09:49
宿を後にする。
本来、「温泉でゆっくりする」ことが目的なので、できることなら今日の昼下がりまでダラダラと風呂に入っていたい。しかしそうはできないのが宿の仕組みで、10時までにチェックアウトである以上仕方がない。
さて、どうしようか。
塩原温泉に戻るとか、那須湯本に向かうという手もある。しかし、それなりの移動をしたあとにまた風呂といってもいまいち盛り上がらない。コンプリートしてやったぞ感の方が先に立ち、「ゆっくり」ではない展開だ。
えーい、だったら開き直って観光したらぁ。
ついにこの瞬間、「観光旅行」に舵を切ってしまった。ああ、本来の趣旨とは全く違うのに。
疲れに行く旅行。
で、目指す先は福島県の大内宿。東京への帰り道ではなく、ますます東京から遠ざかる方向へ向かうことになってしまった。
大内宿で、ねぎそばでも食べて帰ろう。それもまた、癒やしだと思いたい。
目の前に高架橋が見える。まるで我々が走っている車道と合流するようだけど、違う。いずれ我々があの高架を走ることになる。ぐるーっと回り込むのだな。にわかには信じられない。
10:39
ずずずいと進み、会津田島。
信号の向かいに、唐突に赤い鳥居が見える。青信号になったら、うっかりこのまま境内に突撃してしまいそうだ。
途中会津田島に立ち寄ったのは、「まちの駅 南会津ふるさと物産館」があるからだ。
会津田島には「道の駅たじま」というのが存在するが(「アワレみ隊奥のマゾ道」企画のスタート地点だった)、それとは別に「まちの駅」があるのだから面白い。もう、なんだってありだな。多分、この狭い日本、あちこちに「川の駅」「山の駅」「田んぼの駅」といった名前の施設があるに決まってる。
トイレに行くと、便器の前に木の板が立てかけてあった。なんだろう、これ。
恐らく、消臭剤か芳香剤の意味として置いてあるのだろう。珍しい。
「あと一歩前へ」といった標語が書いてあるかと思ったけど、そういうことはなし。単なる木の板だった。
店頭に、「くきたち菜」という聞き慣れない葉っぱ野菜が売られていた。
「風たちぬ」みたいな名前だな、と思っていたら、後々まで「ほら、あの野菜・・・風立ちぬ」と間違った記憶が頭にこびりついてしまった。
アブラナ科の野菜らしい。会津名産というわけではなく、全国で栽培されていたものらしいけど、今やあまり市場に出回っていないっぽい。
折角だから、買おうか、とも思ったけど、面倒臭いのでやめた。レンタカーだと、旅のお土産が増えるのは面倒でかなわん。自宅にガレージがある家&マイカーだったら、少々荷物が増えても楽なんだけど。
この「まちの駅」に立ち寄った目的は、この界隈名産のアスパラガスを買いたかったからだ。しかも、紫色をしたアスパラガスがあるという。
ほら、なにやらうっ血したような怪しい色をしたアスパラガス、発見。お値段は緑のアスパラよりも一回り高い。
断面はグリーンアスパラと同じ白と緑。しかし、表面だけが紫なのだから珍しい。実際、市場にはあまり流通していないものだという。
甘みが強い味が特徴だというけど、普通のアスパラガスと食べ比べたわけじゃないので「うん、うまいうまい」と食べてしまった。あと、茹でると普通のアスパラガスとあまり色が変わらなくなってしまう。柔らかい品種だし、生で食べるのがベターらしい。しまった、茹でちゃったよ。
味噌が売っている冷蔵棚に、米こうじがたくさん売られていたのが印象的。おそらく、このあたりの人は自分で味噌を作ることもするのだろう。
以前、自分でこうじかびを繁殖させようとこたつで培養したところ、青カビ赤カビが大量にできてしまってがっかりしたことがある。最初っからこういうこうじを使うのが初心者にとってはよいとおもう。
11:20
以前大内宿に行った際、随分手前から激しい渋滞に巻き込まれた思い出がある。今回もそうなるのはイヤなので、大内宿の玄関口とも言える湯野上温泉経由ではなく、会津下郷から山道に入っていく。若干大回りになるけど、混んでいるよりはましだ。
このあたりはまだ道路脇に雪が残っている。4月半ばだというのに!
道路脇には、ふきのとうがあちこちに芽吹いていた。天ぷらし放題ではないか、キミイ!
ふきのとう。
あー、もう広がってしまっているので、天ぷらには不向きかな?
それにしてもふきのとうって、いとも簡単にあちこちに生えるものなんだな。
スーパーで買うと、結構お高くて「うおっ」と思わず唸ってしまうものだけど。
ふきのとうの独特な苦みは大好きだ。ふきのとうの天ぷらは、僕にとって春の最大のごちそうだ。ああ、食べ物が目の前にチラチラしてるよ。
こういうのを採取したら、窃盗になるのだろうか。なるんだろうな、きっと。おとなしくスーパーで窃盗したほうがよさそうだ。いや、違う、スーパーで購入、の間違いだ。
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