ただいま、わが愛しの山小屋泊【焼岳】

河童橋周辺

14:09
バスの出発時間が近づいてきたので、ソロリソロリとバスターミナル方向に退却を開始する。

河童橋を渡った先にあるのが、「五千尺ホテル」。

河童橋を挟んで、「五千尺ロッヂ」と「五千尺ホテル」があるので、ちょっと紛らわしい。おそらく、頻繁に宿を勘違いしたお客さんが訪れ、「それは橋を渡った向こう側の宿ですよ」と指摘されるという事案が発生しているはずだ。

じゃあこの「五千尺」って何だ、というと、1尺=30センチなので、すなわち1,500メートルの意味となる。上高地の標高、というわけだ。

これが倍の1万尺になると、標高3,000メートルというわけで、「小槍の上でアルペン踊りを踊る」ことになる。ちなみに小槍は槍ヶ岳の傍らにある小さなピークで、標高3,010メートル。槍ヶ岳山頂は通称「大槍」で、標高3,180メートルだ。

河童橋周辺

五千尺ホテルは、バスターミナルから河童橋に歩いてきた観光客を受け止める場所に位置している。河童橋界隈の商業施設で、梓川左岸にある唯一の施設だ。このため、ほかのホテルと比べてはるかに大きなお土産物屋さんを併設している。

写真に写っている建物の、1階部分が売店で2階部分は飲食店だ。

他のホテルも、「もう少し売り場を広げたいな」と尻をモゾモゾさせているかもしれない。でも、上高地という場所柄、大規模な増築は許可が下りないだろう。
いや、でも一年のうち半年はクローズしている場所なので、ここで規模拡大を図るのが正解かどうか、かなり難しい経営判断だと思う。

河童橋周辺

五千尺ホテルの軒先では、テイクアウトできる軽食が販売されていた。

昔はどうだったけな、全然覚えていない。昔からあったっけ?

なにせ十年以上昔のことだ、「ああ、あの●●が△△に!」と時代の移ろいを感じるほど記憶が残っていない。

ただ、確実に昔と違う、ということがある。それは、外国人観光客が増えただけでなく、従業員も日本語が片言な人が増えた、ということだ。これには驚いた。

一体この人たち、どこからやってきたんだろう?留学生だろうか、ワーキングホリデーで来日しているのだろうか?ここで働いている、ということは恐らく住み込みなのだろう。

留学生というのは厳しい就業時間規制が課せられているけど、夏休み期間中は緩和されて週40時間のバイトが可能となる。1日8時間で、週5日。まあ、これなら留学生でも住み込みで働くことができるだろう。

驚いてしまうくらい外国人観光客がやってくる上高地なので、この日本語が片言な人たちはむしろ頼もしい。ただ、時の流れは痛切に感じた。

バスターミナル

14:15
バスの出発時間15分前に、バスターミナルに戻ってきた。

今日はあまりごった返していないようだ。

日によっては、バス待ちの人たちがここにどわーっといることがある。そのためにこの広場が用意されているわけだ。

河童焼き

14:17
「河童焼」を買ってみた。

人におすすめしておきながら、自分が食べていないというわけにはいくまい。

さっきジェラートを食べたばかりだというのに、また甘いものを食べるのか・・・と思うが、めったに来ない上高地なのだから、これくらいは大目に見てほしい。体重も多めになるけれど。

1個200円。一言でいえば、大判焼きだとか二重焼き、今川焼きと呼ばれる食べ物の仲間だった。河童の形をした皮と、中にはあんこなどが入っている。

中身は

あんこ、カスタード、クリームチーズ&あんこ

の3種類。

こういうメニューを見ると、ついつい「二つ入っているほうがお得やんけ!」と思ってしまう自分がとても卑しいです。そう言わざるをえない。

河童焼き

というわけで、クリームチーズ&あんこを購入。

味は、いわゆる今川焼きなので特に今更何か付け加えることはない。ただ、二つの味の組み合わせはあまり良いとは思わなかった。あんこだけの河童焼の方が、たぶん僕の好みにはあう。

これだけ観光客がたくさんやってくるなら、実演販売というのは受けがよいだろう。他の観光地でよくやっているように、ちくわを目の前で焼いて売るとか、そういうお店があっても好評だろう。

・・・いや、好評かもしれないけど、こんな山の中で「ちくわ」はあんまりだ。鮎や岩魚でちくわを作るならともかく、海の幸を材料にしたものをここで出すのは風情がなさすぎる。でも、売れると思うけど。

じゃあ、せめてたこ焼き屋台くらいはあってもいいのではないか?

いいのではないか?じゃねぇよ、これも材料が海の幸だろうが。

バスターミナル

14:20
河童を頭からまるかじり、という絶滅危惧動物の虐待をしつつ、バスの様子を伺う。

バスは定時になったらしゅーっとやってきて、客を乗せてぴゅーっと出て行くというわけではない。あらかじめ、バスターミナルの職員さんによる説明があって、そのあとに整理券番号順に一人ずつバスに乗り込んでいくことになる。なので、出発10分前くらいには、スタンバイしておきたい。

なんでそんなにまどろっこしいのだ?というと、デカいザックを背負っている客が多いからだ。そういう人の荷物は荷物を床下のトランクに収納するため、時間がかかる。定時運行しようとすると、それなりに事前の時間が必要となる。

乗り場

僕はここから松本電鉄上高地線の終着駅・新島々にしか行ったことがないけれど、ほかに何か所か行き先がある。

乗鞍高原・白骨温泉、平湯温泉、そして大駐車場がある沢渡。

パーク&ライドの基点となる平湯温泉と沢渡行きは、シャトルバスとして運行されているので整理券は不要。しかしそれ以外の行き先は、僕が昨日確保したように事前の整理券が必要となる。

悪質なダフ屋が現れて、「直近の整理券あるよあるよ」という事案が発生するようなことは特にないようだ。

出発時刻案内

バスターミナルのディスプレイ。

電光掲示板、と思わず言おうとしたけど、これは「電光掲示板」じゃないな。液晶ディスプレイだ。もう、わざわざ専用の電光掲示板を作る必要なんてない時代なんだな、とこういうのを見てつくづく思う。

空席情報

その他、このバスターミナルからは高速バスも発着する。

「あ、そうなんだ」と今更知るような路線も、ここに書かれていた。

今日と明日の空席情報が○△×で表示されている。これを見ると、結構今日でも空きはあるようだった。7月下旬という絶好の登山シーズンで、なおかつ日曜日なのに。

やはり、下山時間は誤差がでるので、帰りの便を確保するのは下山してから、という人が多いのだろう。

上高地を夕方発で東京駅行きや新宿駅行きが発車する。バスで新島々⇒電車で松本⇒さらに電車で新宿、という乗り換え三昧よりもはるかに楽に、そして安いのが高速バスだ。

しかし、日曜日の午後ともなれば、中央高速は当然渋滞する。いくらハンドルを握らないとはいえ、渋滞に巻き込まれると疲弊するので、そこは悩ましい。

結局僕は高速バスという選択肢を選ばなかったけど、平日ならば高速バスは十分選択肢になると思う。

バス乗り場

タクシーに乗る、という選択肢を選ぶ人たちも。

これで新島々駅まで出るのは、お金がかかりすぎてちょっと無理だけど、沢渡の駐車場まで行くなら、楽だ。なにしろ、タクシーはバスターミナル前に待機しているので、すぐに乗り込むことができる。

釜トンネル入り口

14:50
定時出発したバスは、帝国ホテル、大正池と停車しながら上高地を後にした。

ああ、久しぶりの上高地、そして山小屋泊。天気が悪かったのはしょうがないとして、大満足できた。やっぱりこういう「非日常空間」って大事だ。しかも、下界から隔絶しているというのがいい。

後ろ髪が引かれることがないくらい、満喫して思い残すことがない上高地・焼岳1泊2日だったと思う。

バスは、釜トンネルを通過してゲートの前を通過する。中の湯ルートで焼岳から下山したら、このバス停から乗車することになる。朝方山頂で別れた学生さんたちはいるだろうか?と思ったけど、さすがにいなかった。たぶんもっと早い時間にバスに乗ったのだろう。

崩れる崖

14:52
国道158号線を通って、梓川を下っていく。

厳しい谷沿いの道で、トンネルも多い。昔はここを通過できる路線バス・観光バスの運転手はかなりの熟達者に限られたそうだけど、今では道路改良工事が進み、少しは通行しやすくなったようだ。

なにしろ、昔はすれ違いをするためには壁スレスレまで幅寄せしないとバスが通れないようなトンネルがゴロゴロしていた。そのため、のろのろ運転や交互通行が頻繁におき、渋滞があちこちで発生したいたものだ。

ほら見てよ、崖が崩れるに任せてあるじゃないか。

落石防止のためにガチガチに崖を固めている光景を日本のあちこちで見かけるので、こうやって「なるに任せてある」崖というのはむしろ新鮮だ。

(つづく)



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