灼熱の台湾

西門町。「地球の歩き方」によると、「台北の渋谷や原宿のような存在」ということらしい。哈日族(ハーリーズー)、すなわち日本文化を愛好するワカモノが特によく集うところらしく、日本のファッションや商品がよく売られているという。

西門町

「よし、台湾における日本文化浸透状況を見に行くぞ」

と勢い込んで出かけていったはいいが、この猛暑だ。ワカモノがたくさん歩いているのは大変に結構なんスが、日本文化探訪以前に人混みの中でジーニアスとはぐれないようにすることと、自らの体調管理は自分でしっかりすることが大変に重要。

もっとじっくり見れば、「ほーぅ、こんなところに日本文化が浸透しているのか!」という新発見がいくつもあったんだろうが、暑さでぼーっとしちゃって、単に今風の街並みが並んでますネ、人でいっぱいですネ、でそのまま街を通過してしまった。

熱々の総菜

いや、そうはいっても新発見というか、驚きもあった。

やっぱこの地元民、ヘンだわ(日本人の感覚からいけば)。

店先に熱々の総菜をたくさん並べて売っている。巨大フランクフルトとか、鶏の唐揚げとか。この人ら、メチャ揚げ物と肉と熱いものが好きか?

ケバブ売りの屋台

さすがにこのケバブ売りの屋台を見た時は、「この国民は暑くても平気で肉を食うくらいの肉好きだ」と確信した。タフなのかね。「夏ばて」という言葉を知らない民族かもしれない。

普通の日本人の感覚だと、38度の暑さで肉を「歩きながら」頬張ろうとは思わないってば。

氷菓屋

肉類の山を見ているだけで体力を消耗してしまったので、ジーニアスの提案により氷菓を扱っているお店で一息入れる事にした。そういえばホテルを出てから、歩きっぱなし、立ちっぱなしだ。

さすがに氷菓屋にはお客さんがひっきりなしに訪れていた。良かった、しょせん同じ人類だ。暑い時はやっぱり冷たいものを食べたくなるのはみな共通だ。

かき氷のメニューは膨大

さて、どれにしようか。

四文字熟語が並ぶ。四文字じゃないものもあるが、いずれにせよ何の事かさっぱり判らない。

「あ!宇治金時があるぞ!」

見慣れた文字を発見してややほっとする。しかし、何が悲しくて宇治金時を台湾まで来て食べないといかんのよ。見なかった事にする。

「うーん、西瓜(すいか)、ってのは読めるんだよな。あとが全然わからん。台湾といえばマンゴーアイスが良いらしいんだけど、どれがマンゴーだろう?」

「5月-10月、って書かれている芒果牛奶冰、ってのがマンゴーっぽいな」

実際それで正解。

一部のメニューは写真がついているので、それも参考にしつつジーニアスは「黄金傳奇」を選択。写真で見る限りマンゴーで間違いないようだ。大本命のマンゴーを先にジーニアスにとられてしまったおかでんは、ウケに走るしかない。ええと、どうしようか。

「それにしても何なんだこのメニューは。全く実物が想像できんぞ。『天使悪魔』『小熊森林』『火山爆発』『金色夢幻』なんて、日本語として理解できるが故に余計混乱するな」

結局、わけがわからないまま「世界末日」なるメニューを選択してみた。素晴らしく縁起が悪いネーミングだが、大丈夫か、おい。苦悶するような苦みだとか酸味なんてのは勘弁して欲しいところだが・・・。

黄金傳奇

「黄金傳奇」到着。マンゴーを賽の目の切ったものと、マンゴーアイスが乗った氷菓だ。お椀の下部は「かき氷」ではなく、純粋なクラッシュアイス。恐らく、かき氷のように細かくふわふわに仕上げてしまうと、この暑さですぐに溶けてしまうから「かき氷文化」は台湾には無いのではないか?

生き返るジーニアス

「ああ、おいしい。生き返る」

ジーニアスがしみじみと、腹の底から安どの声をあげる。

世界末日

懸案だったおかでんの「世界末日」がこちら。

赤い。

ストロベリーアイスに、いちご。おまけにシリアルといちごポッキー付き。

「このどこが『世界末日』なんだろう?」

思わず首をひねる。

「やっぱり、赤ってことは血をイメージしているのかね?だとしたらちょっとグロいぞ」

「ストレートだよな、表現の仕方が」

「しかも、アイスクリームの上にオレオみたいなチョコクッキーが二個刺さってるし。これ、ミッキーマウスを意味してるんじゃないか?」

ジーニアスが指摘する。

「ミッキーがこの世を滅ぼして世界は血の海。なんだか凄い光景だな」

いや、実はミッキーではなく、パンダかもしれない。「パンダ=中華人民共和国」と深読みすると、なんだかいろいろ政治的妄想ができちゃうのでそっちの方向への発想はやめておこう。

こちらも大変おいしゅうございました。

甘いモノは好きではない性分なのだが、「涼」が美味い。あと、汗かいて失ったカロリーとミネラルを補給しているという感じがする。

「ああー、たまらんのぅ」

思わずおやぢな声を出す。マッサージチェアに座った時のおやぢの声だ。みっともないから、いくら台湾でもそんな声を出すのはやめとけ。本当に老け込むぞ。

名探偵コナン上映中

映画館では、丁度夏休みアニメ映画上映中、ということで「名探偵コナン」が封切られていた。

中国語にすると、「名偵探 柯南」になるのだな。「探偵」の字がひっくり返るあたりが日本語と違うのが興味深い違いだ。

結局西門町に来ておきながら、哈日族的なものを発見できたのはこれだけだった。あ、あとワコールの女性下着。それくらいか。台北車站近辺同様、町中のいたるところに女性下着売り場を目にするんだよな。なんでだろう?そういうところばっかり目がいっているから、たまたまそう感じたのだろうか?

麻辣の國

どうでも良いのだが、路地裏の店で「麻辣の國」という火鍋の店があったので写真撮影しておいた。

香港でもそうだったが、日本語の「の」という言葉は結構市民権を得ているようだ。日本語の「の」格にはいろいろな意味があるので、複雑な利用はさすがに無理なはずだが、英語で「of」の意味に相当する「の」はあちこちで見かけることができた。

それにしても麻辣の國って店名、凄いな。

ここに限らず、屋台やらあちこちのお店で「麻辣」という言葉は目にした。知られざる事実として、台湾人は実は四川料理系のピリ辛料理が好きらしい。ただし、台湾料理が四川やタイや韓国、メキシコみたいに激辛で有名、というのは聞いたことがない。恐らく「適度にピリ辛」な「麻辣」なのだろう。

ハーゲンダッツの鍋

ありゃ?

日本でも見慣れたハーゲンダッツのロゴの下にには、扇形に広がる各種鍋の名前が。台湾では、ハーゲンダッツって鍋屋も運営していたのか。アイスクリームブランドと180度違うこの展開にはびっくりだ。

しかもその鍋たちの先頭を飾るのが「麻辣鍋」。またか。ホント好きだなー。

あとの鍋は全然わからない。漢字が読めるからといって、全くそんなものは役に立たないということが香港に次いで実感させられた。

泡の菜の鍋って何だ?葉っぱから泡が出るのか?(正解:パオツァイと読み、四川の漬け物。大根やにんじんを香辛料入り塩水に漬けたモノらしい)

あと、「レモンの香りがする茅の鍋」というのも謎だが、これはハーブの一種レモングラスのこと。トムヤムクンみたいなものだろうか?

まあ、ここで食事をするわけではないので謎解きはほどほどにしてスルー。

西門町から徒歩で龍山寺

西門町から徒歩で龍山寺に行く。龍山寺は台湾でもっとも有名な寺院ということで、ぜひ見ておきたかった。そこまでの道は、台北の街並み拝見ということでてくてくと歩く。

ジーニアスが言う。

「なんか一昔前の日本を見てる感じだよな。西門町、表通りは今風だったけど一歩裏通りに入ったらとたんに古くなるし」

確かにその通りだ。日本というのは画一的に都市が近代化されているが、台北の場合、一歩道を逸れると古い街並みが現れる。まだまだこれから発展していく国なのかもしれない。

暑い中歩くが、いろいろ発見があって面白い。ジーニアスも文句一つ言わず率先して歩いている。

「乾洗店」・・・恐らくクリーニング屋らしき店舗があった。が、店の前に堂々とシーツかなにかの「お預かり品」を干している。

「おい!いくらなんでも店頭に干すのは反則じゃないのか?」

街を走り回るオートバイの排ガスで燻されそうだ。

レンガ造りの建物

築数十年と思われる建物の横にひょいっと新しい建物があったかと思ったら、いきなりこんなレンガ造りの建物が出てきたりする。なんとも統一性が無い。

まだこのあたりは都市計画が行われていないのだろう。いずれ、こういうところもまとめて取り壊されて、高層マンションや巨大商業施設ができたりするんだろうか?

それにしても味のある建物だ。

歩道には軒がある

レンガ住宅の下を通り抜けていく。

金物屋

金物屋が集まっている一角。

秋葉原のジャンクパーツ屋街を思い出させる。

中でも目立っていたのがこの扇風機屋。大小様々な扇風機が売られていた。

業務用で床のワックスを乾かす用・・・だと思われる大きなものが売られているが、この酷暑だと「あれが家庭用でも何らおかしくないよな」と思う。

いや、それ以前にこの台北だとクーラーが無いと夏は生活できん。扇風機ごときじゃ、話にならん。

ひょっとしたら、屋台で調理している人が使っているかもしれない。さすがに唐揚げなんて屋外で揚げたたら、いくら暑さに慣れている人でも耐えられんだろ。でも、でかい扇風機にすると涼しいけど風で物が吹き飛んでしまうというのが悩ましいところだ。

機車材料

びっくらこいたのが、「機車材料」という看板を掲げたお店があったということだ。鉄道の材料をこんなところで売ってるのか?

それとも、鉄道マニア向けのお店なのだろうか。いや、それだったら「材料」なわけがない。

「車輪」とか「タブレット」が売られていたらそれこそ驚愕だ。「いやー先日もMRTのメンテナンス担当者が購入に来まして」なんて。プロ仕様の店?

どきどきしながら店内をのぞき込んでみたら、あれれ、ヘルメットやオイルが陳列してあるではないか。どうやら、「機車」とはバイクの事を指しているらしい。うーん、漢字って難しい。

寺院

街の中にひょっこりと、中華~な雰囲気の寺院が現れるのが不思議。

それにしてもけばいな。これでもか、というくらい装飾してある。台風が来たら瓦の装飾品が吹き飛びそうだけど、大丈夫なのだろうか。

飼い豚

あと、街の中にひょっこりと現れた豚。

どうやら飼い犬ならぬ飼い豚らしい。

街を歩いていると、ひもで結ばれていない状態で野放しになっている飼い犬が店頭にいるのを何度も見た。それと同じで、豚さんも野放し。

逃げるんじゃないか、と思うが、何せこの熱さだ。へばってしまって、腰砕けだ。犬も豚も、動くのが面倒とばかりに地面に横になっていた。

豚も飼い慣らせば従順なんだな、と感心。

いずれ食べられてしまうのだろうか?それがすごく気になる。

急慢性尿道炎

「急慢性尿道炎」の専門治療医院があるようだ。

そんな専門医が必要なほど、この国は尿道炎の人が多いのだろうか。

歩道駐輪バイクがとても多い

「もうどうなっちゃってるの、この国のバイクは」

路上にバイクが停められない場合、歩道に乗り上げてバイクを駐車している。

「それ用に歩道を広く造ってあるあたりがまたおかしな国だよな」

ジーニアスが不思議がる。

確かに、これじゃ「屋根付き駐輪場を歩道沿いに作ってあげている」ようなもんだ。この国では「違法駐輪」という概念は多分根付かないだろうな。何が合法で何が違法なんだか、そもそもさっぱりわからない。

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