12:15
山岳ステージに入る。
ここからは道路が除雪されていないので、雪の中を小股で歩いて行くことになる。周囲を見渡しても、走っている人はゼロだ。今ごろになってようやく本気を出す人なんて、いるわけがない。
だからといって、人並み程度の歩調だと、ますます抜かれていく。やっぱりみんな、それなりに早足だ。
なんだよー、折角だからみんなのんびり行こうよー、と思うが、みんな口数少なく、歩く。
案外仮装をした人達が、この最後尾にはいないものだ。あの頭でっかちなアイアンマンでさえ、その姿を目視できないくらいに先に行ってしまった。
というのも、キャッキャした仮装をする人たちは、みんな決まって若い。だから、体力があるのだった。あと、レースをきちんとこなせる自信があるからこそ、仮装に手を出すわけで、遅いわけがない。
前方で、何やら前をゆく戦士がヨタヨタしている場所がある。近づいてみたら、これが今年新設された障害、「城門越え」だった。
12:19
そこまですごい高さがあるわけではない。しかし、微妙な高さと傾斜がある丘で、地味にここでのっとれ!戦士たちは体力を奪われていた。
勇者様は、持参した武器を杖代わりにして、三本足状態でよじ登っていた。おお、こんなところで役に立つなんて。普段は重たいだけの邪魔物だけど、ここでは効力を発揮。
後ずさりしてから、一気にダッシュして登るか。
それとも、一歩ずつ確実に登るか。
どっちも、失敗しそうな予感がする絶妙な障害。
12:26
第二給水所で一息つく。毎回のことだけど、用意されている酸素ボンベを吸ってみるけど酸素が入っているのかどうかさっぱりわからない。少なくとも元気回復をしたためしがない。
ここから先、山頂までまだあと1,100メートル。全体が3.6キロのレースコースなので、残り1/3弱。
やばい、あと30分ちょっとでゴールしないと時間切れなんだけど、ちょっと洒落にならなくなってきたかもしれない。
12:28
この頃になると、早々に松代城を攻め落とした戦士たちが次々と駆け下りてくる。体力が有り余っているので、重力に任せて走ってるのだから恐れ入る。
12:30
あー。
「ワイヤーに吊したタイヤにしがみついて、谷を渡る」という名物障害物、「地獄谷渡り」がある谷が見えてきた。
完全に雪で地面は覆われていて、天然のクッションとしては申し分なさそうだ。雪不足だから地獄谷渡りを中止、という昨年とはちょっと違うっぽい。
そのかわり今年のコースは、谷の向こう側に回り込みながら標高をじわじわ稼いでいく車道は使わず、道なき道を直登する新障害、「城壁越え」が用意されている。
おーおーおー、下山してくる人たちが変なところから飛び出してくるぞ。
明らかに道ではない山の斜面が下山ルートに設定されているらしい。
12:33
ああ、積もった雪の向こう側、山の斜面に人が連なっているのが見える。
一列になって、山を直登している。あれが「城壁越え」なのかッ!!!
(つづく)
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