負傷しながらの下山【苗場山】

大浴場の近くに、何やら意味深なダウンライトが光っていた。

インテリアを飾っているようではなさそうだ。あれはなんだろう?

近づいてみる。

あ!「★夏期限定★かき氷 無料サービス」だって!

そこには、氷をクラッシュするかき氷機と、各種シロップが用意されていた。

紙コップとストローがあるので、これを使って食べてね!ということらしい。すごい!そんな無料サービスがあるなんて!ありがとう、食べるよ!!!

出来上がった氷。「かき氷」というか、「クラッシュドアイス」だ。なので食感はガリガリ。

改めて食べてみると、そこまで美味しいものじゃあないんだけど、やっぱりスペシャル感が素晴らしい。「かき氷を風呂上がりに食べた!」というのは相当お得に感じた。

かき氷って、よく考えるとそこまで大したものではない。氷というのは宿には必ずあるものだし。もし宿の方で、何かお客さんへの追加サービスを考えているんだったら、かき氷サービスというのはありだと思う。

そういえば、かき氷を食べている暇があったら、その氷で捻挫した足をアイシングしておくべきだった。全然思いつきもしなかった。若干足を引きずりながらも、歩くのには支障がなかったからだ。

セルフかき氷の隣には、麦茶が用意されていた。

こういう飲み物が無料である、というのはなにげにありがたい。水を飲むか、自販機で買うかのどっちかしかありません、というのはちょっと残念だ。たかが麦茶?いや、こういうのがいいんだよ。

で、この麦茶だけど、「あれっ?」というほど美味しかった。僕の勘違いか?と思ったけれど、まゆみさんも相方さんもふたりとも「確かにこれはうまい」という。僕は人生の中で一番おいしい麦茶だ、とさえ思った。香ばしく、かといってそば茶のように香りが高すぎるわけでもなく、麦茶ならではのさらっとグイグイ飲める感じ。最高のバランスだった。

これは特殊な麦なのだろうか?と思って、翌日仲居さんに聞いてみた。買えるものならこの麦茶が欲しい、と思ったからだ。でも、仲居さんは「ふつうの麦茶ですよ。水がいいんじゃないですかね」と笑って仰っていた。そういうものなのか。

この宿は、川端康成の「雪国」を映画化したものが毎晩20時から上映しているらしい。すげー。上映時間2時間15分。たぶん僕たち、見ている途中で寝るので諦める。

19:47
この日の宿は夕食なしでお願いしていた。なので夕食を求めに、越後湯沢駅あたりに繰り出してみる。

特にあてもなく。

19:54
車に乗って越後湯沢駅界隈までやってきたのだけれど、ちょっと予想外だった。お店が少ない。もっとよりどりみどりのイメージだったけど、選べるお店が殆どない。

しかも、20時前ともなるとこの時期営業を終えてしまうお店が多い。車前提の移動となる場所だし、長丁場で飲み食いする人や遅くからスタートする人があまりいないのだろう。

やれ困ったな、ということで探した結果、駅からほど近いところにある「ひょうたん瀧」というお店に入る。ここなら空きがあった。

久しぶりに居酒屋に入った。八海山の「越後で候」の赤ラベルと青ラベル両方がある。青だと1合700円、赤だと1合800円。

八海山は越後湯沢からちょっと遠い場所の酒蔵だけど、このお店は品揃えが良い。

20:01
まずはビールで乾杯。本日の無事を祝う。

いや、無事ではなかったのだけれど。ギリギリ下山できたという感じ。こんなしんどい山は久しぶりだ。

僕はお酒を飲めないので、ノンアルコールビールのドライゼロを飲む。

改めてこういうガチ居酒屋のガチ酒肴を相手にノンアルコールビールを飲むと、ノンアルビールの力というのは弱っちいことに気がつく。ポテチ相手程度なら、十分にビールテイスト飲料としてその役割を果たすんだけど。

舞茸を炙って割いたものとか、いったいいつ以来だろう?

八海山を飲んでいる仲間たちにとって、玉子焼きというのは立派な酒肴だ。僕はこういう清々しい酒肴を食べるのは久しぶりなので、「ご無沙汰しています・・・」と箸をつける。

なんかいろいろ食べたけど、名前は忘れた。

おすすめのお酒は?とお店の人に聞いて、出てきたのがこれ。鶴齢。

野菜いろいろを田楽みそで食べる。

仕上げの雑炊。

「おかでんさん、お酒飲んでいないんだからどんどん食べてよ?」

とまゆみさんに言われたけど、さほど雑炊が腹に入るわけではなかった。お酒を飲まない人が酒飲みと一緒の席につくと、酒肴じゃ腹が空くでしょ?という心配をよくしてもらう。実際そのとおりなんだけど、かといってガツガツご飯物が食べたいわけではない。酒飲みのペースにあわせてゆっくり少量の酒肴を胃袋に入れているので、さほど空腹感がないからだ。でも、満腹というわけでもないので、宴席が終わるとモヤモヤとした満ち足りなさを感じるのは事実だ。物理的にお腹は減っていないけれど、精神的にお腹が減っている、といった感じ。

(つづく)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください