくり、雪の表面がテッカテカになっている。
だいたい、後者。
なんとか、この段差を乗り越えようとしがみつくんだけど、摩擦抵抗が低すぎて、ジタバタあがいた結果ゆっくりと滑り落ちていくことになる。
やべえな今年は。冬将軍、本気を出してきたかもしれない。
そのかわり、こっちのピラミッド風障害・・・名前は・・・あー、うー。
よし、一時的に「インカの目覚め」と呼ぼう。
このインカの目覚め、段差が例年より1段減ったような気がする。気のせいか?
そのかわり、1段の高さが上がっている。これ、どうやって乗り越えていくのよ。スーパーマリオじゃないんだから。
おせちのカマボコから地獄の釜までの間(もう、開き直って名前は滅茶苦茶)に立ち塞がる、斜面。
例年、ここに大渋滞ができる。僕はここを走り抜けたことは一度もない。毎度毎度、牛歩戦術だ。1歩歩いては立ち止まり、もう一歩歩いては立ち止まる。なので大してこの急坂は脅威に感じたことはない。
ただし、たとえ500人近くが通り過ぎた後であっても、ここは雪が圧雪されていないために、つぼ足になってしまう。この年、どれだけ雪が降ったのかでレースが左右される、重要な場所ともいえる。
で、毎度毎度の「まつだい城」。
冬将軍が現在は不法占拠している状況。待ってろ、あと2時間くらいで、僕ら・・・のうち、超絶足が速い兄さんたちに奪取してもらおう。
10:35
屋外でルート視察をやったり、屋台を見ているうちにブリーフィングの時間が来てしまった。
いけないいけなーい、ちこくちこくー
と言いながら、既に始まっているブリーフィング会場に潜り込む。
それにしてもカラフルなのっとれ!戦士たちだ。
名物白塗り歌舞伎者、「ちんころ」さんが会場に見当たらない。
どうしたんだろう、と思って受付に様子を見に行ったら、歌舞伎者が首からぶら下げるための名札が置いてあった。「ちんころ」と書いてある。
あー、エントリーはしているらしい。
受付の人曰く、「まだ来ていないんですよ」とのこと。どうした?一体。
おやびんが一言
「こりゃ、女だな」
と言う。今年は昨年よりも一層多くのちんころ軍団を作るに違いない、というのが我々の予想だ。
一昨年1名、昨年2名。そして今年は・・・?
女性ちんころが増えた場合、いろいろ準備とかなんとか、ドタバタしているんじゃないか、という予測だ。
鎧兜姿のダンディが不敵な笑みを浮かべて、立っていた。
毎度お馴染み、村山統括軍師殿だ。
のっとれ!松代城に参加し続けている最大のモチベーションは、「ハワイ遠島の刑」という金目のものではなく、この軍師殿の喋りなんだと思う。それくらい、おもろいおっちゃんだ。ちなみに僕は、この軍師殿のFacebookをフォローさせてもらっている。本職は市議会議員で、Facebookはスゲー真面目なんだけど。
早速、写真を撮らせてもらう。
ようやく、レースの気分が昂ぶってきた。
ちなみに、僕は5年連続5回目の迷彩服を着ているのだが、いよいよこの服がキツくなってきた。端的にいうと、激太りしたからだ。2018年に入って、わずか2カ月半で7キロ近く太ってしまった。やけくそになって、コストコの巨大ポテチと巨大ティラミスを毎日のように食べていたからだ。1日にティラミスを500グラム食べていました、なんて日々を送っていたら、そりゃ太るわ。
おかげで、迷彩服のパンツは、チャックがしまっていない&ボタンがとまっていない。上着の裾で隠しているが、実は相当に変態な状況だ。ベルトでしめあげているので、パンツが脱げて肌着の方のパンツが見えてイヤーン、ということはないと思うのだけど、気をつけないと。
10:55
のっとれ!戦士入場を待つ一同。
この段階でも、ちんころさんはいない。急遽不参加になったのか?
なおこの年、新潟のローカルテレビ番組の取材ということで、お笑いコンビ「品川庄司」の一人・庄司智春さんがレースに出走するということになっていた。なので、エントリー定員500名なのに対して、一人不自然な「ゼッケンナンバー503」の人がいる。この赤い服が、庄司さん。
まわりから何度となく「ミキティー!」と声をかけられ、相当うざかったと思うが、「ああ、どうも」と照れ笑いを浮かべながら素人を相手にしていて、気さくな人だった。
11:00
そんなわけで、総勢500名近くののっとれ!戦士が入場。
この入場中は、全部の屋台が営業どころじゃなくなる。
(つづく)
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