実りの大地【北海道ハタケ仕事3】

ぜんざいをごちそうになる

17:19
17時頃になると、ソワソワしてくる人が出てくる。帰りの飛行機が気になるからだ。いくらこのハタケが新千歳空港から15分の距離にあるとはいえ、レンタカー屋にレンタカーを返却して、送迎バスで空港に行って、巨大なターミナルの中をてくてく歩いて、おみやげ物屋を物色して、混みあう保安検査場を抜けて、搭乗時間に間に合わせる・・・ともなればどんなに最短でも1時間は必要となる。常識的には1時間半は欲しい。そんなわけで、身支度に時間がかかる女性陣は、僕がとうみに見とれている間にさっさと着替えを済ませていた。

面白いもので、僕が3回遠足に通っている間に帰りの飛行機便がどんどん遅くなっていったのに対し、参加者のそれなりの数は逆に帰りの便が早くなっていった。第一回目の遠足では21時の便だったような人も、今回は18時台です、といった具合だ。さすがに21時発だと家に到着するのが月曜日になってしまい、週明けからの仕事がグダグダになってしまうことに気づいたようだ。

一方の僕はというと、空港内の温泉施設でひとっ風呂浴びてから帰京、という段取りをとるようになったので夜遅い便へとスライドしていった。二回目の遠足からLCCを利用するようになったことも理由のひとつだ。LCCは基本、遅い時間に離発着するからだ。

身支度を済ませた人たちが、玄関先においてある鍋の前で立ち尽くしていた。何事かと思ったら、井川さんが用意してくれていたかぼちゃぜんざいだった。おお!そんなものまで用意してくれていたのか!いたれりつくせりのおもてなしに恐縮しっぱなしだ。

かぼちゃ

かぼちゃぜんざいの鍋。

ハタケで採れた無農薬かぼちゃがこうやって鍋の中に入っている。「ハタケで採れた」といっても、誰か知らない人が、知らない土地で、僕らのしらないうちに収穫したものではない。種まきからせん定、収穫まで手がけた、今我々が踏みしめている大地そのもので採れたかぼちゃだ。感慨もひとしお・・・

ひとしお?

いや、正直言って、あまり感慨はなかった。ここで「感激です!やっぱり自分で収穫した野菜はおいしいです!」なんていうのは、さすがに僕からしたら嘘くさかった。

農作業という得がたい体験ができたのは嬉しかったが、やっぱり1泊2日:3回の農作業では「総集編」を見ただけというか、エッセンスつまみ食いにすぎなかった。これでわかった気になるのは浮かれすぎだと思うし、やっぱり目の前の野菜に対して、「うおお俺たちが作った野菜!」という実感は得られなかった。常駐スタッフさんが毎日天塩にかけて育てた野菜、という印象から抜け切れなかったからだ。

「オレ、農業もやったことあるけどさぁ」と知った風に浮かれることもなかった自分にややほっとする反面、じゃあ自分がリアルに感じられることって一体なんなんだ、とぞっとしたのも事実だ。ネットのまとめサイトや口コミランキングサイトを見たりするのと一緒。「他人がまとめてくれたもの」を短時間で読んで情報を吸収する。

そういう生活が当たり前になっている自分自身、世の中って一体なんなんだろうと思わずにはいられなかった。

これは今回の遠足というフォーマットが物足りなかった、といっているわけではない。こういう場を提供してくれたマメヒコに本当に感謝している。しかし、農の片鱗を今回感じさせてもらったことで、その奥深さにうならされたし、都会における我々の食卓と畑との断絶をますます感じさせられた、ということだ。

まあ、そんなことを深く考えてもはじまらない。今回は、「うーむ」と考えるきっかけを得た、それが最大の収穫だと思えばよいのだろう。

万葉の湯

19:35
レンタカーにみんなを詰め込み、車を返却し、送迎バスで新千歳空港へ。ここでみんな解散となった。もう一泊北海道泊なんです、という人も中にはいて、そういう人はここからJRで札幌へと向かって行ったし、JALに乗るので私はこっち、とか私はANAなのであっち、と本当に見事なまでに「クモの子を散らすように」ばらばらになっていった。

僕はというと、飛行機の時間まで随分余裕があるので、空港内にある温泉施設「万葉の湯」へ行く。前回に続いて二度目の入浴となる。入館料が高いなあ、とぼやきつつも利用してしまうのだから、商売をする側としてはちょうど良い価格設定なのだろう。館内はお客がいっぱいいて、繁盛している気配。

万葉の湯の店内

入館料1,500円を払って中へ。

これだけのお金を払うのだから、休憩室で2~3時間ゴロンとしているくらいの余裕があったほうが良いのだと思う。しかし持って生まれた貧乏性ゆえに、空港のような場所にいるとついついソワソワしてしまい、土産物屋を探検したくなったりする。たとえ時間があっても、ここで長時間のんびりするのはできないと思う。

一息つく

風呂に入ってさっぱり。

値段が高い高いとは言うものの、ハタケ仕事のあとにちゃんと体を洗うことができるというのはものすごくありがたいことだ。見ろ、このすっきりした顔。つき物が落ちた顔をしていらっしゃる。ありがたや。

バスに乗る

21:58
往路同様、バニラエアで成田に戻る。飛行機の中では離陸前からすぐに居眠りをはじめたので、機内が狭いだの客層がどうだのといったコメントはなし。目が覚めたのは着陸するときだった。

移動時間は寝るだけなんだし、と思えば、LCCって最高だと思う。とにかく安い。

成田空港では当然ボーディングブリッジがないので、バスで移動。

バニラエア看板

バニラエア、いろいろ路線があるのだな。奄美大島、沖縄便もあるのか。

成田空港のバゲッジクレーム

22:03
成田空港のターンテーブル。ジェットスターとバニラエアがもっぱら使っているようだった。

この時間であれば、帰宅はぎりぎり24時を回らずに済みそうだ。

北海道のハタケ遠足三部作、これにて終了。農業体験というのを一回限りでなく、継続的にやらせてもらえたのはとてもありがたかった。北海道にハタケがあります、というのも夢があり、むしろ「行こう!」というモチベーションになった。

できれば今後も継続して参加したいところだが、やはり費用と時間がそれなりにかかるのでなかなか難しい。機会があれば、また参加したいところなのだが。



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