灼熱の台湾

これが、その「紙の芸術」っすか?

・・・どう見てもガンダムなんですけど。

段ボールでモビルスーツ作ってどうする。

しかも、積み木を組み上げましたレベルのでき。せめてザクくらいは作って欲しい。

これを見てしまったので、特別展示会場に行くのはやめた。

いくら屋内で涼しいぜ、生き返るぜ、といってもこれじゃあね・・・。まあ、よくできてはいるけど。

台湾は、日本敗戦後まもなく蒋介石率いる中国国民党が移ってきて、日本の代わりに実権を握るようになる。

その際、台湾に元から住んでいた地元民と国民党とで軋轢が生まれ、大弾圧が行われた。これが1947年2月28日で、二・二八事件と呼ばれている。

以降、台湾では戒厳令が敷かれ、集会や言論の統制が行われるようになった。その戒厳令が解除されたのが1987年で、まだそれから20年しか経過していない。つい最近までは緊張状態の国だったのだ。

この写真は、弾圧された人が抑留された牢屋を再現したもの。

非常口を示した案内版。色といいデザインといい日本とコンセプトは一緒。

しかし・・・

「おい、この人も前傾姿勢で猛ダッシュしてるぞ」

「この国の人は全力疾走しないと気がすまんのかね?」

「しかも、矢印が大小二つも並んでる。急げ!急げ!っていう意味か?」

「そりゃもう、前傾姿勢で走る以上は猛烈に急がないとな」

見て回っていると、蒋介石の紹介コーナーがあった。

蒋介石の胸像がお出迎え。

蒋介石が乗っていたという公用車も陳列されていた。

フロントグリル部分に、全く機能的には無意味と思われる2本の角が突き出ている。

「これは何だ?強行突破用の武器か?」

「単なる飾りだろ、さすがに」

それにしても重そうだ。防弾ガラスは当然だろうし、車自体がまさに鉄の固まりといった感じ。これならスクラップにしても相当いいお値段になりそう、ってなくらい重そう。

こちらの部屋は、蒋介石の執務室が再現されていた。

机には、穏やかな顔をした蒋介石の蝋人形がお仕事の真っ最中。

「??おい、どういうことだ?ここの展示って、台湾は国民党によって圧政に苦しみました、蒋介石このヤローっていう趣旨じゃないのか?」

「でもこの建物自体は、蒋介石を記念して作られてるんだろ?」

「台湾人、蒋介石に対して憎悪なのか好意なのかどっちの感情を持ってるんだよ。さっぱりわかんないよ、これだと」

蒋介石元大統領が角板山の迎賓館ご滞在中、外出時ご使用になったお輿。

なんだそうな。

「やっぱり好意の方なのかね?」

「まあ、(現職:民進党の)陳水扁が総統になるまでは国民党の一党支配だったからなあ」

実は中正紀念堂に真っ先に訪れたのは、蒋介石の偉業を称えようとかデカい建造物を見ようという目的ではなかった。別の目的があったからだ。

別の目的とは、「健康歩道」。

時々、台湾をテーマにした旅行番組やバラエティ番組で登場する。罰ゲームや笑いを取る場面に出現する機会が多い曰く付きの歩道だ。

別になんのことはない、「歩けば健康になる歩道」のことだ。これが中正公園のどこかにあると聞いていたので、探していたのだった。見つからないので断念しようと思ったが、園内地図を見たら地図上にトイレなどのアイコンなどと一緒に、足の裏マークを発見。

「あ、ここ健康歩道じゃないか?」

なんとも判りやすい。足の裏デザインのアイコンが地図上にあるとは笑える。

あったあった!

これだよこれ、おかでんがTVで見たまんまの健康歩道。番組の中では、船越英一郎が「うわああああ」と絶叫して悶絶しながら歩いていたし、河井我聞に至っては一歩も歩けずにリタイアしていたっけ。

その番組では、歩けた距離に応じて、今晩の宿のランクが上がるという趣旨のミニゲームコーナーだった。遠くまで歩ければ高級ホテル、ほとんど歩けなかったら野宿という趣旨。

テレビ越しだと、単なる丸い黒石が並んでいるだけの普通の歩道に見えた。日本でもこの手の庭園歩道はいくらでもありそうだ。

今、こうして実物を見てもその認識は変わらない。何だ、やっぱりバラエティって怖いよなあ、物事を2倍3倍に誇張して表現するんだから。

・・・と思ったが、靴を脱ぐ際に視線がふと地面に迫ったとき、事の重大さに気がついた。

おい、これ、かなり立体感ある石だぞ。

日本にも、黒石が埋め込まれた歩道はある。でもそれはほとんどが埋もれていて、僅かに表面が地表に出ているだけだ。しかしこの歩道、大半が地上に出ているのであった。高さにして、5センチくらいは突き出ているんじゃないか?

よく「氷山の一角」なんて言葉を使うが、いやいや、この健康歩道の石の場合、「氷山のほぼ全てが露出」しちゃってるんですけど。

石はさすがにとがっておらず、丸い。そりゃそうだ、尖ってたら足の裏に刺さって健康どころか怪我だ。しかし、この立体感をもってすれば、足の裏の至る所に局地的な圧力がかかることは容易に想像がつく。

すなわち、「足裏マッサージ」で悶絶するシーンがこれまたよくバラエティ番組で見かけるが、それと同じ事が、自身の全体重がかかった状態で、ぐいぐいと連続して発生するというわけだ。

さすがのおかでんもちょっとこれには躊躇した。

とはいっても、バラエティで言うほど痛くはないだろーと思って裸足で突撃。

・・・ああ、痛くない。確かに相当刺激は強いが、鋭角的に足の裏を突き刺す訳ではないので大丈夫だ。

「ははは、これくらいなら余裕だ。ちょっくら端から端まで往復してくらあ」

とジーニアスに手を振り、歩き始めた。

しかし、歩いているうちにだんだん脂汗が額から出てき始めた。暑くてかいた汗ではない。痛いのだ、じわじわと痛むのだ。「いてててて!」という痛さではなく、「じっとりと痛い。ああああああ。このねっとりからみつく痛みをうまく表現する日本語が存在しないので、「あああああ」とか「おわわわわ」という意味不明な声を上げてしまう。

ほうほうの体でなんとか往復してきたが、最後はよちよち歩きになっていた。

「どうだ、健康になったか?」

とジーニアスに聞かれたが、なんだか逆に不健康になった気がする。しばらく足の裏から痛みはとれなかった。

そのジーニアスだが、おかでんより先に歩いてみて「ああ、言うほどでもないかも・・・いや、痛い!」と叫び、5歩でギブアップしてしまっていた。やはりバラエティでやってることは演技ではなく、本当に痛いということが身をもって証明されたのだった。

毎日歩いていたら、健康になれるのだろうか?

健康になるというよりも、足の裏の皮が分厚くなるだけのような気がする。

二人とも不健康に足をひきずりながら、中正公園を脱出。こりゃ、少しずつ毎日歩かないとダメだわ。一回だけでなんとか健康になろうとした甘い発想に天罰が下った感じ。

この後、「西門町(シーメンディン)」にMRTで移動する予定になっている。MRT小南門線の「中正紀念堂」駅へと向かう。

その途中の愛國東路は「変身写真館」と一般的に言われる写真スタジオがたくさん並んでいる。台湾では、結婚式の前には夫婦がいろいろな衣装を着用し、まるでドラマの1シーンかのような写真を撮るのが風習となっている。もちろん日本でも結婚の際には記念撮影をするが、そんなものとは比較にならないくらい、こっちのは派手だ。

一度、台湾の友人に写真を見せて貰ったことがあるが、まあ凄い。霧がかかった早朝の湖に浮かぶボート、そこに肩を寄せ合うカップル・・・なんていう「よくぞこんなもの撮影できたな」というものから、服もいろいろ、場所もいろいろ、ポーズも人間の関節の可動部分が許す限りいろいろ、だ。そういうのを1日もしくは2日がかりで何十枚も撮影し、メルヘンな世界満ちあふれる一冊のアルバムを作り上げる。このアルバムが嫌がらせか、というくらい重くてでかい。これ以上重い書籍は存在いしないんじゃないか、というくらいのサイズだ。このアルバムは新婚夫婦の家に贈られ、そしてその中でもベストショットと認定されたモノが披露宴会場の入口にデデーンとご開陳されるのであった。

あまりにポーズをキメすぎたりシチュエーションがクサいものばかりなので、見ていて相当に恥ずかしい写真だ。でも、台湾の友人(女性)に「やっぱり結婚する時はこういう写真撮りたいの?」と聞いてみたら、目を輝かせて「うん!」と答えていた。「だって、憧れだもの」だって。新郎は撮影途中でうんざりしてしまうらしいが、新婦の「一生に一度の記念だから」という気迫に無理矢理つきあわされてしまうようだ。

写真スタジオが並んでいる。中正紀念堂は結婚紀念写真撮影のメッカであるので、ここにスタジオがあると都合が良いということらしい。

どのスタジオも、店頭にアルバムが置いてあって「どうぞご自由にご覧ください」と自分の店のカメラマンの腕を競い合っていた。

巨大アルバム

これが例の「巨大アルバム」。紙も相当分厚いので、一枚めくるのにちょっと腕力が必要になるくらいだ。

ここに写っているのは普通のスタジオ撮影。男性も女性もノーマルな格好をしていて、ちょっと期待はずれ。見たいのはもっとド派手な、チャイナドレス着てますとか大げさなシチュエーションで撮影してますといったものだったのだが・・・。

もう少しページをめくろうとしていたら、「Happy Wedding!」と声をかけてきて、名刺を渡す男が現れた。名刺を見ると、そのお店の「撮影師」と書かれてあった。要するにカメラマンの事なのだろう。

あ、いや、僕ら同性愛者じゃないですから。僕ら別に結婚しませんから。

こら、だーかーらー、僕らを「いつでもご相談に応じますが?」といった顔で見るなよ、カメラマン。

男性同士にもかかわらず声をかけてくるくらいだから、台湾では日本以上に同性愛+同性婚というのがカジュアルな存在なのかもしれない。進んでいる。

中山紀念堂駅の自動券売機

同性愛疑惑に困惑しつつ、MRTの駅に着く。中山紀念堂駅は地下に埋設された駅だ。

まずはチケット・・・ならぬトークンを購入することになる。

タッチパネル式になっていて、見栄えが良い。やるべきことの手順がすべて「1」「2」「3」と券売機に記されているので初心者でも安心だ。

1.タッチパネルで行き先の料金と、購入枚数(乗車人数)を押す。
2.画面に表示された料金を入れる。
3.トークンが発行される。おつりがあるなら、おつりを受け取る。

以上。

コイン型乗車券

乗車券、とかチケットと言わず敢えて僕が「トークン」という表現を使ったのは、このMRTの乗車券が「F」だからだ。まるでゲームやギャンブルで使う通貨のようだ。

どうもこの中に磁気データが書き込まれているらしい。この後違う料金でMRTに乗っても、全てこの青いトークンだった。「20元は青、40元は赤」なんていう分け方で識別されているわけではなかった。

METRO TAIPEI、と浮き彫りされている。

自動改札

感心したことに、自動改札は完全タッチ式になっていたということだ。カードや乗車券を改札機に吸い込んで読み込む、というタイプではなく、全てが「タッチ一発」で通過していく。

自動改札の扉は、扇形になっているのが日本とは違った造りだ。ウィーンといった感じで改札機から出たり入ったりしている。これ、さりげなく好感。日本の場合、観音開き型になっていて、うまく通過できなかったら「バターン」と扉が閉じてしまい大変に不愉快なのだが、この扉の場合「ウィーン」なのでまだ何となく許せる。

完全タッチパネル式

さて、完全タッチパネル式だと、先ほどのトークンはどうなるんだ?と思うわけだが、これもSuicaやICOCA同様、タッチアンドゴーなんである。コイン型である必要があるんか、という気もするが、後で回収する時にカード型よりも楽なのかもしれない。

「コイン型乗車券でタッチ&ゴー」というのは慣れない行動なので、ちょっととまどった。

小南門線

小南門線は2駅しか存在しない、いわゆる「別々のMRT路線をショートカットするための連絡路線」。これで西門へと向かう。

台北のMRT

台湾のMRTは電車の帯の色によって路線が判る、ということはない。トークンの色同様、全て青い線で統一されている。

座席はプラスチック製で堅い。駅のベンチのようだ。ロングシートではなく、ボックスシートになっているのが面白い。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください