雲洞庵の本堂に上がらせていただく。
でかい木魚がお出迎え。
伽藍そのものが広いだけでなく、お堂も広い。
広くて、和の建築にしてはかなり高い天井。雪国越後ということもあって、冬はどうにもならない寒さがこのあたり一帯を覆うだろう。これは外にいるのと変わらない空間。
屋内も、地味ながら手の混んだ装飾があちこちに施されていて、見ごたえがある。
火灯窓から見える外の緑が美しい。
障子が窓にはついているけれど、火灯窓のような釣鐘型ではないのだな。当たり前だ、普通の障子だった。
途中ベンチがあるという親切設計。
ベンチに座って、裏庭を眺める。
裏庭には特になにか風光明媚なものがあるわけじゃない。でも、四季の移ろいに思いを馳せながら、「たいしてみるものがない」庭を眺めるというのが素晴らしいひととき。
感心させられるのが、このお寺はほとんど隅々を見せてもらえることだ。
さすがにお坊さんの住居空間までは入れないけれど、ここまでお堂を公開していたら、日々のお勤めのときはどうしているんだろう?と思う。
檀家さんのご位牌が並ぶところまで入ることができる。
裏庭には池もある。
なるほど。
格子になっている火灯窓は、寒さと雪をしのぐために窓枠ぴったりサイズの板をはめるんだな。
観音開きや両開きの扉がついているわけじゃないんだ。
坐禅堂。ここで僧侶が座禅を組む。
今この時間は不在のようだ。
これだけの広大な敷地だから常に掃除が必要だろうし、日々思索をお坊さんはしているだろうし、どこかでお坊さんの姿を見てもおかしくないのだけど、ほとんどみかけなかった。たぶん、観光客がやってくるよりも遥かに前、夜明け前くらいから活動しているのだろう。
坐禅堂では、知恵の象徴である文殊菩薩が見守っていらっしゃる。
雪洞庵を後にした我々は、上越自動車道六日町インターチェンジを出てすぐのところにある「雪国まいたけ物産館」にやってきた。ここも初めて訪れる場所だ。
雪国まいたけ、といえばスーパーのきのこ売り場では毎度おなじみのブランドだ。まいたけ、えりんぎ、しめじなどが工場生産されている。その工場はこの界隈にある。高速道路を走っていると、巨大な建物があるのでそれとわかる。
で、わざわざこの直売所にやってきたのは、「きのこ収穫体験」ができる、という噂を聞いたからだ。
いちご摘みとか、りんご狩りというのはよく聞く。でも、きのこを自分で収穫するなんてあんまり経験がない(正確に言うと、アワレみ隊では南乗鞍の野生のきのこ狩りをやったことがある)
工場生産品であるまいたけをどうやって収穫するというんだ?気になるので行ってみることにした。
店内に入ってみると、何やらガラス窓のところに「きのこもぎ取り販売中」の文字。おお、あれだあれだ。
ははー、なるほど。
窓ガラスの中は、ビニール袋いっぱいに入った菌床と、そこにみっちり生えたまいたけがあった。なるほどこれを収穫するのか。
で、実際に体験しようかどうしようか様子を見ていたら、目の前で小学生の女の子が、家族とともにこの「まいたけ収穫体験」にチャレンジを始めた。我々は、それを遠目で眺める。
ガラス窓の向こうからもってきた菌床袋をテーブルの上にどんと置き、収穫の儀式が開始。
めりっ。
以上おしまい。
えーーーー。
本当に「めりっ」で終わった。もろい菌床なので、まいたけの根っこを折ると、そのまままいたけの株がもぎ取れる。そして、それで収穫は終わりなのだった。
いや、これはちょっとイメージしていたのと違うぞ。
ほら、いちご狩りなんて、「どのいちごが熟しているかな?これにしようかな、あっちにしようかな」と悩むじゃん?で、結構お腹いっぱいになってきたからそろそろやめよう、とかお土産にしよう、とか、別の品種を、とかあるじゃん?それがこれにはない。舞茸を菌床から取り外して終わり。
この「めりめり」という感覚が子供の情操教育にはいいかもしれないけれど、なんだか拍子抜けではある。
(つづく)
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