食い倒れるのか遭難か【陣場山⇒高尾山縦走】

暗い中人が歩く

16:45
天狗焼を手に入れたら、すぐに移動を開始する。というのも、天狗焼を買うための行列の脇を、どんどん観光客が通り抜けていくからだ。アカンアカン、そんなにいっぱい押しかけたら、下山できなくなる。

高尾山は、山麓から山腹まで、ケーブルカーとリフトが並走して運行されている。当然これらの乗り物に乗って下山するつもりだったのだけど、目の前を通過する人の数を見ていると、到底そのキャパシティを越えていた。

どうせ並ぶんなら、並んでいる間に天狗焼を食べよう。そう思って、リフト乗り場を目指す。

ケーブルカー乗り場は、ビアマウントの近くにあって、微妙に場所がずれている。ケーブルカーでも構わないのだけど、あっちの方が余計混んでいる予感がする。

既に日が暮れつつあり、街灯の明かりを頼りに下山する。

ケーブルカー待ちの大行列

あー。

リフト乗り場を上から見下ろすと、「これが山の中の光景か?」と目を疑うような人の数。何か大規模集会でも開かれているのだろうか、という有様だ。

ケーブルカー待ちの大行列

これらの人は、もちろんリフトの順番を待っている。

職員さんのアナウンスによると、乗れるまで1時間以上かかります、とのこと。

混むだろうとは思っていたけど、まさか1時間以上とは。真っ暗だ、それだと。

1時間も待っているのは不毛なので、このまま1号路を歩き続け、麓まで徒歩で下山することにした。その場合、所要時間は40分だという。

天狗焼

16:46
並んで待っている間に食べるつもりだった、天狗焼。なんともいえない表情をしている。

正体は、薄皮の人形焼きだった。食べ応えがあっておいしかった。

これを食べて、最後の下山にむけてカロリー摂取OK。

今日は使ったカロリーよりも摂取したカロリーの方が多そうだけど、まあいいや。これで最後。

1号路を下る

16:47
1号路を下っていく。

山中のお店関係の車が行き交うことを前提に作られているので、舗装されている。しかしその分、歩いていても特に楽しくはない。すがすがしい朝ならともかく、この後完全に日没となり、真っ暗になってしまったからだ。

ケーブルカーにもリフトにもあぶれた人たちが、前後をかなりの数歩いている。真っ暗なので「キャー」とか言っている。スマホの画面を懐中電灯代わりにして前方を照らしている人もいた。

下りきったところ

17:08
所要時間40分、というのは大げさで、僕の足だったら25分くらいで麓まで下りてきた。

俗っぽい世界から一旦森の中を歩き、また俗っぽい世界に戻ってきてしまった。今日は頻繁に見ている風景が変わる。

とろろピッツァ

17:12
高尾山口駅に到着。

トロロピッツァ、だって!イタリア人、びっくりするぞ。ネバネバする!唇がカユい!って。

山の上は、かたくなに和風(っぽい)世界なのに、さすがに下界におりてくるとイタリアンといった選択肢が出てくるものだな。

そういえば昔、当時付き合う前だった女性を高尾山に連れて行ったとき、下山後はタクシーで「うかい鳥山」に行ったことを思い出した。今思うと随分気張ったものだな。今の僕なら、素敵な女性相手でも「トロロピッツァ、いいんじゃないですか?」って聞いてしまいそうだ。やめろ、それはあんまりだ。

高尾山温泉

最近、高尾山口駅は「極楽湯」という日帰り入浴施設を新設し、登山客の汗を流せる場所ができた。それは大変にありがたいのだけど、限られた敷地に作ったために随分狭い印象を受ける。芋洗い状態になるのは困るので、できれば入口付近に「ただ今の混雑状況」を○△×の3段階でも良いので教えてほしい。

高尾山口駅

17:13
京王電鉄高尾山口駅改札。

あとはもう、ばびゅーんと新宿に向けて突っ走るだけ。

連れがいるなら、この界隈で打ち上げをやろう!とか、せめて新宿に行って打ち上げだ!という話になるんだけど、一人だとどうもそういう発想が湧かない。一人だし、お酒も飲まないし。

「一人で、飲まなくてもお疲れ様会っぽくできるお店」って何かないものだろうか?

今、とっさに思いついたのが「いきなり!ステーキで肉を食べる」ということだけど、そういうんじゃないんだよなあ。肉塊を食べるのは素敵だけどさ、あっという間に食べ終わって、すぐに退店だよ。もっと、地図とか眺めつつ、今日一日を振り返ることができるような・・・そういう、静かな時間を過ごせるのがいい。カフェにいけ?うーん、そうかもしれない。

ちなみにこの日は、この足で渋谷にある「カフエマメヒコ」でイベントがあったのでそれに参加した。落ち着いて珈琲を飲むような場ではなく、オーナーの井川さんの話を聞くという場だったのでちょっと打ち上げとは趣旨が違う。あと、登山帰りでイベントに出るもんじゃないな。自分の汗臭さが気になって、周囲の人に迷惑がかかっていないか心配でしょうがなかった。さすがに丸一日歩いた後なので、随分な発酵具合だったからだ。

そういえばスタンプ

新宿を目指す電車に乗って、はたと気がついた。

あっ、スタンプラリーを途中でやめてたわ、と。

高尾山・陣馬山コースマップにて用意されたスタンプポイントは、全部で5箇所。4つまではちゃんと押したのだけど、残り1つは縦走路を外れ、下山したところにある。なので、最初っから無視していた。これはこれで問題ない、予定通りだ。

スタンプ

しかしもう一方の、高尾山コースマップのスタンプ台帳。

この台帳だけをコンプリートしても、抽選に参加することができる。せめてこれは全部揃えるつもりだったのだけど、山頂および薬王院で押したっきり、あとは忘れていた。あー。まあ、いいか。今更戻って押してきます!という選択肢はありえないし。来年以降、また機会があればそのときこそコンプリートしたい。

高尾山そのものは、僕は「人が多すぎてゴチャゴチャした場所」という印象だ。しかしそこから一歩奥に踏み出せば、とんでもなく気持ちの良い里山が広がっている。この素敵な空間は、今後も大事にしていきたい。「一度訪れた場所は再訪しなくていいや」と思いがちな僕でも、時々この縦走を繰り返したいものだ、と思った。そんなすばらしいひとときだった。

(この項おわり)

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