15:11
六合目の山小屋を通過し、あとは五合目まであっという間だ。
見えてきたのは富士宮口五合目公衆トイレ。登山口から登りはじめてすぐのところにある建物になる。ここまでたどり着いたら、旅の無事をほぼ確信して大丈夫。
そういえば、朝3時半に山小屋を出発する際にトイレに行ったっきり、12時間もトイレに行っていないことに気がついた。有料トイレだけど、今のうちに立ち寄っておこう。
登山というのはこういうものだ。汗をかいて、おしっこの量が減る。腎臓に問題がある人にとってはキツいだろう。
健康なうちに登山をやっておかないと、とつくづく思う。膝が痛い、腰が痛いといった整形外科的な話だけじゃなくて、内臓に問題があっても登山はできない。
トイレに行く。100円のチップ制。チップ箱は富士山がにっこり。
僕も100円玉を入れてにっこり。
御殿場ルートと富士吉田ルートが描かれた登山道地図。
みんな登山道を示す線に指を這わせるらしく、ほとんど登山道が消えていたりする。お陰で、僕らが先程通ってきた宝永火口から富士宮五合目までのルートが存在しないことになっているくらいだ。
15:13
やあ、下山したぞ。車道が見えてきた。
登り始めからなんやかんやで下山まで24時間かかったことになる。朝には山頂に着いていたのに、なんやかやで下山したのは夕方近く。さすが大きな山は違う。
登山口の近くにはタクシーが停車している。富士宮口五合目は駐車スペースが限られているため、関係車両など一部の車しか駐車ができない。登山客は山麓の水ヶ塚公園からシャトルバスかシャトルタクシーに乗ってここまでやってくることになる。「パーク&ライド」だ。
バスは1時間おきに運行、タクシーは随時。タクシーにぎゅうぎゅうに人が乗ればバスと同等の価格になるかと思って計算してみたけど、バスの往復運賃(2,000円)には勝てなかった。おとなしくバスに乗るのが正解。
登山口にあった、誰のかよくわからないレリーフ像を前に下山記念の撮影。
いや、このときはちゃんと碑文を読んだんだけど、すっかり忘れてしまった。こういう事例をもってしても、記念碑とかを背に記念撮影するのって何の意味があるんだろうな、と自問自答してしまう。
帰宅途中、須走で日帰入浴施設に立ち寄る。
汗をかいた、というよりも体中が砂ぼこりっぽいので洗い流しておきたかったからだ。靴の中ソックスの中も、なんだかザラザラするし。
身体を洗ってようやく一息。もちろんドライゼロをここで一発キメておく。うう、久々の快感。
1枚前の、謎のレリーフ前での写真と比べて僕の顔が老けて見える。たぶん、標高が下がって顔のむくみが減ったのと、ひとっ風呂浴びて身体の水分が抜けたからだろう。
最後、経緯は忘れたけど山中湖畔の別荘地内にある燻製工房に立ち寄ってソーセージを買って帰った。なんでソーセージだったかは忘れた。
久々の富士山だったけど、宝永火山に立ち寄ったことでバリエーションある楽しい登山だった。単調でつまらない山、という印象だったけど、さすがに結婚相手と一緒ならつまらないわけがない。大満足で東京に戻っていった。
なお、この2ヶ月後に「乗鞍岳を自転車で登る」という企画に発展するとは思ってもいなかったけど。
(この項おわり)
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