ハタケ仕事と山登り【羊蹄山】(その1~18)

11:45
白い恋人パークは、「工場見学を楽しむところ」と思って訪れては駄目だ。何かのテーマパークで、空間を楽しむところだと理解した上で訪れないと、「なんだこれは」ということになる。

また、どちらかというと子供が「わあ、すごい!」と興奮しているのを大人が温かい目で見る、というような場所であり、大人が・・・特に成人男性一人がここを訪れて楽しいと思えるかどうかは、ずいぶん疑問だ。

ここが面白くないとは言わない。ただ、内容をよくわかった上で訪れたほうが良いですよ、ということだ。

ようやく製造工場の見学エリアに到達して、ちょっとほっとする自分がいる。せっかくだから、ごゆっくりご覧したいものだ。600円払ったんだし。

11:52
おう・・・ダクトで視界が塞がれていて、なにも見えない。

あ、見えた。

結構大きな生産ラインで、ひたすら「白い恋人」が作られている。

すげえな、白い恋人は全国区の知名度を誇る銘菓。とはいえ、こんなに作り続けていたら、どんどん在庫が積み上がるんじゃないか。函館海峡が白い恋人で埋まってしまうんじゃないか。そんな感覚さえ覚える。

でも、そんなバカなことをしているわけがなく、「作ったぶんだけ、売れまくっている」ということに他ならない。日本人の主食は、僕が知らない間に「白い恋人」になってしまったらしい。気が付かなかった。

これは「白い恋人」に限った話じゃない。工場見学をオープンにしている飲食メーカーの場合、どこも「マジっすか?」というレベルで製品を作り続けているものだ。人間が今こうして当たり前の生活を送っているのは、そういう大量生産の上で成り立っているのだな。

メカで大量生産!人はいらない!とはならないのが現実で、生産ラインには結構な数の人が張り付いていた。

以前、山梨県の「桔梗信玄餅」の工場を見に行ったことがあるが、あそこはここの比じゃないくらい人がびっしり工場内にいた。「これは機械化されているよりも、人海戦術なのでは・・・」と思ったくらいだ。

結局、産業革命以降人間を支える機械はどんどん便利になっていったけど、我々が昔に夢見た

「芝生の庭で、リラクゼーションチェアに寝そべって読書して日々暮らす。お金はロボットが稼いでくれる。時折、執事ロボットがやってきて、『ゴシュジンサマ、オノミモノハイカガデスカ?』と聞いてくれる」

なんて時代は来ないのだった。現在も、そして今後も。

機械化されればされるだけ、結局それをメンテナンスするために人手がいることになる。その繰り返し。機械が機械をメンテナンスするようになる?確かにそれはそうかもしれない。でも、そういう機械を開発するための人の頭脳が必要になる。結局、人は働き続ける。

工場見学は大好きだ。

工場というのは、時には究極的に効率的に作られているし、時には「増築と、建物の制約に伴う妥協の産物」の時もある。その境目を素人目で推理するのが、楽しい。なんでここで生産ラインが曲がっているんだろう、とか。

場所がなかったからラインが曲がったのか、それともラインを曲げることで迂回させ、その間に製品を冷やすとか固める役目があるとか。

見ろよ、あれが全部「白い恋人」だぞ。

量産型恋人だぞ。

モテてモテてしょうがないな。

この「白い恋人」を作っている「石屋製菓」はこの他にもいくつもお菓子を発売している。バウムクーヘンやパイ、ロールケーキなど。でもこの日は、白い恋人をひたすら作っているようだった。

工場内部の壁には、いろいろな絵が書き込まれていてシュールだ。夜中にになると、人の目が光るというオカルト的なことはないだろうが、ちょっとギョッとするインテリアだ。

11:56
工場見学エリアの先に体験工房、というのがあった。

なるほど、自分だけの「白い恋人」を作ったり、クッキーに自分で絵を描いたりすることができるのか。

さすがに新横浜のカップヌードルミュージアムみたいに自分オリジナルのカップヌードルを作れる、というほどの自由さはない。「白い恋人に抹茶を混ぜて緑の恋人にしよう」とかは許されていない。それでも、恋人同士の旅行の思い出づくりとお土産として、こういうのを体験するのは楽しいかもしれない。

ただ、さすがに焼き菓子だけあって、それなりに時間はかかるようだ。「私の白い恋人」コースで1時間20分。値段は972円と高すぎない価格だとは思うけれど、まあ、すでに入館料を600円払ってるしねえ。せっかくだから時間があるなら、ここでオリジナルを作ってもいいんじゃないか。僕?いや、僕はいいです。

(つづく)



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