09:18
陣馬山登山口に到着。ここで陣馬街道の舗装道とはお別れ。
「陣馬山ハイキングコース案内図」という看板が出ているのだけど、随分色落ちしてしまって、なんだか楽しいハイキングなんだか、おどろおどろしいんだかわからない。夜中、この看板を見たらギョッとすると思う。まあ、夜中にこの看板を見るなんてことはないんだけど。
白装束で藁人形を持っているのでもなければ、夜中にここに来る用はないだろう。
「陣馬山新ハイキングコース入口」という矢印があって、「あっ、今これから登る道は新コースだったのか」といまさら知る。
人々から愛される山、陣馬山には四方八方から登山道が伸びている。これから登ろうという道は、その中でも比較的新しく作られたものなのだろう。
東京都側からは、ほかにも和田峠からの稜線伝いルートがある。和田峠には有料駐車場と茶店があるので、車でやってくる人は和田峠から登る人が多いだろう。
陣馬高原下から和田峠まで歩いて、そこから山頂を目指す人もいる。若干そのほうが所要時間が長くなるけれど、登山道歩きは最短になる。
09:25
で、「新しい」らしい、陣馬山への登山道に足を踏み入れる。
のっけから、標高稼ぎの急坂。
なにしろ、山頂まで60分で到達しようというのだ。チンタラ水平移動なんてやっていられない。
それにしても「60分で山頂」とは、なんて気持ちが楽なんだ!目の前の坂が急であっても、全然気持ちが楽だ。「どうせあと1時間後には、これ以上高い場所がないところにたどり着くんだから」と思えるから。
09:32
11月末の山は、素晴らしい。
朝ということもあって、空気が凜としている。引き締まった空気を切り裂くように、自ら前に進んでいく、それが心地よい。
夏だったら、おそらくこの時点で「あっつぅ、しんどいなぁ」と愚痴が口から漏れるだろう。なにしろ東京の低山だ、温度は高いし湿気もすごい。低山は敢えてシーズンオフに登るのが良いと思う。特に今の日本は夏の暑さががヤバいことになっている。夏に低山登山は、修行に近い。
09:40
山頂まで60分一本勝負!急勾配で標高を稼ぐよ!というルートだと思っていたけど、中にはこんなのんびりした景色もある。
心落ち着くひととき。
ただし、前後にたくさんの登山客が歩いている。そのため、マイペースで歩きづらい、というのは場所柄仕方がない。
09:49
根っこがウネウネとのたうっている斜面を、木の幹を縫いながら登っていく。
明るい樹林帯だ。うっそうと茂っている薄暗い場所が少ない。そのため、気持ちも明るくなりながら、歩いていける。まだ歩き始めて間もないこともあって、気分は爽快。
09:59
道が水平移動になってきた。そろそろ山頂が近づいてきたらしい。
10:02
空が広い。
山頂が近づいてきた証だ。
このあたりは広葉樹林の雑木林になっていて、紅葉も見ることが出来る。赤い色が美しい。冷気を帯びた季節ならではのきりっとした青空との対比が、目に優しい。これをずっと見ていたら、視力が回復するんじゃないか、という気になる。
10:03
先ほどまでの針葉樹林の急傾斜とは全然違う雰囲気に、ちょっと驚く。
道は、のんびりと山の斜面を巻くルートになった。どうやら、山頂まですぐなのだけど、じらしに入ったらしい。余裕だな、陣馬山。
10:03
紅葉。
そうか、11月下旬だとこのあたりの紅葉が美しいのか。
全然紅葉見物ということを想定しなかったので、すごくお得な気分。
10:07
おや、物干し台みたいなものが前方に見えてきた。
そして、人の話し声がわいわいと前方から聞こえる。
人の声、というのは山ではすごく響くものだ。だから、人の声で山頂の位置が予測できる。
昔は、ラジオを大音量でかけているじいさまが山には結構いた。特に、低山には。で、浪曲みたいなのが流れているんだけど、僕はあれがイヤだったな。山では静かに時間を過ごしたいので。熊よけの鈴をむやみにチリンチリンさせている人も、イヤだ。
さすがに最近は、ラジオじいさまの姿は見なくなった。そういう世代の人は、山登りからほぼ引退してしまったのだろう。気がついたら、40代半ばの僕も、そんなに遠くない将来に山を引退することになる。あんまりのんびりしている余裕はない。
10:08
陣馬山山頂到着。
山頂には、陣馬山の象徴である白い馬のゾウ、じゃなかった、像がそびえ立っている。
この像は、陣馬山に客を呼び寄せるために京王電鉄がこしらえたものだという。なんで京王が?と思ったが、そりゃそうだ、まさに僕がそうじゃないか。このあと陣馬山から高尾山に歩いていく。高尾山からどうやって帰宅する?・・・京王線に乗るだろ!つまり、そういうことだ。陣馬山に人が来れば、京王電鉄も儲かるという構図。
(つづく)
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