
06:54
九合五勺「胸突山荘」到着。九合目からだいたい40分の道のり。
「胸突」という言葉のとおり、九合目をすぎたあたりから傾斜が一層きつくなった印象がある。いや、ひょっとしたら空気中の酸素濃度が低くなったのできついと感じているだけかもしれない。
荒い息を吐きながら、一歩一歩登っていく。
この山小屋は、ひさしがサッシのすぐ上まで迫っている。できるだけ姿勢を低くして、なんとか風雨や雪崩、突風から身を守ろうとしているのがうかがえる。

九合五勺ともなると、標高は3,590メートルに達している。もう山頂に着いたも同然、と思いたい。
ええと、火口縁にある浅間大社奥宮まで550メートル30分か。うん、あともう少し。
ええと、現在地が標高3,590メートルだからプラス550メートルで・・・あれっ、標高が4,000メートル突破!?もちろんそんなわけはなく、ここで書かれている550メートルというのは「道なりに進んだ場合の歩行距離」という意味だろう。

06:56
明治アーモンドチョコレートを食べてカロリー補充する。
ここでうっかり地面に落としたら、どれが富士山でどれがアーモンドチョコレートかわからなくなりそうだ。
夏山登山の場合、カロリー摂取のためにうっかりチョコレートを持参したら、熱で溶けることがある。なので、黒糖とか氷砂糖といった少々じゃ溶けない塊を持参する人がいるくらいだ。
でも富士山の場合は大丈夫。なにせ登り始めが森林限界ギリギリの標高だ。そう簡単には溶けない。

07:19
あー、上の方になにか石垣が見える。あそこが富士山山頂の火口縁だろう。山頂そのものではないけれど、ほぼ山頂といえる場所。富士宮ルートの終着点だ。あともう少し。

07:36
半月が西の空に沈んでいくのが見えた。
10円玉みたいな色をした岩がでろっと隆起している。溶岩が冷え固まってこういう形になったわけだが、自然のパワーを感じさせる。
その割には富士山の裾野界隈に大きな温泉街がないというのが不思議だ。伊豆半島、箱根あたりまでいかないといけない。

07:48
いしの写真を頻繁に撮っている。結婚前でウキウキですし。
あと、僕が先行して前に行き、つづら折れで道が曲がるところでいしの到着を待っているからだ。
いしは
「そうやって待たれるのは嫌なので、先に行っててください」
と気の強いことを言う。でも待ってくれ、それじゃ単なる個人登山じゃないか。もっと二人連れ立っておしゃべりしながら歩こうよ。
「そんな余裕、ないです」
まあそりゃそうだ。

07:58
鳥居が見えてきた。サイズは小ぶりだけど、木造の立派なものだ。
よくここまでこの丸太を運んだな。そして岩の隙間にすっぽりと入れることができたものだな。これ、並大抵なことじゃない。すぐ近くにブルドーザー用作業道があるならともかく、そんなものはない。
鳥居は一つだけでなく、奥にもう一つあるのが見える。

07:59
2つ目の鳥居は登山道から外れたちょっとした丘の上にあった。ご来光を拝むためのものかもしれない。
2つ目の鳥居を横目に、歩いていくと・・・

08:00
じゃーん。
浅間大社奥宮!到着!
ここにも鳥居。そして石灯籠。灯籠に火が灯ることはあるのだろうか?
神社といってもここは標高3,740メートル地点だ。地平線水平線の彼方まで見通したって、ここよりも高い場所はない。つまり、風は情け容赦ないってことだ。おかげで、頑丈な要塞のように石が積み上がっている。

08:03
神社側から富士宮登山道側を見たところ。青空が広がって良い天気になってきた。素晴らしい!世界を制圧した感がある。
(つづく)
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