実りの大地【北海道ハタケ仕事3】

一息

お茶と簡単なお茶請けが用意されたので、全員で一息つく。なんか今回はものすごくご馳走になっている。5月の第一回目は、あまりに放置プレイだったので逆にびびったが、今回はもてなされているのでさらにビビる。5月時点だと、お茶は当然各自持参だし、糖分補給なんてしたけりゃ自分で用意して、農作業の片手間に勝手に喰ってろ、って感じだったから。

それで焦って僕は参加者連絡網を作ったりしたわけだ。でもここまで至れり尽くせりだと、そんな危機感はもういらないな。しかし、その結果参加者が「全部マメヒコ側が用意してくれるんでしょ?」という気になってしまうと、それはそれでマメヒコからしたら「違う」と感じるだろうし、バランスが難しい。

井川さんからここで、「おかでん、千歳でイチゴ農家やらないか?」と誘われたが、「いやー」といって話を濁した。マメヒコのスタッフになるということは刺激的ではあるが、マメヒコの新事業として千歳でイチゴ農家、というのはあまりに突拍子もなかった。「給与面で現在の会社と同等のものを保証してくれるなら」とか口走りそうになったが、あまりにその発想はゲスいのでやめた。マメヒコのような会社組織は、金銭云々ではなく、やりがいとか楽しさとか自立性といったものを重んじている人が集うべき場所だ。「ギャラはいくら?」なんて真っ先に思いついているような僕はそもそも人種として違うのだと思う。他に質問するべきことはあるだろう、と我ながら恥ずかしかった。

井川さんのこの「千歳でイチゴ農園計画」はその後立ち消えになったのか、それとも現在も暖めているのかは不明。千歳にマメヒコの支店を作る計画もあるようだし、まあなんともアクティブな人だ。心底尊敬する。

仕分け

お茶のためいったん持ち場を離れた状態の現場。

各自が自分の「殴りつる」を小さく仕分けて、そこでバコンバコンと殴っている状態。で、「もう十分に殴ったよ」と最終チェック班に回してつるを検品してもらい、「ダメ。まだ全然残ってる」と言われて返品されたりする。もちろん100%種を吐き出すなんてことは無理なので、少々残っている程度だったら最終チェック班が手作業で処理するのだが、それにしてもここで返品になる率があまりに高かった。とにかく大変だ。

マメヒコ、こんなに豆を収穫してどうするんだ?と思う。お店で黒豆寒天(通称クロカン)とか売っているが、とはいえカフエ営業で豆を大量消費するのは大変なことだ。しかし豆の場合、乾燥して保存することができるので、それが救いだ。

ブルーシートをまとめる

そろそろ日が傾いてきたので、片付けに入る。片付け込みで時間配分をしないと、大がかりな作業なので大変だ。

殴り場の下に敷いてあったブルーシートを全員で折りたたむ。まるで漁業のようだ。豆もあれば、つるのかすも沢山混じっている。これ、どうするんだろう。まだまだ「食品」の域には達していない。

花豆

格納庫にも豆がずらり。

花豆アップ

こちらは貝豆だった。初めて見た。食べたことがない豆だ。レンズ豆、ひよこ豆といったものは食べたことがあるけど、貝豆ってあんまり馴染みがない。

ここに置いてある豆は、ほぼかすが取り除かれている。どうやってここまで奇麗にできたのだろうか?

とうみ

と、思ったら、格納庫の脇からなにやらびっくりどっきりメカが出てきた。

あ!「とうみ」だ!

なるほど、これを使うのか。

「とうみ」といえば、社会だったか歴史だったかの教本で、「昔の農機具」として絵を見たくらいの記憶しかない。あとは、ほこり臭い民俗資料館に展示されているのを、鼻くそほじりながら見た程度の思い出しかない。そうか、豆の選別でも使うのか。稲作だけかと思っていた。

選別中

仕組みは簡単だ。上から、カス混じりの豆をざらざらと流し込む。そして、横についているハンドルをクルクルと回すと、側面から風が吹き出して、軽いカスは飛び、重い豆はそのまま下に落ちるという作りだ。なので、「重いカス」がもしあるならこいつは役に立たない。

とうみ作動中

実際にとうみを回しているのを見学させてもらう。

おお!確かに、かすが勢いよく飛び出していく!そして下に置いたバケツには、豆がじゃらじゃらとパチンコ玉のように落ちてくる。シンプルながらすごいなこれ。ノーベル賞あげようぜ。

しかし、あんまり強くハンドルを回すと、風が強すぎて豆ごと吹き飛ばされる。かといってハンドル回しが弱いと、全然カスが飛ばずにそのまま下に落ちてくる。力加減は難しそうだった。

こういうのはなんで電動にしないんですか、と思うが、そりゃそうだ、年に一回しか使わないものにお金なんてかけてられない。専業農家ではないのだし。しかも、ここまでどうやって電源ケーブルを引っ張ってくるのだと。家から随分遠い。電線を敷設するだけで一体どれだけお金がかかるのやら。

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