11:25
大笹牧場を後にし、霧降高原を経由して日光に向けて戻っていく。
同じ道を折り返すのは、僕の性分としては「なんか損した気分」だ。でも、別の道を使うとかなりの大回りになってしまうので、やめた。
渓谷をまたいでかかるアーチ橋、「六方沢橋」が見えてきた。深い谷をまたぐ、立派な橋だ。
途中で車を停め、橋を見に行くことにした。
おっと。なにやら不穏な看板が出ている。
ちょっと待って!!
あなたの抱えきれない辛さ。
私たちに聞かせてくれませんか?
心療内科の看板でも、宗教団体の看板でもない。「いのちの電話」の電話番号が書いてあった。
おーい、ってことはここは自殺スポットということか。
一回二回のI can fly!じゃこんな看板は立たないと思うので、おそらく飛び降り自殺が後を絶たない、ということなのだろう。
似たようなのを、東京の総武線新小岩駅で見たことがあるぞ。あそこは、いよいよ「駅構内に、猫や美しい自然の風景を映す大型ディスプレイ」を設置するくらいだ。思い詰めた人は、こういう看板やニャンコを見て思いとどまったりするのだろうか?
六方沢橋。
欄干には、「そうはさせじ!」とばかりに、2メートル以上ある高さのフェンスが取り付けてあった。
後付けのフェンスだけど、橋が出来た当時のものと思われる欄干は平凡な高さのものだ。なるほど、それで乗り越えちゃう人が後を絶たなかったのか。
崖下まで100メートル以上はある。確かにこれはひとたまりもない。
調べてみたら、過去に結構な数の方がここで命を絶っていた。そして、この訪問日以降も、同じようなことが起きている。
そのあたりのことを十分に知りつつ、この崖をのぞき込むとちょっと怖いものがある。しかし当時の僕はそんな知識がなかったので、「うわー、高いところに橋があるなあ」と無邪気に驚くだけだった。
でもむしろ、そういう方が幸せだ。僕は心霊スポット巡りをする趣味はない。
11:46
霧降高原の別荘地近くに、「霧降の滝」という場所があるようだ。滝があるなら、とりあえず見ておかなくては。そんなわけで、霧降の滝手前までやってきた。
車道の突き当たりは道がロータリー状になっている。ここで車を停め、あとは鑑瀑台まで歩いて行くことになる。
11:46
霧降の滝入り口、と書かれた歩道に入る。
左の石段を登れば、「山のレストラン」というお店がある。
11:48
無能としか言いようのない、案内図。
途中に道の分岐があるならば、案内図を作る意味がある。しかし分岐がない一本道でこの図を作る意味は何だろう。面白くて思わず写真を撮ってしまった。
11:53
「いや、気をつけろ。ひょっとすると非常に難解なルートなのかもしれない」
と周囲を警戒しながら、道を進んでいく。
11:55
けもの道や落とし穴、猛獣の襲撃など危険なことは一切ないままに霧降の滝到着。
滝のすぐ近くまで近寄れるというわけではなく、一つ向こうの山にある滝を遠目で鑑賞するスタイル。
迫力という点ではいまいちだけど、全景を見ることができるのでこれはこれで美しい。新緑とのコントラストも心和ませる。
袋田の滝みたいに、「おい、滝が近すぎるぞ」という滝は、特に記念撮影をする時に困る。近すぎて、滝の全体がよくわからないし、人物と一緒に写真を撮ると、滝がずいぶん隠れてしまう。
その点ここなら、心ゆくまで記念撮影できるぜ!
もうちょっと迫力が欲しい人は、ズームレンズで滝を撮影してどうぞ。
12:08
20分ちょっとで、山のレストランまで戻ってきた。
テラス席では、昼間っからワインをたしなんでいらっしゃるグループが見える。いいなー、贅沢な時間の過ごし方だ。眺めは最高だし、お店は雰囲気あるし、こういうところでゆっくりランチを楽しめる余裕って一体どこから生まれるんだろう?
おそらく、ここを「観光地だ!目一杯楽しまなくちゃ!」と考えている人だと、無理だと思う。お尻がソワソワしちゃって、腰を据えてワインなんて飲んでられない。僕がまさにそうだ。
ちなみにこの「山のレストラン」、洋食のお店で、コースは8,000円からというお店でそれなりのお値段となる。しかも閉店は19時と早いので、ランチにそれだけのお金を払える人用のお店、ということになる。僕の財力では無理だー。
なお、単品メニューも豊富にあるので、自分のお財布にあわせて料理を組み合わせることもできる。
僕なら、ライス200円にピクルス300円で、500円でお願いします。
まあそれは冗談としても、ちょっと奮発してここで食事とゆったりした時間の過ごし方、というのはとても素敵な週末になることだろう。
車に戻る。
日光に向かう前に、霧降高原の別荘地に立ち寄って様子を見てみることにした。
というのとも、地図を見ると結構特徴的な道路の形をしているからだ。まるで植物の葉っぱの葉脈のようだ。
12:17
別荘エリアに潜入。さすがに人んちのまわりをぐるぐる回るのは悪いので、ざっくり素通りする程度にとどめる。
個人向けの別荘もあるけれど、ペンションが結構あるように見える。
最近、ペンションに泊まるという機会が全然ないので、すごく面白く町並みを楽しむことができた。
12:36
日光市街にやってきた。
まず立ち寄りたかったのが、神橋のたもとにある「油源」。
鬼怒川温泉泊の際に立ち寄り、ここで買った山椒の佃煮が大当たりで大満足だった。
なので、また今回も買おうと思ったからだ。
おう、狙っていた「実山椒佃煮」は売っていなかった。
そのかわり、実山椒佃煮よりもお値段アップとなる「山椒若葉煮」はたくさん売られていた。
60g1,080円。100g2,160円。
さすがにこれは手が出せない。いや、出せるんだけど、出すべきじゃないと思った。人は知らなくていい幸福、というのがある。一度いいものを食べてしまうと、その後の人生が不幸になると思うんだ。その一つが、これ。
ちなみに実山椒佃煮は70g780円なので、これだったら「かろうじて自分の人生踏みとどまれる幸せ」だと思っている。
とはいっても、佃煮なんてそうそうバクバク食べるものではないので、「60g」とか「70g」というのがどれくらいのボリューム感なのかちょっとイメージが付きにくいのだけど。
12:40
油源界隈は一時的とはいえ車の路駐ができそうにもない道だ。
なので、ちょっと離れた日光市役所の駐車場に車を停めていた。何も買わないで駐車場に引き返すのは惜しいので、すぐ近くにある「日本三大奇橋」、神橋を見ることにした。遠目で。
ここは敷地内に入るのにお金がかかる。
中に入ったからといって、特に何かあるわけではない。僕は敷地の外から眺めたり写真を撮るだけで十分だと思うのだけど、案外お金を払う人はいるようだ。
神橋の面白いのは、橋の反対側が封鎖されていて、橋を渡りきることができない、ということだ。
あと、世界遺産にも指定されている橋なので、厳重に管理されている。欄干に寄りかかられないように、本来の橋の内側に柵がある。
そんな橋を横目で見つつ、次のポイントを目指す。
(つづく)
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