うっかり、観光【奥塩原】

大内宿にやってきた。

「宿」という名前のとおり、昔は宿場町だった場所だ。

こんな山奥になんで宿場町が?と今となってはとても不思議だけど、江戸時代は会津西街道が通っていたのだという。今は、幹線道路である国道118号線が川沿いを走っていて、大内宿は忘れ去られた地のようになっている。

だからこそ、昔ながらの町並みが現存しているわけで。

こういうのは、加減が難しい。ある程度の古さだと「ボロい」と外部から言われ、住んでいる人自身も新しい家に建て直したいと思うだろう。でも、その古さが突き抜けると、がぜん観光資源として価値を帯びてくる。

今だったらどの当たりがその「微妙なライン」だろうか?表参道をはじめ都内各地にあった「同潤会アパート」なんてのは近代建築のボロさとカッコよさの狭間で、結果的にカッコいい古さになった。大正期から昭和初期にかけての建物は、すでにイケてる部類だ。となると、高度経済成長期に建てられた、団地などがちょうど「微妙なライン」なのかもしれない。既にそういう無機質なアパート群を再評価する動きもあるけど、まだ一部マニアの趣味であり、一般的ではない気がする。あと数十年すれば団地もカッコよくなるのかもしれない。

観光客

11:47
とにかく、のどかなんです。

街道筋、という気配が大内宿に向かう途中全然感じられない、そんな隔絶された世界。

恐らくもともと何もなかったんだろうし、大内宿が観光地化するまでの間に廃れていったりもしたのだろう。

そんな中、大勢の観光客で賑わう大内宿。

懸念されていた駐車場渋滞はなく、するすると中に入ることができた。

大内宿建物

大内宿に初めて来た、というカツが目を見開いて驚いている。さっきから「うわー」とか「すごい!」といった言葉を連発している。

それもそのはず、まんが日本むかしばなしに出てくるような茅葺き屋根の家がずらっと並んでいるんだから、驚かないわけがない。

カツにカメラを預け、好きに撮影してもらうことにした。僕は過去に2度ほど訪れたことがあるので新たな驚きはないけど、大内宿初の人はその興奮をダイレクトにカメラに収めてくれるだろう。

大内宿建物

三澤屋。

大内宿の名を知らしめたのは、茅葺き屋根の古民家だけではない。このお店が始めた、「ねぎ一本を箸がわりにして食べる蕎麦」である「ねぎそば」が名高い。その珍妙な食べ方はとても滑稽で、旅の思い出作りとしては最高だ。

僕も、初めて大内宿を訪れた時はこのお店に立ち寄っている。

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当然今日はこの大内宿でねぎそばを食べる予定なので、無難に三澤屋でもいいかな・・・と思っていた。しかしカツは

「おかでんさんが食べたというなら、別の店がいいです」

と言う。そんなわけで、このお店はスルーした。珍しく店の外まで行列ができていなかったのだけど。

ねぎそばは三澤屋のオリジナルだけど、それを自分のお店の専売に留めず、大内宿の他のお店で提供することを認めている。なので、大内宿で飲食店を営むお店の多くは、ねぎそばを提供している。食べようと思えば、どこでも食べることができる。

大内宿建物

大内宿のメインストリート。

真ん中に広い通り、その両脇に用水路、そしてかなりセットバックして建物という構図。

大内宿建物

大内宿。

大内宿建物

大内宿。

似たような構図だけど、カツが興奮してあれもこれも撮影しているのでこうなる。

大内宿建物

以前と比べて、蕎麦屋が増えた気がするけど気のせいだろうか?

三澤屋以外のお店でねぎそばを食べようと思った時、選択肢がやたらと多いことに今更気がついた。さて、どこにしようか。

大内宿建物

ネットで口コミ検索をしてお店を決めるというのは僕は好きではない。なので、見た目の雰囲気でエイヤーッと決めたい。

とはいっても、どのお店も茅葺きの古民家だ。雰囲気といわれても、どれも似たりよったりだ。

大内宿建物

GWが近いということもあって、こどもの日に備えて鯉のぼりが掲げられている。

大内宿建物

くるみそばを標榜するお店もある。うーん、それもいいなあ。

くるみだれといえば、長野県の東信地方の名物だけど、こっちでも食べられているのか。

大内宿建物

こっちにも「手打ちそば」の文字。

もしこの地で、「手打ち」じゃなかったら商売にならないと思う。機械製麺が悪いとは言わないけども、「旅情」とか「風情」といったセンチメンタリズムにおいて、ここでは手打ちが必須条件だろう。

手打ちじゃない、と分かった瞬間に、客は他店に流れる。

大内宿建物

金太郎そば、を名乗るお店。

昔は、大内宿でも「ねぎそば」を明確に謳っていないお店が多かった。なので、うっかりするとねぎそばを取り扱っていないお店に入店してしまう恐れがあった。

その点今じゃ、どこでもねぎそばをやっているっぽい。さすがに、「ねぎそば」というビッグウェーブに乗っからないお店は今更ないのだろう。

大内宿建物

カツ撮影の写真が続く。

大内宿建物

大内宿。

大内宿建物

大内宿。

大内宿建物

大内宿。

大内宿建物

ここにも手打ち蕎麦屋。

大内宿の建物の特徴は、玄関が道路に面していないということにある。すべて、建物脇の南側に設けてある。なので、目抜き通りから見ると、縁側しか見えない。

で、その縁側には民芸品をはじめとする素朴なお土産が売られているというのが定番であり、外から「蕎麦屋」としての雰囲気を察知するのはちょっと難しい。

看板をぎゅっと見て、色気を感じたお店へGOだ。

・・・今んとこ、「これだッ!」というのは見つかっていないけど。

大内宿建物

木製の鳥居。

大内宿建物

火の見櫓。さすがにこれは鉄塔だ。

木造にするという話もあるだろうけど、「防火・防災」という観点で重要な施設なので、こういうものはちゃんとしていないとまずいんだろう。なにせオール木造だし、屋根なんて燃えやすい素材だ。しかもちゃんと人が住んで煮炊きをしているんだから、火事にはスゲー気をつけないとやばい。

大内宿建物

大内宿。

大内宿用水路

道路脇の用水路で、ジュース類が冷やされていた。

ラムネ120円。

大内宿建物

大内宿は、こうやって藁葺きの家が軒を連ねている構図が美しい。藁葺きの向こうにさらに藁葺き、とずらっと並ぶ景色。

カツがさっきからソワソワして写真を撮りまくっている。

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