08:52
登頂開始、というか移動開始。登山道入り口の看板は、あくまでも「縦走路入口」と書いてある。「天城山登山口」とは書いていない。
・・・登って降りてくるだけじゃダメだ、縦走しろこの野郎
というメッセージだと、受け止めたぞこのやろう。
気合が入って、思わず顔が引き締まる。
というか、すぐ近くに、先ほどのバスで下車した人たちがこちらに向かってきているので、即座に撮影・即座に撤収しないと。「一人登山歴」が長いおかでんプロとはいえ、「一人で三脚を立て、10秒間でポーズを決めて写真に収まる」というのを人に見られるのは相当恥ずかしい。だから、セルフタイマーが「残り5秒」くらいになったところで、ふらーっと自然体で標識のところまで歩いていき、「なんだかなぁ」とため息混じりに、さもつまらなさそうに振り向いたところでシャッターが落ちるというタイミングにしている。
キメッキメで写真に写ってる姿なんて、人には見せられないよ。
08:55
さあ、登山開始。
最初はゆっくりと、自撮りでもしながらのんびり歩いて行くつもりだった。しかし、背後から貸切バスでやってきたと思われる、児童だか学生だかの遠足御一行様がやってきた。この団体に揉みくちゃにされるのはカンベンだ。慌ててペースを上げて、一気に振り切る。
今ここで追いつかれなかったとしても、山頂で一息ついているときにワイワイと団体がやってくると落ち着かない。よくあるんだ、山ではそういうシチュエーション。「すいませーん、先いきまーす」と登山途中で追い抜かせてもらった団体が、後からゾンビのように追いすがってくるパターン。こっちがバテて一息ついていると、追いついてくる。で、慌てて休憩を切り上げて、追いつかれないように逃げる。その繰り返し。
08:57
歩きやすい登山道が続く。
お日柄がよろしく、心地よい。真夏だったらきっと暑いけど、10月なのでちょうどいい。先程、登山道入り口で撮影した写真を見てもわかるとおり、すでに長袖着用だ。もう、半袖で山に登っていられる季節ではなくなってしまった。
ああ、また歳をとっていくのだな・・・
しんみりする。
いや、それは嘘だ。「天城山といえばイノシシが名産だから、そろそろ脂が乗ってうまいシーズンになるよな」と、食べることばっかり考えていた。
09:05
「四辻」というポイントにやってきた。登山開始から10分程度。
ここで左に曲がれば万二郎岳に直登するルート。まっすぐ進めば、山の中腹を進みながら、万三郎岳の近くの稜線に出る。
つまり、ゴルフ場から万二郎、万三郎と登頂し、ぐるっとこの西辻まで周回して戻ってくることができる。
登山の世界では、同じ登山道を往復することを「ピストン」と呼ぶけど、行きと帰りで同じ道を歩く・・・というのは、なんだか損した気分になるものだ。その点、こうやって周回ルートがあるというのは「お得感満載」だ。
僕は今回縦走するので、このお得感には預からないけど。
でも、車でゴルフ場までやってきた人にとっては大変にありがたいルートだ。
09:09
この地図では、標高が高くなるほど緑色が濃くなるように描かれている。ちょっと直感的ではないカラーリングだ。普通、標高が低いほうが緑が多いので、色としては逆だと思うけど。
こうやって見ると、四辻を起終点とした周回路の他に、道がいくつか伸びているのが見える。
09:21
黙々と登る。いや、特にコメントないっすよ?
きっつぅー、というレベルでもなく、道が良過ぎもせず悪過ぎもせず、淡々と標高を稼げる。心地よい登山道だ。
09:28
もともとスタート地点がかなり標高の高いところなので、ちょいっと登れば木々は低くなる。さすが半島の山だけある。海からの風雨が強いからだろう、標高1,100メートルくらいなのに、頼りなさげな木が増えてきた。
09:28
すっかり自然に溶け込んでおります、と言いたいところだけど、時折カツン!という鋭い金属音が聞こえる。ゴルフ場でドライバーショットをぶっ放した音だろう。ナイスショット!と大声で眼下のゴルフ場に向けて叫んでやりたかったけど、救助要請と勘違いされて捜索隊が組まれたら大変だ。山で大声を出すのはやめよう。たとえそれば「ヤッホー!」であっても、ダメ。
案外視界が開けない登山だけど、ちらっと、ほんのちらっとだけ眼下の景色が見えた。ゴルフ場の、僅かなフェアウェイと、遠方の海岸と山。えーと、あれはどこだ?熱海のあたりが見えているのだろうか?
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