
メニューが豊富。
山菜おにぎり、そばセット(山菜とろろそば)、特製山菜とろろそば、そばセット(とろろそば)、名物とろろそば、そばセット(山菜そば)、山菜そば、特製ざる山菜とろろそば・・・。
よく見ると、「とろろ」と「山菜」だらけだ。
別に山芋も山菜も高尾山で採れるものではないだろうけど、名物の証。滝見物に行って、ついイワナの塩焼きを食べてしまうのと一緒だ。風情にいちいちいちゃもんをつけてはいかん。
この界隈でとろろそばが多いのは、昔、この山腹にある薬王院にお詣りに来た人に栄養をつけてもらおうととろろ料理を振る舞って好評だったから、といういわれがあるそうだ。山菜?いや、山菜のいわれはよくわからない。これはさすがに「山に来たら、なんとなく山菜っぽいでしょ!」ということなんだと思う。

15:54
高尾山山頂を後にする。1号路と呼ばれる、舗装されたメインルートを使って下ることにした。このルートが最短で麓まで下りることができるからだ。
それにしても驚きなのが、この時間になっても山頂を目指す人がひっきりなしにいる、ということだ。「日没時間が近いぞ、早く下山しなくちゃ」という意識になっている僕とは大違いだ。さすが観光地。
さっきから何度も僕は、「ここは観光地だ」と頭を切り替えようとしている。でもここまでの長い縦走ルートのせいで、全く頭が切り替わらない。それよりも、「公共交通機関の駅にたどり着くまでが登山」という頭になっているので、まだまだこの段階では登山続行中だ。

16:03
薬王院の上にある石段も、ご覧の通り。
下る人の数より、登る人の数の方が多く見える。
下る人はスタスタと降りるのに対し、登る人はフウフウいいながらゆっくり登るので、単純に人数比較はできないのだけれど。
おい、もう16時だぞ。今から山頂に行って、下山時間はどうなるんだ?
見ていて心配になる。

16:05
石段を下りきったところが、薬王院本社。
ややこしいのが、ここからさらに下ると、薬王院本殿がある。神仏習合の名残だ。
「本社」のほうは神社なので、しめ縄が張ってある。鳥居だって、手前にはある。
天狗の像が、仁王立ちになって立っている。いや、「仁王立ち」なんて言い方をすると、神道としてはややこしいな。いや、そもそも天狗って仏教なのか神道なのかどっちだ。
もう、一旦整理してくんねぇかな、仏教も神道も。訳がわかんねぇよ。・・・って乱暴なことを考えてしまう。
神も仏も、「お前ごときの都合なんて聞いてられるかよバーカ」と思っているだろうけど。

16:06
石段をさらに下っていくと、左手に見えるのが「本堂」。薬王院は真言密教のお寺だ。

16:07
薬王院本堂。
先ほどの「本社」が朱色を基調とした、いかにも神道っぽい作りの建物だったけど、こちらは渋い、木造そのまんまの建造物。
外国人観光客の姿がとても多い。こういう人たちを見て、いつも不思議に思う。この人達は、さすがに「日本旅行の途中に高尾山に立ち寄った」わけじゃないよな?と。東京近郊に在住の駐在員や移民の方だよな?と。
もし、日本に観光旅行にやってきました!有名なタカオサンには是非訪れたかったんです!という人がいたら、相当びっくりだ。だとしたら、僕は高尾山をみくびりすぎていたようだ。

薬王院の地図。大伽藍、と読んで差し支えない建物の数がある。
真言宗なので、本堂の脇には大師堂(弘法大師を祀るお堂)がある。
面白いのは、高尾山でお馴染み・天狗について、神道系の「本社」脇に「天狗社」があって、仏教系の「本堂」近くに「天狗堂」がある、ということだ。両方の流儀で、天狗をお祀りしているのだった。

16:13
ここも立派な登山道「1号路」なのだけど、もうすっかり観光地の参道だ。石畳の両側にはお土産物屋が並び、道行く人の顔つきも、すっかり「山屋」の険しい顔ではなく、緩みきった観光客の顔だ。
建物の二階に見える窓は、禅宗様式の火灯窓(かとうまど)で、真言宗の門前町にしてはチャンポンになっている。

16:14
この界隈は、天狗というのは格好の観光アイテムだ。
「天狗=鼻が高い=生意気」という構図に基づいた、ネガティブな商品はまったくない。とてもポジティブに、天狗という偉大なる存在を観光資源として活用している。

16:15
「十穀力団子」という団子も、なにげにそう。
「十の具が入っている」というのを、「テングが入っている」と読み替えてほしいらしい。なんと英語まで使ったあて字だぞおい。

藁をドーナツ状に丸くして、そこに団子の串を刺している。この藁ドーナツはくるくると回転するようになっていて、時々回すことで団子への火加減調整をしていた。
まだ「縦走食べ歩きツアー」は終わったわけじゃない。完全制覇ではなくなっているけれど、食べられるだけ食べておきたい。よっしゃ、ここで団子を腹にぶち込もう。

16:17
団子入手。なぜかどうやってもピントがあわず、ぼけまくった写真になった。
高尾山到着後も、手綱は緩めない。まだまだ食べなくちゃ。下山し終わるまでが登山だ。ここで気を抜くわけにはいかない。
(つづく)
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