収穫物をD型格納庫に運び入れる。
こんなデカいものがハタケの傍らに余裕で存在するのだから、北海道の大地はいちいち驚かされる。なにせ、小型のヘリコプターくらいだったら翼さえ折りたためばこの中に格納できそうだもの。
ただし壁はトタンだし、側面は吹き抜けなので住むのは無理だ。あと、いくら簡易な作りだからといっても、サイズがサイズだけに数万円とか数十万円で済むものではなさそうだ。足場を組んで組み立てなくてはいけないので、それなりのお値段は覚悟しなければならないと思う。
ほんっとうにいちいち農業ってのは金がかかるものだな。
・・・まあ、デスクワークをやっている僕だって、今この職業に就くために大学に行かせてもらったり、就職後もさまざまな研修を受けさせてもらったりしているわけで、「モノ」ではなく「ヒト」に金がかかっているわけなのだが。
でも僕の場合、開花して実をつけたかというと、はなはだ疑問ではある。とりあえず来年はこの大地に生き埋めにしてもらうか。そうすれば秋には何かできているかもしれない。
かぼちゃは採れたてがおいしい、というわけではないのだな。こうやって格納庫に並べ、干して熟成させてからが食べごろらしい。いちいちこういうのも、知らない世界だ。
手竹ごとハタケから抜いてきた豆が、格納庫に立てかけてあった。
既にさやは茶色になっており、乾燥も進んでいるようだ。
豆科の植物は、荒地でも耕作しやすい作物だという。豆の根っこに「根粒菌」と呼ばれる菌が付着し、それが地中の窒素(=植物にとっては栄養)を固定する。菌と豆との共生関係だ。
そんな豆だが、生育期は手竹を立てて茎を支えてやる必要があるし、収穫する際は手竹を引っこ抜かないといけないし、豆を取り出すにはさやを摘んで、中身を取り出さないといけないし、取り出した豆は不出来なものも結構あるので、後日「豆より」を人力でこつこつとやらないといけない。結局人間様の手間はそれなりにかかってしまう植物ではある。
ハタケから直接摘んだ豆のさやは、大きなネットに集められ、ネットはパンパンに膨れ上がった。これをねこ車に積み、家に運び入れる。
人が年中住んでいるわけではない家なので、二階は物置きになっている。その二階に収穫済みの豆を運び上げ、横倒しにしておく。立てかけておくよりも、こちらの方がより乾燥が進むんじゃないかと思ったからだ。
なんだか見たことがない怪しい光景だ。猟奇的な香りすらする。でも安心してください、これは豆です。
野良猫2匹が家の玄関前のくぼ地をうろうろしていた。一体何を食べて生きているんだ、この野良猫。ブルーの親と兄弟にあたる猫だと思う。
くぼ地を見たら、家で出た生ゴミがそこに投げ込まれていた。それを漁っているらしい。
おおらかだ。
僕が住む東京だったら、当然のことながら「野良猫にエサを与えないでください」だし、「ゴミをそこらへんに捨てるな」だ。でもここはそんなことは全然気にしなくていい。野良猫、といったって、そもそもこの猫どもはハタケの敷地(200メートル四方くらいある?)内にほぼ生息しており、飼い猫みたいなものだ。
せっかくだから、この猫が恩義に感じて、ハタケの作物を狙う害獣を追い払ってくれればよいのだけど、犬じゃあるまいし猫にそれは無理らしい。
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