12:40
苗場山頂ヒュッテ。
またの名を「苗場山自然体験交流センター」という。
いや違う、正式名称が「苗場山自然体験交流センター」で、昔の名前が「苗場山頂ヒュッテ」らしい。ヒュッテを全面改装して、自然体験交流センターという、まるで環境省の施設のような名前になった。
僕の記憶だと、昔は苗場山頂に宿泊施設が2つあった。一つは要予約だったか、関係者以外宿泊不可だったか。でも、その記憶が正しいのかどうかは今となってはわからない。ネットで検索しても情報が見つからないからだ。
インターネットというのは知の集合体のように見えるけれど、案外情報が揃っていないものだ。ネットが普及した2000年以降の情報はたくさんあるけれど、そのちょうど手前くらいの時期については情報が足りないことがある。
12:40
苗場山頂付近には公衆トイレはない。このため、ヒュッテの中にあるトイレを使うことになる。お値段100円。
男性なら、100円惜しさにどこか近所で立ち小便でも・・・なんて悪い気を起こしそうだが、そういうのは環境破壊だからやめてくれ。あと、こんな見晴らしの良いところで立ち小便をしている人がいたら、遠くからでも目立つ。
2018年時点。大人一泊二食で8,800円。
休憩はトイレ代含んで300円。僕らも、この天気で外で休憩というわけにはいかないので300円をお支払いすることになる。
12:41
建物の側面。
いろいろ無骨に物が転がっている。
建物は2階建てだけど、二階部分が低い。二階にも立派に人権ならぬ間取り権があるのではなく、あくまでも二階部分は寝床だから、という意味だ。二段ベッドの上段は天井に近い、というのと一緒。
テラス席もある。
もちろん今日みたいな雨だと、とてもじゃないがここを使う気になれない。
今日のお昼ごはんにラーメンを作ろうと考えていなくてよかった。屋内で休憩する場合、さすがに小屋の中で火を炊くわけにはいかない。一人雨の中、湯を沸かすためにここまでやってくることになっていた。
12:43
交流センターの中に入る。
まずは下駄箱で靴を脱ぐ。下駄箱の隣が雨具を吊り下げられるようになっていて便利だった。何を当たり前のことを?と思うかもしれないが、こういう作りになっていない山小屋は多い。(そのかわり、暖房を焚いている乾燥室が独立して存在している山小屋は多い)
山小屋の窓口でお金を払って中に入る。
カウンター周辺に売り物となる商品がずらずらと、バーの酒瓶のように並べられているのは多くの山小屋でおなじみの光景。ここでも、ペットボトルやビール、カップラーメンなどが並べられていた。
ビール350ml缶は600円、ペットボトル飲料は350円。
12:45
山頂の案内図、という手書きの地図がある。
四方を山々に取り囲まれ、山頂の湿原を真上から見たかのような構図になっている。
まるで、湿原が高い城壁に守られている城塞都市のように見える。
これを見ると、山頂への登山道は4本あることがわかる。赤念岳と小赤沢との分岐に「苗場神社」があるのだけれど、片道30分かかるようだ。往復で1時間か。とてもじゃないがこれから僕らが行くには無理だった。
時間に余裕があれば、湿原散策も兼ねて苗場神社まで・・・という淡い期待があったのだけど、この悪天候だし時間がかかるし距離がながいし、諦めよう。
思った以上にスケールが大きい山で、地図で見ると「すぐに着くだろう?」と油断させておいて実は案外遠い、ということがこれまで頻発している。
小赤沢下山の方へ、という張り紙がある。
日帰り入浴施設の「楽養館」の入浴券が100円割引になって400円になりますよ、お買い求めはこちらにて!という内容だった。いいね。
楽養館は長野県側の、小赤沢登山口に向かう道中にある温泉だ。
アワレみ隊として2度ほど訪れたことがある。名湯と安易に名付けて全然構わない、素敵なお湯だ。
下山してここのお風呂に入るなんて最高だ。しかも、雨でずぶ濡れになった後の風呂だもの。いいに決まってる。マイカーの方は、ぐるっと大回りになったとしても小赤沢温泉ルートで入山するのがいいと思う。
ただし、晴れているなら、今回僕らが使った硯川ルートのほうが景色がよいはずだ。どっちもどっち。
小赤沢温泉は、津南から南に向けて中津川を遡上していった途中にある。
ここは国道405号線が走っていて、道中秘湯がぽつんぽつんと点在している「秘湯街道」だ。でも、切明温泉で国道405号線はプツンと途絶えていて、行き止まりになる。そのせいで、秋山郷と呼ばれるこの界隈は秘境感が強い。
時間があるなら、登山+秘境+秘湯を堪能するとさぞや楽しいだろう。毎日一温泉ずつ、山の上流に向けて移動して一泊するのを続けていく。
交流センターの談話室であり、休憩スペースであり、食堂でもある場所。ここは建物の二階相当の部分と吹き抜けになっていて、広い天井だ。
すっかりカメラが結露してしまい、写真が曇りっぱなし。雨の日の登山はカメラで難儀する。
(つづく)
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