10:42
千本松牧場をあとにし、塩原方面を目指す。
僕が那須高原を愛してやまないのは、雑木林の中を走る道が最高に気持ち良いからだ。まるでここは北海道か、それとも軽井沢かという気持ちにさせられる。
道路脇にときどきある建物は、コンビニエンスストアやガソリンスタンドであっても茶色系の落ち着いた色あいになっている(何故か一部例外があるけど)。この界隈には景観条例が施行されているのだろう。
ただし唯一残念なのは、那須における主要道路はとても限られていて、ハイシーズンになるとものすごく渋滞するということだ。主要道路左右に観光施設が点在しているのだけど、道路右側の施設に入りたがっている車が道をふさいでしまい、後続の車がつかえてしまうことで慢性的な渋滞が起きる。もう少し道幅に余裕があればよかったのだけど、後の祭りだ。
10:48
「道の駅 湯の香しおばら」に立ち寄り。
これもまた、本日の宿に向かっていく最中にある場所だ。「か、観光じゃないからね!?」明らかに挙動不審で、ハンドルをぐっと切って駐車場に車を停める。
道の駅は、東北自動車道西那須野塩原インターから塩原方面に向かう国道400号と、那須の山麓を走る県道30号線とが交わるところにある。
那須は、とにかく「山の上から高速のインターチェンジに向かう道」が激しく混む。なので、敢えて高速道路は諦めて、この山麓の県道30号をすいすいと走って南の矢板インターや北の白河インターに逃げるというやり方が快適だ。高原ドライブでとても気持ちが良い道だ。
10:50
ホルスタイン像にお出迎えされ、そのまま農産物直売所に向かう。
農産物直売所では、しいたけが「アスパラガス」として売られていた。
道の駅ではよくある光景。多分、この生産者さんが一緒に出荷しているアスパラガスも300円なのだろう。で、わざわざラベルの設定をやりなおすのは面倒だし、しいたけもアスパラガス扱いにしちゃった。
それだったら、最初から「野菜」という名前でラベルを作ればいいのに・・・と思うけど。
いや、まさかこれがアスパラガスなのかもしれない。なにせ、農作物のプロがそう言っているんだから、僕ごときの見解より正確だぞ?まじで?
10:53
道の駅のひろーい広場には、鯉のぼりがめざしのようにつり下げられていた。ああそうか、あと半月もすれば端午の節句か。折角の鯉のぼりだから、早めに出しておこうというわけだ。
しかし、ワイヤーがたるんでいるため、一部の鯉のぼりのしっぽが地面にズルズルとあたっている。いずれすり切れるんじゃなかろうかと心配になる。鯉のぼりおろし。
道の駅で売られていた、スープ入り焼きそば。そうそう、これこれ。
塩原の隠れご当地B級グルメとして、「スープ入り焼きそば」というのが知られている。その名の通り、焼きそばがスープに沈んでいるというものだ。ちょっと想像つかない料理なので、今回はそいつをお昼ご飯で食べようと思っている。だって塩原温泉って、ちょうど本日の宿に行く途中だもの。べ、べつに観光目的じゃないからね?
これから食べる予定なので、敢えてお土産として買うことはしなかった。
それにしても、スープ入り焼きそばってなんだよ。昔、「焼きそばバゴォーン」というインスタントカップ焼きそばがあって、普通のカップ焼きそばに加えて粉末スープのもとがついていたっけな(実は今でも売られている。東洋水産製)。でもそれは、スープを別のカップで作って飲め、というものだ。「スープと焼きそばがひとつの丼でいちゃついている」なんて見たことも聞いたこともない。それは果たしてうまいのか?
11:04
スープ入り焼きそばの謎はこのあと解明させるとして、次に向かったのはもみじ谷大吊り橋だった。道の駅から車でほんの少しの距離にある。
「ガンバれ(はーと)日本!!」という看板が脱力させられる。
胃袋に元気を注入!なんだそうで、そんなことをやったらますますおなかが空くじゃないですかァァァァ!と思う。まだだ、ここでお昼ご飯を食べるのはまだだ。
どうやらここでもスープ入り焼きそばをやっているようだけど、今回は敢えて「元祖」とされているお店で人生初のスープ入りってぇヤツを食べてみようと思っている。
11:03
「森林の駅」なんだそうだ。
もう、なんでもありだな。日本全国駅だらけだ。道の駅で大成功したのを見て、「○○の駅」というのはいたるところで存在している。しかし、「森林の駅」というのは初めて見た。
もみじ谷大吊り橋の主塔が見える。周囲の光景から不釣り合いなほど、高くそびえていてギョッとする。
全長320メートルということで、国内でも最大級の歩道吊り橋ということになるらしい。
できた当時は茨城県の竜神大吊橋に次いで日本二位。しかし九重"夢"大吊橋ができて三位になっている。僕らがここを訪れた2015年4月時点では第三位だったけど、同じ年の12月には「三島スカイウォーク(全長400m)」ができて四位になった。
長さを競うというのは、いずれ破られる運命にあるものだな。切ない。そういえば、一時「世界一の大滑り台」を作るっていうのを自治体同士が競っていたこともあったっけ。あれは今、どうなったのかなあ。これもまた、切ない。
総工費5億円以上。もちろん無料というわけにはいきませぬ、吊り橋のたもとにはしっかりと料金所があった。
えー。
どうしようかなあ、吊り橋を渡った先に何か楽しげな空間があるわけでもなさそうだ。そして吊り橋がかかっている場所はダム湖で、ごっそりとえぐれた渓谷美が広がっているような空間でもない。
入場料、300円。これがあと100円でも高かったら、絶対にお金を払わないけど、絶妙なラインを突いてきおるわ。
「せっかくだから」という殺し文句で自分を納得させ、お金を払って中に入ってみる。300円分の価値があるとは思えなかったけど、ここまできて退却というわけにもいくまい?
11:07
大吊り橋に向かう。
大吊り橋。
人がそのまますれ違うにはちょっと難しい幅。
大吊り橋の上からの眺め。
おだやかなダム湖。
特にダムの堰堤が見えるわけでもなく、荒々しい絶壁などが見えるわけでもない。
秋になると山々が赤く色付くのかもしれないけど、4月時点ではそんな気配はみじんもない。新緑でもなく、寒々しい。
いまいち盛り上がらないので、とりあえず足元の鉄柵から水面を見下ろし、「わー」「きゃー」などと言ってみる。
うむ、微妙。
高所恐怖症の人にとっては、これだけでも十分に怖いのだと思う。若干とはいえ、吊り橋は揺れるし。しかし、鈍感な僕にとっては取り立ててエキサイティングなものではなかった。
案の定、吊り橋の対岸に渡っても何もなさそうだったので、2/3ほど行ったところで折り返してきた。小雨が降ってきたし。
静かに散歩をしたいんだ、という人にはいいかもしれないけど、密かな興奮とか、SNSウケのいい写真が撮りたいとか、そういうスケベ心を持っている人には全く向かない空間だった。
吊り橋の上からでは、フォトジェニックな写真を撮るのは無理。こうやって陸地から吊り橋を撮影した方がましだ。というわけで、お金を払ってまで吊り橋を闊歩することはないと思う。
しかし、ここまで来て吊り橋を歩かないわけにはいかんだろう?・・・という気持ちはよくわかるので、お金に余裕がある方は是非どうぞ。
コメント