ハタケ仕事と山登り【羊蹄山】

14:14
「流れてきた橋」

まるで小説のタイトルのようだ。でも「事実は小説より奇なり」という言葉あるように、本当にここには「流れてきた橋」がある。

2000年の噴火により泥流によって押し流された橋だという。

噴火当時も、既に泥流の発生を予見して流されてきた泥流を人工的にコントロールするえん堤と流路工をいくつも作ってあったようだ。しかし人間の想像を超える泥流の量で、流路工を溢れ出し、その結果国道230号線という大事な道路の橋を流してしまった。

それが、これ。「木の実橋」という名前だという。

橋だ、と言われないと気が付かない。当たり前だけど土砂に埋もれ、そして緑が生えてきている。ただ、唐突に街路灯がそびえているので、「あれ?これって人工物だ」ということに気がつく。

確かによく見ると、下の部分は鉄骨だ。

「泥流によって流されました」と言われないと、なんでこんなところにこんな中途半端な人工建造物が?と不思議でならないだろう。廃鉱山とも違う。

流された橋を見せつけるように遊歩道が作られている。

通り過ぎてから振り向いたところ。なるほど、こちらから見ると欄干がよくわかる。これは確かに橋だ。

そして、橋の先に先程から気になっている建物がある。

唐突に、アパート。周りに何も残っていないのに、ここだけ屏風のように、まるでこのアパートが一つのえん堤であるかのようにそびえている。

あれは・・・人が住んでいるのか?それとも、廃墟か?

いや、住んでいるわけないよな、周りになにもない。わざわざここに今住み続ける理由がない。えっ、じゃああれも廃墟?

リアルすぎる廃墟。いや、その表現はおかしいか。なんだよ、「リアルな廃墟」って。

廃墟、と言われても一瞬信じられないくらい、まだまだ現役感のある建物だからだ。ちょっと探せば、もっともっと年季の入って味わい深くなっている団地なんて全国いたるところにあるぞ。

「桜ヶ丘団地」という名前だった。3棟並んでいたのだけど、これまで見てきた遺構同様に2000年の噴火で泥流に飲まれてしまったのだという。さすがに橋のように流されることはなかったけど、噴火遺構として1棟だけ残したのだという。残り2棟は取り壊されて、今は残っていない。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 「内海湾」ではなく「内浦湾」ですね。
    つまらない指摘でごめんなさい。実は10年以上前から愛読してます。

  • 米こうじさん、間違いの指摘ありがとうございます!こういうアドバイス、地味にありがたいことです。これからも愛読をよろしくお願いします!

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