08:30
和田小屋でトイレを済まし、タバコを吸う二人はタバコを吸い、8時30分に登山開始。
ここまでは予定通り。しかし、既に若干気持ちが急いている。休憩時間を入れると、この時間からの登山開始でも下山予定が日没近い時間になるからだ。
地図を見ると、この山はスルッと登れそうに見える。和田小屋から、概ねまっすぐのルートで山頂に向けて突き進むからだ。これがグネグネつづら折れがあったり、急に登山道の向きが変わったりするルートだったら、「あっ、このルートは険しそうだ」と察するけれど。
しかし、よくよく標準コースタイムを見てみると、それなりに時間がかかる。ゆっくりなんてしていられない。東京発公共交通機関利用で日帰り登下山を考えるなら、「始発の上越新幹線利用、タクシーで和田小屋」という我々が採ったやり方しかない。
あとは、人よりも早いペースで歩ける脚力で短時間の登頂を目指すか、マイカー利用するとか越後湯沢や津南に前泊するか、そうでなければ山中一泊だ。山頂には山小屋が一軒ある。
今回、僕らは山小屋泊という発想はまったくなかった。前回日光白根山と同じやり方を前提にしていて、「登山+温泉宿でしっぽり」ということが前提だった。今思えば、山小屋一泊で、山の上の非日常感を味わうのもよかったかもしれない。せっかく苦労して標高を稼ぐんだし、その稼いだ標高をすぐに下山して浪費するのは勿体ない。
登山開始時点で霧雨が降っていた。全員雨装備で登山口に向かう。
08:35
冬であればスキー場として銀世界が広がっているゲレンデを歩く。
ちょっと歩いたところから和田小屋を振り返ってみた。こんな感じの登山が今後も続くなら、気持ち良いんだけど、さて。
と思ったら、登山道は藪の中に入っていった。
えー。
折角だからこのままゲレンデを登っていけばいいのにー。
08:44
樹林帯の中を歩く。
9月29日の標高1,300メートル超地点ということもあって、すでに木々の一部が紅葉を始めていた。
ナナカマド。
秋に登山をやっていて、赤くて小さい実がいっぱい実っている木を見たら「ナナカマドだ!」と適当に叫ぶ。小さくて白い花を見かけたら「チングルマだ!」と言うのと同じくらいいい加減だけど。
でも、これはナナカマドで間違っていない。もう秋だなぁ。
でもその分、日没時間が早いし、日が落ちると寒いということでもある。うかうかしていられない。秋の登山は涼しくて気持ち良いけれど、日が暮れることを常に意識していないといけない。
08:56
山の尾根筋を歩くでもなく、谷筋を歩くでもなく、中途半端なところを歩く登山道。
地図上では水平移動中心の登山道に見えるけど、なにげに標高もどんどん上がっていく。1/25,000の地図で確認すると、等高線なんて関係ない、とばかりにまっすぐ登山道が伸びていることがわかる。
まだ登り始めだからへーきへーき。体力には余裕がある。
09:01
登り始めから30分、六合目に到着。
ここから30分で下ノ芝というポイントだという。
雨が降っていて、地面が湿っている。それはいい、それはいいんだけど・・・
これにはほとほとまいった。
登山道が岩。
わざわざ登山道がぬかるまないように、階段がわりにということで岩を敷き詰めたのか?と疑うほど、ゴロゴロと岩が転がっている。
09:06
最初のうちは、階段を登る感覚で岩を踏みしめていくことができた。しかし、これがずっと続くと、かなりの疲労が溜まってきた。真っ平らに整地された階段と違って、石は一つ一つの形がバラバラだ。足でしっかりと踏みしめて踏ん張って、体のバランスを取り続ける必要がある。しかも、岩は濡れているので、滑らないように気をつけないといけない。体幹を支えるインナーマッスルにダメージがくる道だ。
さらには、大きめの岩を乗り越えるときは、当然大腿四頭筋をはじめとするアウターマッスルも負担が強い。
これは地味にキツい。単に「標高差がキツくて、息が上がる」タイプの登山道ではない。なんだか、前に進んでいない割には疲れ、同じ場所でもがいているような感覚になってくる。
09:13
たまに木道があると、ほっとする。
木々は既に標高に負けはじめ、鬱蒼とした樹林帯ではなくなっている。厳しい環境ならではの笹が生えている。
こういう光景を見ると、「森林限界間近!テンション上がる!」となりそうなものだけど、天気が悪いのであまり気分が乗らない。
日光白根山のときは、バキっとした好天だったのでテンションが上ったのになぁ。
(つづく)
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