うっかり、観光【奥塩原】

蕎麦屋

折角、塩原の温泉街を散策しているのだから、もうひとつの名物「とて焼」を食べてみることにした。

取り扱っているお店は全部で11(2015年当時。2017年には13軒と増殖している)。とて焼き専門店は一店舗もなく、本業の傍らでとて焼きを売っている。なので、営業時間は当然お店によってバラバラだし、お店はやっていてもとて焼きを売る時間はさらに限られていることもある。事前に情報収集は必須だ。

この際、面白食材が入っているネタ的要素の強いとて焼きを狙うか、それとも素直にうまそうなものを狙うか、意見が分かれるところだ。どのお店もクセの強いとて焼きを提供していて、「これが基本中の基本となるとて焼き」が存在しない。なので、「初回なんだし、手堅くノーマルなものを食べてみよう。うまかったら次回、奇をてらったものを」などという安直な対応はできない。

さて、どうしたものか。

2015年当時のとて焼メニューは、今となってはわからなくなっている。とて焼は常に試行錯誤をしているようで、今この文章を書いている2017年では、各店舗ともにかなりメニューを変えてきているからだ。どのお店も、一店舗1種類のとて焼きを出しており、クレープ屋台のような膨大なメニューを一店舗でまかなっているわけではない。

饅頭屋・和菓子屋が提供するとて焼や、カフェが提供するとて焼というのはおおよそイメージがつきやすい。しかし、なにやら不穏なのが、「精肉店」「蕎麦屋」「食事処」などだ。角煮とて、なんていう、クレープではちょっと考えにくいメニューがしれっと存在する。

しまいには、寿司屋が「酢飯にいくら、マグロ、きゅうり、かんぴょうを入れた『寿司とて』」なるものを出す有様。おい、これはさすがにウケを狙ってるだろう?

でも、こういうふざけたようなメニューも、全13種類のなかに含まれているというのがいい。「とて焼」というB級グルメ文化に厚みが生まれるからだ。・・・でも、今回食べるか?といわれると、さすがにこれはちょっと。

というわけで、蕎麦店が提供する「そば舞とて」を試してみることにした。生地の中に、蕎麦とまいたけ天ぷらが入っているのだという。これもちょっとおふざけ系だが、ひょっとするとうまいかもしれん。

訪れたのは、湯津上屋、という蕎麦屋。

とて焼きののぼり

とて焼のすばらしいところは、取り扱いがあるお店の店頭に「とて焼」と書かれたのぼりが立っていることだ。お店の目印にもなるし、こののぼりが出ている時間は、とて焼の提供が行われているということでもある。

ちなみに売り切れたら、ピンク色ののぼりから青色ののぼりに切り替わり、「もう売っていないよ」ということを知らせることになっている。

今、湯津上屋にはピンク色ののぼりが掲げられているので、まさにとて焼きを販売中、ということだ。

しかし・・・どうしたものかな。お店に入るのがちょっとはばかられる。

というのも、あまりに地味な、地元民御用達な感じの蕎麦屋だからだ。とて焼売ってます!という感じではない。いや、とて焼を売っているのは間違いないのだろうが、「とて焼だけください」というのが雰囲気的に許されるのかどうか、という感じだ。

居酒屋に行って、「えいひれください!それだけでいいです!」って注文するのはちょっとありえないでしょ?それと一緒。

蕎麦屋内部

案の定、店内はごらんのようなざっくばらんとした蕎麦屋。

お客さんがいない。

とて焼きを1個、お願いする。二人で1個というのはちょっと申し訳ない気がするけど、許して。

テイクアウト専用受け渡し口が店頭にあればいいのだけど、そんな作りには当然なっていない。若干の居心地の悪さを感じながら、ひたすら待つ。

蕎麦屋メニュー

待っている間にお品書きを見る。山海そば、舞茸そばといった料理がある。

写真がすっかり色あせてしまい、料理のサンプルとしては全く役に立っていない。うまそうに見えない。

そば舞とて

出来上がったとて焼を受け取る。これが湯津上屋オリジナル、「そば舞とて」。400円だったと思う。

とて焼のラップは全店舗共通なのだろう、「とて焼」と印刷されている。

で、肝心のとて焼だけど、なるほどクレープとはちょっと違う。クレープにしては分厚すぎるからだ。ふわっとしていて、ホットケーキの風情。そしてその中に・・・ああ、確かに舞茸の天ぷらさんが顔を覗かせていらっしゃる。

そば舞とてアップ

とて焼を上からみたところ。

舞茸天だけじゃないぞ、幅広の蕎麦も入っているぞ。なかなかに珍しいビジュアルだ。しかもこれ、醤油味ではなく、マヨネーズで和えているというのだからもう、意欲作としかいいようがない。

とて焼きにかじりつく

そば舞とてをかじりつく。

味については記憶が残っていない。「悪くない」という感想だけ。

ただ、やっぱりイロモノであることにはかわりなく、こういうとて焼を食べるなら、併せてスイーツ系のキャッハウフフなとて焼を食べたいところだ。

足湯

とて焼を食べたことだし、塩原温泉を後にする。いずれまたここを訪れることもあろう。その際は違ったとて焼も試してみたい。

車で温泉街を離れる際、大きな施設の横を通り過ぎた。「塩原温泉湯っ歩の里」という足湯で、日本最大級の足湯なんだそうだ。

「日本最大級の足湯」ってなんだよ、と思うが、ここには「足湯回廊」と名づけられた60mの楕円形の回廊があって、それが日本最大級になるらしい。回廊には大小の石が埋め込まれていて、健康歩道の役割を持っているという。

健康歩道が大好きな僕としては、大変に気になる施設だ。折角だから・・・とも思ったが、入場料が200円というのでやめた。もう時間が時間だし、宿に向かわなくては。

道を戻る

宿に急ぎたいところだけど、最後に一カ所だけ立ち寄りたいところがある。温泉街からちょっと離れたところにある、「小太郎ヶ淵」という場所だ。

その名のとおり、川が流れる沢だ。それだけならわざわざ見に行くほどのことではない。しかし、ここが異色なのは、小太郎ヶ淵の傍らにある「小太郎茶屋」だ。写真で見たことがあるのだが、どうみても古い。もっと単刀直入に言うと、ぼろい。そんな建物が、川っぺりギリギリのところに、我慢比べでもするかのように建っているのだ。しかもその茶屋には車でアプローチできないので、歩いていくしかないのだという。

単に冷やかしのために小太郎ヶ淵に行く趣味はないけど、この茶屋で売っている草団子が実はかなりうまいのだという。

こいつァ行ってみるしかあるまい。冒険的シチュエーション、古い建物、そしてうまい甘味。わくわくさせられるじゃないか。

大きな宿

特徴的な、弓状にカーブした建物のところを曲がる。国道400号線から、県道56号へ。塩原11湯のひとつ、「塩の湯」に向かう道だ。

この大きな建物は、栃木県医師会塩原温泉病院。温泉によるリハビリテーションができるらしい。

小太郎ヶ淵への道

ここから先は道が狭くなるようだ。

大丈夫か?と心配になるが、「小太郎ヶ淵」という案内看板がちょこんと出ているので道は間違っていない。

このまま進もう。

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