11:40
雲洞庵、というお寺にやってきた。
何かこの魚沼界隈で観光地はないか、と調べていたら見つかったものだ。
これまで毎年、「のっとれ!松代城」でこの地を訪れているけれど、レース出場の合間で観光しているということと、残雪深い季節ということもあってあっちこっちには行けていない。せいぜい、「今晩の酒を仕込むぞォォォ」と蛮声を張り上げて八海山に行くくらいだ。
なので、このお寺の存在はまったく知らなかった。「金城山 雲洞庵」。曹洞宗のお寺で、古い歴史を誇る。
いや、「誇る」なんて言い方はえげつないか。静かに、そっと昔から時を刻んでいる。
入口は山門正面ではなく、そっと脇から。地味だ。
拝観料300円。
事前情報を殆ど持っていない中、300円払って中に入るかどうか若干躊躇した。でも、この立派な杉並木を見ると、かなり手入れが行き届いた、凛とした空間と思われる。中を拝見しないと、後で後悔しそうだ。
11:43
わー。
これは立派だ。
真っすぐ伸びた石畳、すっとまっすぐ伸びた強い意志を感じる杉。そして、丁寧に手入れがされた苔むした地面。
石畳の石一枚一枚には、法華経が書かれていて、その上を歩くだけでご利益があるらしい。折角だからありがたく法華経を踏みしめたいけれど、僕は片足がいうことをきかない。0.75人力くらいの力で、足を踏みしめる。
苔なんて、適当に湿らせておけば生える・・・なんて思ってはいけない。我が家の実家の庭に苔があるからわかるけれど、苔をこうやって絨毯状にきれいに生やすのにはどれほど手間がかかることか。「落ち葉があるからお掃除♪」とほうきで掃くと、もう駄目になる。ゴミは手で拾わないと。
あと、人が大切にしていても、冬になるとツグミがやってきて苔の裏にいるミミズをあさる。そのせいで苔がひっくりかえされる。そりゃあもう、無残よ。これまでの努力が台無しよ。
これはすごい手間ひまかかっている空間だ。
11:44
赤門。
ここから本堂に通じる参道の眺めが素晴らしい。
参道の説明。
法華経を一字一石ずつ刻んだよ、と書いてある。
あ、1つの石に法華経全部、じゃないんだ。てっきり、米粒写経みたいにものすごく小さな字で書き込んだのかと思った。
やばい、捻挫した片足をかばってケンケンしながら歩いていたら、法華経すべてのご利益を得られないぞ。
昨日の苗場山と違い、下界のこちらはこれから紅葉がはじまる。
11:51
本堂。釣り鐘の形をした窓が、いかにも禅寺。
中に入って天井を見渡す。何か違和感がある。
欄間?いや違う、なんだろうこの違和感。別におかしなところはないはずだけど・・・
と思ったら、あれれ、この壁、縦の梁が天井に接続していない。
そんなお前の違和感などお見通しだ!とばかりに、ちゃんと解説があった。「大方丈」というらしい。
「このような様式が書院造最高の宝であります」と書いてある。まじかー。
それにしても手入れが行き届いている。
本堂の裏庭も、このようにきっちりと掃除が徹底されている。これは毎日掃除をやっているだけで一日が終わるレベルだ。
(つづく)
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