18:02
足尾を後にし、渡良瀬川に沿って退却していく。ここから関東平野までは、案外長い道のりだ。
ちょっと急いでいる。というのも、今晩は群馬県の太田市界隈で食べられるB級グルメ、「太田焼きそば」を食べたかったからだ。「太田焼きそば」の名店は、昔ながらのお店が多い。そのため、閉店時間も早い。19時までに太田市にたどり着けるかどうか。
そんな道中、見つけたのが「丸美屋自販機コーナー」だった。
何の予備知識もなく店の前を素通りしたのだけど、「あっ、あの店はテレビかネットかで見たことがある!」とすぐに気がついてUターンした。それくらい、知る人ぞ知る有名なお店だ。
今じゃ滅多にお目にかかれない、「うどん・そば」やトーストの自販機がずらりと並ぶ、昭和の余韻を残す場所だ。
太田焼きそばを食べるつもりだったのだけど、見過ごすわけにもいかない。
マイカーを持っている訳ではない僕は、次にいつここを訪れるかわからないからだ。
という口実で、蕎麦食べたった。
そのときの様子は、こちら。
うまいかうまくないか、なんていう次元とは違う、「食べた」という経験こそがごちそうとなる、すごい体験だった。食べられて良かった。いずれはこの自販機も、消滅してしまうのだろうから。
18:49
太田焼きそばといえばこの店、という「岩崎屋」にやってきた。
太田焼きそばは太麺という特徴があるけれど、この岩崎屋の焼きそばは特にソースが黒々としていてインパクトが強烈だ。是非食べてみたかった。
・・・けど、あれれ。人の気配がない。「店の片付けをしている店員さん」の気配すらないくらい、がらんとしていた。しまった、営業時間を勘違いしていたらしい。
僕の手元の情報だと、「19時閉店」だったのだけど、実際は18時閉店が正解。ガセネタをつかんでしまっていたわけだ。やられた!
19:01
太田焼きそば食べ歩きマップ、みたいなものを持っているわけじゃないので、店の情報がない。慌てて近隣の太田焼きそばのお店を探し、「武藤商店」というところに行ってみた。
「やきそば」と大きく看板が出ている。
しかし!ここもお店がしまっていた。ちょうど目の前で、ガラガラピシャン、とシャッターが閉められた。あー、19時過ぎちゃったからなぁ。
19:24
途方に暮れつつウロウロした結果、ロードサイドの立派なお店だけどどうやら焼きそばがあるっぽいお店を発見。そこに向かった。
お店の名前は「東楊軒(とうようけん)」という。
ややや、太田焼きそばのお店というわけではなくて、ここは中華料理屋なんだな。チキンカツ定食があるような、ファミリーレストランタイプの中華料理のお店だ。
12月オーダー数ランキング、というのが壁に貼ってある。
1位が「黒豚とんかつ定食」というのが若干不安な気持ちにさせられる。いや、美味そうなんですが、焼きそばがランクインしていないぞ。
後で知ったが、このお店はこの「黒豚とんかつ」が名物らしい。
単なる普通の中華料理店で、普通に焼きそばを食べたんじゃ「太田焼きそばを食べました!」と言えないんじゃなかろうか。そんな気がする。
いやでも、太田焼きそばって、具に変なモノが入っているとか、特殊な焼きそばではない。言ってしまえば普通のソース焼きそばだ。なので、このメニューに書いてある「ソースやきそば 570円」を食べれば、これは「太田焼きそばを食べた」ということになるのではないか?
・・・ならないかなあ、どうだろうなあ。
「せっかく太田市に来ておきながら」と残念に思いつつ、「ソース焼きそば」をオーダーする寸前になって壁の張り紙を発見した。あ、「上州太田焼きそば」っていうのがちゃんと独立したメニューで存在するぞ。500円。
レギュラーメニューである「ソースやきそば」よりも安い、というのがちょっと気になるけれど、「太田焼きそば」を名乗っているなら間違いはない。これを頼もう。
連れが頼んだ冷やし中華定食。
別に冷やし中華が食べたかったわけじゃないけど、店頭のホワイトボードに書いてあったので、つい。
なにしろ、シュウマイと半ライス、ドリンクがついて700円だもの。これで700円って信じられる?おなかいっぱいになることができる。素敵。
一方こちらが500円の上州太田焼きそば。
なるほど、太麺だ。おそらく、「ソースやきそば」とは麺が違うのだろう。
具はシンプルにキャベツ。あと、青のり。量はさほど多くなかったので、おやつ感覚で食べられる。でも、こんな料理を「おやつ」にしていたら確実に太るな。糖尿病にもなりそうだから気をつけなくては。
ひとまず、太田焼きそばを食べることができて満足。
20:25
太田から東北自動車道館林ICに向かっている最中、どうも見慣れない言葉が書かれた看板がちらほら見えるようになってきた。そして、なんだか見たことがある景色のような気がする。
あっ、ここって「群馬のブラジル」、西大泉じゃないか。
今頃になって気がついたが、ブラジリアンタウンとして関東では名高い、小泉・大泉界隈をちょうど車で走行中なのだった。
ここは、以前わざわざ旅の目的地として訪れたことがある。
非日常感があって、面白い土地だった。そういえばそのとき、マトン肉とインカコーラを買って帰ったっけな。
今回もせっかくだから、何かブラジルっぽいものをお土産にしてみたくなった。
そんなわけで、西小泉駅すぐ近くにある、「宮城商店」へ。
結局、このとき買ったのは「マトンシャンク 1kg」。
要するに、マトンの骨付きぶつ切り肉だ。
ラム肉でさえ、近所のスーパーでは売っていないことがあるというのに、マトンの塊なんてなかなか買うことはできない。
これをモンゴル流と称して、シンプルに塩ゆでにして食べるとうまいんだ。独特の臭みがまた、いい。
感心するのが、値段の安さだ。骨付き肉で、食べられない部分がそれなりに多いとはいえ、1kgで895円。やっすぅ。一体いくらで仕入れてるんだ、この肉。
今回の旅は「林間学校に格安で泊まる」というのが最大の目的だったわけだけど、足尾銅山を探索してみたり、大谷石の地下洞窟をさまよってみたり、マトンを買ってみたり、バラエティに富んだ一泊二日だった。宿代がとても安かったこともあり、日光林間学園はまた利用したいものだ。
(この項おわり)
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