天城ィィィごォォォォ(以下自粛)【天城山縦走】

わさび田

15:09
天城峠への道を進んでいると、なにやら谷底に人工的なものが見える。棚田のようにも見える。

あ、これがわさび田か。

登山道の地図にも、わさび田の存在が記されていた。

よーし、今晩はおろしたてのわさびで、お刺身を食べるぞ。

・・・ちょっと待て、そのわさびはどこから仕入れたものだ?盗むんじゃないぞ?

わさび田

15:10
んー。盗むも盗まないも、わさびは既に収穫済みだったようだ。わさび田には水が張ってあるものの、わさび様そのものはいらっしゃらないようだった。

わさびのシーズンっていつだろう?そういえば。やっぱり夏だろうか?だったら今は既に秋だし、生えていないというのは納得だ。

え?多年草なのでいつでも収穫できるって?ああそうですか。

わさび田

わさび田自体は見たことがある。天城峠近くの浄蓮の滝には、観光歩道の近くにわさびがたくさん栽培されている。

しかし、こうやって山奥深くに、自然と調和した形での大規模なわさび田を見たのは初めてだ。軽く興奮を覚える。

まあ、わさびは生えていないんですけどね。

それにしても呆れるぜ、こんな山奥じゃなくちゃわさびを生育できないとは。ここ、すっごく不便だぞ?田のすぐ下流に車道があって、車でブーンと簡単にやってくることができます・・・という気配はなさそうだ。つまり、日々のお手入れをするにしても、収穫するにしても、歩いてここまでやってこないといけないわけだ。遠い。しんどい。

そりゃあ、わさびが高値になるわけだ。もろもろの手間隙が全部値段に乗っかってくるんだもの。

わさびを水耕栽培で、プールのようなところで大量栽培!ってできないのだろうか?マツタケのように難しいわけではないと思うのだけど。清涼な水、光といったものは人工的に用意できるし。

看板

15:11
「わさびの大規模大量生産」というビジネスモデルで大金をゲットする、という銭ゲバなことに思いを馳せつつ、先に進む。

ここから天城峠まで2.5km。まだまだ先だ。

ひょっとしたらこのわさび田、「耕作放棄地」なのではあるまいか?あまりに山奥過ぎて、高齢などを理由に栽培断念・・・とか?

道

15:12
わさび田がある谷にいったん下り、そこからまた対面の尾根に上りなおす。えー、面倒くさいなー。既に足が疲れているので、この程度の登り返しすらしんどい。

しかも、谷に沿ってちゃんとした道があるのに、そちらはロープが張られて通行止めにされていた。谷沿いの道のほうが高低差がなさそうなのに。

道

15:15
上からわさび田を見下ろしたところ。やっぱりぜんぜん生えていない。

とはいえ、「耕作放棄」されたにしては整備が行きとどいているように見える。放置していたら、すぐに草やコケが生えるだろう。ということは、わさびの収穫が済んで、今は新しいのを植えたばかりなのか、それとも一時的に土地を休ませているのか。

道

15:17
ヒイヒイいいながら尾根を上がったら、すぐに下り坂になった。なんだよ、俺の標高差を返せ!無駄足じゃないか!と軽くご立腹。しかし、「じゃあ標高差を返してやるぜ」といわれたら、一生下山できない。下り坂を素直に喜ぼう。

で、下ってみたら、広い道と合流した。さきほどのわさび田脇から伸びていた、通行止めの道だ。結局この道に合流するということは、えらく大回りをさせえられたということだ。けしからん、と大回りの理由を探しに広い道をわさび田方面に向かってみたら、道を完全に塞ぐ形で倒木があった。どうやらこいつのせいで、通行止めにしたらしい。

倒木をチェーンソーで切るなどして改善させないで、わざわざ迂回路を作ったのだな。そっちの方が楽だったのだろうか?

道

このあたりの道はトリッキーだ。天城縦走ルートの後半は道迷いを起こしやすい、大変にわかりにくい場所がいくつもあるが、このあたりは特にそうだった。

広い道を進もうとしたら、トラロープが張ってあって進路を阻んでいた。その奥に標識が見えるのだけど、どうしちゃったんだろう。この先も倒木があるのだろうか?

道

折り返して、尾根を見下ろす。

隅々まで見ても、登山道はないように見える。しかし、行くことができる場所はここしかなさそうだ。普通、登山道がない場所であっても、木の枝にカラフルなビニールテープが張ってあって、歩く場所が明示されているはずだが・・・。

ここで僕だけでなく、他の登山客数名が途方にくれてしばらくウロウロ。

「こっちですかねえ?」
「ここしかないですけどねえ・・・」

お互い、尾根を見下ろしながら、躊躇する。

道

しばらくして、別の方が脱出ルートを発見した。

「こっちから行けますよー」

と声をかけてもらい、尾根を偵察中だった僕はそこで引き返すことができた。

広い登山道の先に見えたトラロープ。これは「こっちから向こうにいっちゃいけません」という警告ではなく、その逆だった。「あっちからこっちに来るな」というものだった。その証拠に、トラロープにくくりつけられた警告表示は、我々側に背を向けている。(写真では、トラロープを乗り越えて「あっち側」にいる状態)

トラロープを越えてみてわかったのだけど、写真右側にわずかに木の階段が写っている。標識も、ここから右に向かえば八丁池ですよ、と記されている。

つまり、僕らは尾根を下っているとき、この木の階段の存在に気づかず、まっすぐ尾根を歩いてしまったのだった。登山道ではないにもかかわらず。既に登山道から逸れていた、というわけだ。

結果的にリカバリーできてよかったけど、それくらいこの界隈の道はわかりにくい、ということだ。僕に限らず、居合わせたほかの人たちも、「こんなところに階段があったなんて気づかなかった」と口々にぼやいていた。

道

15:23
気を取り直して、歩く。

ブナとヒメシャラの森の中。

先ほどから、木々が作り出す影が長くなってきている。写真を撮りにくい。そして、あたり一帯が薄暗くなっている場所も出始めている。

看板

15:29
向峠。

ここで分岐があって、天城峠に向かう道から別れる形で、上り御幸歩道があるらしい。しかし、標識にその表示はない。問答無用で天城峠まで歩いていけ、ということらしい。

望むところだ。ここまで来て、天城峠を避けて縦走路をそれるつもりはサラサラない。天城峠に到着して、心の底から「天城ィィィィ越(以下自粛)」と絶叫したい。

絶叫まであと1.3km。

道

天城峠までの道を進む。標高差は100mちょっと。

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