15:54
天城峠まで来ると、あとはもう楽勝・・・のはずだった。一気に天城トンネルの脇にあるバス停まで下る。しかも所要時間は25分だ。旧天城トンネルまで15分、そこから10分でバス停。ちょろいもんだ。
だけど、そうはいかなかった。
今度は道がしっかりしている。しかし、標識を前に考えこんでしまった。
道は三方向に分かれている。
ベンチの脇を通って南側に向かうと、そこから道が伸びている。おそらく、下田方面に下る道だと思うが、特に標識には記述がない。道が存在していないかのような扱いだ。
まっすぐ進むと、「仁科峠・二本木峠」という記述がある。なにそれ。どっちも知らない地名だ。
そして、右側・・・つまり北側斜面に下りていく道。たぶんこれがバス停に向かう道のはずだけど、何も標識がない。
これまで何度も廃道や迂回路を見てきたので、北側斜面に下りていく道を選ぶのはちょっと怖い。何故標識がないのだろう?
そもそも、天城峠までやってきて、何故標識に「天城トンネル」とか「バス停」の表示がないのか。謎だ。
ひょっとしたら、僕が知らないだけで、仁科峠とか二本木峠というところがすぐ近くにあって、そこを経由したらバス停なのかなあ?と疑う。でもそんなことあるものか、この峠のすぐ眼下がトンネルで、バス停のはずだ。これ以上峠越えなんてあってたまるか。
ますます不安になるのが、いつの間にか道の名前が「伊豆山稜線歩道」になっていたことだ。さっきまで「上り御幸歩道」だったのに。いつ名前が変わったんだ?
しばらく峠をウロウロして手がかりを探したが、見つからなかった。しょうがないので、えいやっと北側斜面に向けて下っていくルートを採用した。標識、見当たらなかったけど。
バスの時刻は16時9分。あと15分。急いで下れば間に合うかもしれないレベル。
15:58
踏み跡がちゃんとしているような、いや、していないような?と疑心暗鬼になりながら道を進んでいくと、ちゃんと手すりがついている、立派な階段が見えてきた。あ、これは廃道ではなさそうだ。このまま道に迷うとか、とんでもないところにたどり着くといったことはなさそうだ。
よっしゃああああ、一気に下山だー
16:00
あずまやが見えてきたぞ、と思ったらここが旧天城トンネル出口。ハイカー向けにトイレが用意されていた。ふぃー、バスまであと9分!標準コースタイムで10分だから、ギリギリ間に合うかどうか。バスが遅延してれば、大丈夫。
天城峠の位置。下田街道。
点線が続いているところが、自治体の境界で、まさにここが縦走路になる。右側に見える八丁池から歩いてきてここまでやってきたことになる。
後で知ったのだけど、この天城峠から西側の縦走路が「伊豆山稜線歩道」で、仁科峠や二本木峠はこの地図におさまらないくらい遠くにある。最終的には、西伊豆北部の戸田(へた)のほうまで続いているようだ。長大な縦走を楽しみたい人向けの、ロングコースとなる。
あぶねー。うっかり「仁科峠に行ってみよう」なんてやってたら、日没までに下山できていなかったぞ。
16:01
天城峠バス停、の標識。ここがゴール地点ではない。ここからもう一段、低いところまで下ってゴールだ。目の前の道路は砂利道。車の往来はほとんどない。
16:01
標高710メートルまでおりてまいりました。
うわあ。
今来た道を振り返ってみたら、そこには石造りの重たそうなトンネルがあった。旧天城トンネル。今の下田街道はこことは別に走っているけど、その道ができるまで使われてきた旧道。
穴の幅は狭く、そして暗い。車二台がすれ違うのがやっとだ。いや、無理だ、幅が4メートルもない。観光バスなんて、通ることすら無理っぽい。もっとも、こんな砂利道のところまで観光バスはやってこないだろうけど。
心霊スポットとして大変に有名な場所で、いろいろなうわさを聞く。でも僕は心が清らかなので大丈夫(根拠なし)。
16:02
正式名称、「天城山隧道」。
実は重要文化財だった。日本で最初の石組みで作られたトンネルであり、現存する石組みのトンネルでは最長なのだそうだ。
さすがに心霊スポットです、とはかかれていなかった。
16:02
いかんいかん、バスの発車時間があと7分だ。旧天城トンネルはこの辺にして、早くバス停がある新天城トンネルに向かわないと。
どこから登山道が伸びているのだろう?と慎重にトイレあたりを探っていたら、下り標識があった。・・・が!
やられた!ここもトラロープ!よりによって最後の最後で通行止めとは!
まじですか。
地図で見たら、ここを一気に下ればすぐにバス停なのに・・・迂回しろ、って言われてもどうすればよいのやら。
16:03
えー。迂回路、用意されてないのー?
目の前に広がるのは、砂利道の旧下田街道。
車道なので、登山道とは違ってウネウネしている。そして、えらく大回りさせられる。まじでーまじでー。
16:06
アカン、どうやっても16時9分のバスには間に合わない。
これはもう諦めて、17時4分の便に乗るという発想に切り替えるしかない。あーあーあー。
仕方がない。
ちなみに終バスは17時49分。バスを取り逃して山中で途方にくれる、という事態にはならなかった。
いずれにせよ、もうここから先は車道の上を歩くだけだ。よっぽど運が悪くなければ、この先は道迷いも、怪我もなさそうだ。ひとまず今回の旅はひと段落したっぽい。
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