ただいま、わが愛しの山小屋泊【焼岳】

松本電鉄上高地線

16:10
上高地線は松本に向け出発。

2両編成で、全てロングシート。大きなザックを持っている山帰りの人は、ザックを抱きかかえるようにしたり、大股を広げて股の間に挟み込んだりして、ザックが倒れるのを防いでいた。

空席は比較的ある、のどかな午後。ああ、7月末の日曜日午後でもそんなに混まないのか、と驚いた。「電車で座れなかったらやだなあ」なんて思いながら、新島々駅でバスを降りたのに。

松本駅

16:40
松本駅にやってきた。

上高地線は私鉄だけど、JRの改札内にホームがある。独立した改札は持ち合わせていない。わざわざチケットをチェックしなくてもいいや、というくらい、上高地線の乗客数は知れているということなのだろう。

キセルできるやんけ!と思ったけど、それはやっちゃダメ。

チケット

16:42
僕が大学時代、周囲の人達が真面目な顔をして議論していた「効果的なキセル方法の研究」と「キセル実績」について触れようと思ったが、公序良俗に反するので書くのをやめる。200字くらい文章を書き進めたところで、「さすがにこれはやばい」と気がついた。四半世紀前のことだから今は通用しないですよ、というつもりだったんだけど、いやいや、今でも十分通用する。ちなみに僕は馬鹿正直な性格なので、キセルを一度もやったことがない。せいぜい、「酔っ払って乗り過ごした電車を折り返した」くらいだ(これはキセルではなく、不可抗力なので違法ではない)。

それはともかく、松本駅で新宿行きの中央本線・特急スーパーあずさのチケットを買う。ああ、そういえば「スーパーあずさ」の「あずさ」って、上高地を流れていた「梓川」が由来なんだな。今頃になって気がついた。

今は良い時代になったものだ。なにしろ、駅に向かう途中にスマホで指定席予約ができる。

登山の場合、だいたいの下山時刻はあらかじめ想定できているものの、いろいろな事情で予定が前後することがある。そのため、慎重な人は「駅に到着して、ようやくそこで特急列車の指定席を確保する」ということをする。しかしその場合、同じ事を考えている人がみどりの窓口に殺到し、あっという間にチケットが売り切れてしまう。

その点、今じゃJR東日本の「えきねっと」会員になっておけば、スマホで予約ができ、駅ではお支払いと受け取りだけで済むようになっている。しかも場合によっては、値段が安い。こんなに楽なことはない。

電光掲示板

直近の16時58分発、スーパーあずさの席を確保することができた。

売店

帰りの電車の中で、少しくつろぎたいものだ。

やはり、バスであるとか、ロングシートの電車では「くつろいだ」という気分にはなれない。やっぱり、「この電車を降りたら、そこはもう東京」という達成感がある、スーパーあずさに乗ってこそ、くつろげるというものだ。

駅構内で食べ物と飲み物を探す。

売店

16:45
今思うと、早めの夕食をここで食べて、松本でゆっくり過ごしてからの帰京でも良かったのかもしれない。しかし、「家に帰るまでが遠足です」ということを小学校時代からたたき込まれているので、「五体満足なうちに早く帰宅しなければ。」という気持ちになる。つい、慌ただしく目の前の電車に乗ろうとしてしまう。

それにしてもさすが日曜日夕方だけある。駅構内は大混雑だ。

一体どこからこの人たちは現れたの?というような、ザック姿の人もいる。上高地線には乗っていなかったようだけど、常念岳とか妙高山、雨飾山あたりから戻ってきた人たちだろうか。

みやげ物屋

お弁当がいろいろ売られているけど、どれも微妙。

クオリティが微妙、という意味ではなく、「17時ちょっと前の時間に口にするもの」として微妙、という意味だ。うーん、どうしよう。

NEWDAYS

16:58
あと、困ったのが駅の売店であってもノンアルコールビールの取り扱いがほとんどない、ということだ。まだまだ市民権を得ていないんだな、ノンアルコールビール。

そりゃそうか、ノンアルコールビールって、「ビールは好きだけど、訳あって今はがまん」という人が飲む、というのが一般的だ。長旅の特急列車にこれから乗る、というのにビールをがまんというのは意味不明だ。車のハンドルを握るわけでもないのに。

何軒か駅構内の売店をうろうろ。

オールフリー獲得

ちぇっ、またオールフリーだよ。

河童橋に引き続いて、ドライゼロの獲得に失敗。

失意のあまり、うっかり2本買ってしまった。おい、河童橋で既に2本飲んだだろ。こんなに飲んでどうするんだよ。

スーパーあずさ

16:59
スーパーあずさ。まもなく新型車両に置き換わるということなので、乗り納めだ。

彩

17:00
うお。なんだこれは。

スーパーあずさが停車しているホームの向かいに、謎の列車が止まっていた。それだけなら「ああ、こっちで走っている特急列車なんだろうな」と思っただろうけど、駅のホームには駅員さんが「またお越し下さい」と書かれた横断幕を持ってお見送り体制に入っている。なんだなんだ、最近はやりの「ななつぼしin九州」みたいな豪華旅行用の電車だろうか?

彩

「彩 いろどり」と書いてある。

ホームの電光掲示板を見ると、「快速いろどり木曽路号」という名前の列車らしい。なんだ、快速か。

彩車内

いやいやいや、快速でこれはあんまりだ。豪華すぎる。

シートの間隔が広いこと広いこと。そして座席は1-2の3列シート。贅沢な快速だな、おい。これ、快速ってことは青春18きっぷでも乗れるのかい?

彩車内

いや、さすがにそれは無理だった。全席グリーン車扱いで、グリーン指定席券が必要とのこと。快速ではあるけれど、青春18きっぷは使えない。でも、特急料金はいらないのだから、安く乗ることができる。

長野から岐阜県の中津川を1日1往復するらしい。そして2017年の運行は、昨日(7月29日)と今日(7月30日)の二日だけ。なので僕は偶然この列車に遭遇することができたわけだ。

いいなー。これに乗って長野駅まで行って、そこから新幹線でも良かったなー。

さすがにこういう情報までは事前に手に入らない。

雷鳥の里

17:02
本日の戦利品。

冷凍のそばおやき5個セットと、職場に持っていくお土産として「雷鳥の里」。そしてコカコーラゼロ。コンコース上ではノンアルコールビールが手に入らなかったので、コカコーラで妥協したところ。しかしその後、ホーム上でノンアルコールビールを発見し、このコカコーラは無駄になった。

戦利品

17:04
こっちが本命。おつまみセットと、ノンアルコールビール2本。

祝杯

17:06
電車が出発し、ようやく心身ともにほっとした。

山に登ったことがある人は共感してくれると思うけど、登っている最中はいつ怪我するんじゃなかろうか、という心配が常に頭の片隅にある。そして、電車のような公共交通機関に乗ると、「ああ、もう自己責任で怪我をする心配はなくなった」という安堵感がある。

そんなわけで、ノンアルコールビールをぐいっと。

1本目はとても良かった。

しかし、2本目を飲み始めたとき、ふと我に返った。「何をやってるんだ、自分は」と。

いくら飲んでも酔わないものを飲み続けていて、何でこんなに嬉しそうに飲んでるんだ?と馬鹿馬鹿しくなったのだった。そりゃそうだ。

それはともかく、今回の1泊2日山小屋泊はとても楽しかった。久々の山小屋は好奇心に満ちあふれた空間だったし、山は天気が悪かったけれど歩き甲斐があるルートだった。そして大正池、上高地という「俗と大自然」のバランスがとれた空間でしばらく過ごし、温泉にだって入った。オールインワンパッケージ、という感じだ。

やっぱり山って、えいやっと重い腰を上げるところまでが一番大変だと思う。重い腰を上げてしまえば、後は楽なものだ。今シーズン、まだまだ山には登っていきたいと思っている。

(この項おわり)



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