12:45
苗場山自然体験交流センターのお手洗いに行ってみる。
女性用トイレは「花摘み」と書いてあって、髪を編んだスカートの人物がお花を手にしている。
「お花摘み」というのは、登山における隠語で、女性が用を足すことだ。「ちょっとトイレ」といって団体から離脱するのは恥ずかしいので、「花を摘んできます」と言う。用を足す姿勢がお花摘みに似ているからだ。
一方男性トイレは「雉撃ち」と書かれていて、青い人物がライフルを手にしている。
キジ撃ちというのは、男性の用を足すときの隠語だ。
トイレの奥に廊下が続いている。
廊下の突き当りにはストーブと毛布が見える。どうやらここから先のエリアが、宿泊客が寝泊まりする場所らしい。
「立ち入り禁止」とは書かれていないので、ちょっとだけ中を見学させてもらうことにした。
寝泊まりする場所の様子。
外見のイメージどおり、カイコだなになっている二階構造。
寝台特急「サンライズ瀬戸」の「ノビノビ座席」のように横一列にゴロ寝するスタイル。
この山小屋は予約必須なので、お客さんが来すぎてぎゅうぎゅう詰めになることはない・・・はずだけど、そもそも山小屋の「定員」の概念が一般常識とは異なるものなのでなんともいえない。隣の人と肩がぶつからなければオッケー、くらいの縄張り感覚で定員をカウントするのがふつうだ。
半二階の様子。両手をバンザイして、カメラだけで撮影。
1階と同様のつくり。窓際に棚がついているので、外したメガネとか夜トイレにいくためのヘッドライトとか、ちょっとした物が置けるのは便利。
この時間はさすがに宿泊客がいなかった。もう少し遅い時間から登り始めるのだろうか。場所柄、他の山から縦走してくる人というのは少ないので、「予定よりも早く到着したので昼過ぎには山小屋で休憩」という人はおそらくいない。
「山小屋指南」という張り紙。
まあそうだよね、ということが書いてあるけれど、最後に
「男性の方 便器の中にタンをはかないで下さい」
と書いてあったのにはちょっと驚いた。そんなこともあるのか!
ここのトイレがバイオトイレだったか汲取式だったか忘れたが、タンを履かれると何かと不都合があるらしい。
12:49
食堂兼談話室兼休憩室に戻ってきて、お昼ごはんを食べる。
今回持参した便というは、「災害備蓄保存用パン」だ。いわゆる「パンの缶詰め」。
パンが缶詰めになるのか!と感心させられるが、一応ちゃんとしたパンだ。「乾パン」ではなく、れっきとしたパンだから面白い。ただし、フワフワではない。みっちりと実が詰まっている感がある。
僕はまったく抵抗なくこれを食べられるのだけれど、人によっては保存料?の癖が気になるらしく、受け付けないらしい。そんなものかなあ?
ちなみにこの商品、1缶に2個のパンが入っている。2個食べると、僕でもお腹いっぱいになる。そして口がボソボソする。保存食なので、さすがに水っけがないからだ。
なんでこんなものを持ってきているのかというと、会社の備蓄のお下がりだからだ。
会社は社員が就業中に地震などが起きた時に備え、食料や水を備蓄してくれている。で、その食料が定期的に期限切れになるので、その都度「欲しい人は持って返ってください」というお触れが出るのだった。それで、だいたい毎年僕は会社からパンの缶詰めをゲットする。
この缶詰めは自分用の食料備蓄にするわけだけど、そもそもが期限切れ寸前の品だ。さらにそれを我が家で備蓄すると、いざ災害になったときに役に立たないゴミになってしまう。ときどき消費していかないと。そんなわけで、登山のときにパンの缶詰めを持参するのはとても良い、と思っている。
えーと、缶の下に賞味期限が書いてある。・・・2015年12月?
おいちょっと待て、今は2018年9月だぞ。3年近く賞味期限を過ぎてるじゃないか。
備蓄にも程がある。もっと早く食べておけばよかった。
まあ、これで僕が「会社の災害用備蓄を盗んで私物化したわけではない」という証明にはなるな。
ちなみに3年近く過ぎていても、ちゃんと食べることができた。お腹は壊していないし、味も特段変わりなかったと思う。すごいな、パンの缶詰めって。
ごはんの保温ジャーとお茶が入っているであろうポット。
なんでこれを撮影したのか、今となってはわからない。別に「休憩した人はご飯一杯サービス!」というわけでもないのに。
13:12
そろそろ身支度。日が暮れるまでに下山しないと。だいたいこの時期、日没は17時半。日が沈んでからもしばらくは明るいけれど、日没以降も歩く前提でスケジュールを組むわけにはいかない。ヤマケイオンラインの標準コースタイム表記では3時間5分で和田小屋まで下山できるはずだけど、雨の中だし、疲労があるし、僕以外の2名がタバコを吸う人なので休憩時間が長くなる。17時までに下山できるかどうか、といったところか。
小屋の脇には、お相撲さんのちゃんこ鍋よりも大きな鍋がドラム缶の上に置いてあった。ゴミではなく、これもれっきとした雨水を貯めるための貯水タンクだろう。
13:14
30分程度の休憩で、下山開始。
レインウェアを上下着込まなくてもなんとかなる、程度の小雨。でもむしろそのせいで不快さがある。ウェアのチャックを閉めると暑いし蒸れる、チャックを開けると雨で濡れる。
(つづく)
コメント