
07:41
朝食のあとは、チェックアウトしてそのまま湯けむり会館にバス移動となる。
「湯けむり号」の送迎バスを利用していない客は、当たり前だけど自由きままにこの後行動すればいい。しかし、バス利用の人は強制的に「湯けむり会館」行きとなる。
「いや、人情芝居なんて興味ないんです」と主張したって、帰りのバスの時間がわからないのだから話は聞き入れてもらえない。チェックアウト時に、フロントの人に確認してみたけど、やっぱり帰りのバスの時間も出発場所も、教えて貰えなかった。とにかくバスに乗って湯けむり会館へ行け、とだけ指示された。
毎日同じルーティンでバスは運行されているだろうに、何で教えてもらえないんですかね。不安になるんですが。
海外旅行の格安ツアーみたいに、何か変なものを買わせるためにお店に連れて行かれる、ということはないだろうけど、若干のソワソワ感を感じずにはいられない。

09:19
旅館前にやってきた送迎バスに乗り込む。
湯けむり会館へは、歩いてでも行ける。むしろ、朝のお散歩で歩きたいくらいだ。
でも、ちゃんとバスに乗っておかないと、勝手がわからないので乗らなくちゃ。

09:22
ものの2分ちょっとで、湯けむり会館到着。
バスが暴走プリウスのように建物にぶつかりそうなところまで寄せたのでびっくりした。
こんな形で、頭から突っ込むのは初めて見た。これだと、雨の日でも殆ど濡れずに建物の中に入ることができて便利だ。

湯けむり会館前には、ちょっとした屋台が出ていた。

建物の中に入ると、受付のような場所がある。でも、特に名簿チェックが行われるわけではない。
あと、バスの出発時間という張り紙があるけれど、時間が何も書かれていない。

おっ、「お帰りバス出発時間」という張り紙があったぞ。これか。
・・・いや、違う。「ナイトダンス ホテルへお帰りバス時間」と書いてある。これは夜の送迎バスだ。
結局、この時点で、湯けむり会館でのお芝居を見終わったあとどういう処遇になるのか、まだ全然わかっていない。
ああそうだ、確かお昼ご飯をどうするか?って聞かれたっけ。どこかドライブインに寄って、希望者はそこでご飯を食べることになるらしい。一度にどかっと客が来たら厨房は大変なので、あらかじめ予約を承る、というわけだ。僕らは申し込まなかった。
でも、それが何時なのか、ドライブインがどこなのか、ぜんぜんわからない。

湯けむり会館の廊下。コインロッカーが並ぶ。
そうか、夜ここにやってきてダンスを踊る人は、財布を身につけておくわけにはいかないもんな。

おお!?
これが湯けむり会館の中。畳敷きになっているが、ところどころ畳がない部分がある。本来は床だけど、人情芝居上演中は畳を敷く、というスタイルらしい。
長机と座布団が並べられていて、そこに適当に客が着席する。
今日はさほど観劇者はいないようだ。あれっ、こんなものなの?と驚いた。
塩原温泉にある3つの宿から、湯けむり号に乗る客全員がここに集結する筈だ。だから、もっと多いのだとばかり思っていた。
ということは、湯けむり号を使っている客というのは、宿泊客のうちごく一部なのだろう。

大衆演芸というのは見たことがないのだけど、始まる前から独特の世界観なのだな。
演者さんのポスターというか看板というか、そういうのが舞台の両脇にバーンと並べてある。

「座長」というのと「大座長」という肩書きがあるのが独特で不思議だ。「天皇」と「上皇」みたいなものだろうか?
「大座長」の名前が記されたのれんやポスターが貼られているので、単なる名誉職なのではなく座長同様に偉い立場の人らしい。
後で調べたら、大衆演芸というのは家族経営でやっているところが多く、親から子に座長の座を引き継ぐことがあるそうだ。この劇団がそうなのかはわからないけど、親子で代替わりしたのかもしれない。

芝居は初めて見る世界で、面白かった。いやー、これが無料で見られるとは、いいな。
(つづく)
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