実りの大地【北海道ハタケ仕事3】

まだ咲いている花もある

ハタケには、まだ赤い花を咲かせている豆も残っていた。もちろんさやは未成熟で、ちびっこのさやがこれから大きくなろうとしていた。急げ!急げよ!早くしないとこの大地は急速に冷えるし、日照時間が短くなるぞ!

小さなさや

まだ未成熟なさやと豆。これ、どうするんだろうか?まだしばらく収穫できるまで時間がかかる。コイツが実るまでじっと人間様が待っているわけにもいくまい。

ブルーシートを敷く

14:15
そうこうしているうちに、D型格納庫の前に大きなブルーシートが敷かれた。宴会だ!花見だ!といっても、都会暮らしでここまで大きく陣取られたシートなんて、あまり見るものじゃない。一体何が始まるのだろう、と思っていたら、格納庫に置いてあった豆が運ばれてきた。まだ手竹に巻き付いたままのものだ。

これを一本一本、手竹から豆のつるを引き抜き、ブルーシートの真ん中に据える。これからやることはさやから種を出す事だ、という。ではどうするのか、というと・・・

棒でビシバシ叩く

14:20
棒で殴りつける。

びっくりするくらいシンプルかつ野蛮。

バシバシ殴っていると、乾燥したさやの中から豆がビックリして飛び出てくる、という寸法だ。で、後で出てきた豆とそれ以外を分別するというわけだ。

「そんなにうまくいくものかね?」

とシロウト目に見ても怪しく思えたのだが、やはりその通りで、そう簡単には豆が出てこない。なにせ、「豆殴り専用棒」でもなんでもない棒だし、地面だからだ。やみくもに茂みを殴りつけても、ふかふかした豆のつるを揺らすだけで、そう簡単には豆は出てこなかった。

棒で突く

15:01
なので、やり方としては二段階になった。「あわよくば豆が出てきてくれればいいなあ」的に、先ほどの写真のようにビシバシ地面を殴りつけ、それでも出てこなかったさやについては、棒を突き立てて個別対応でズンズン突く。いやあローテクだ。

かといって、じゃあこれのために専用の機材を買うの?というと、それは無理だ。一体いくらお金がかかることやら。玄米を白米にしてくれるコイン精米器のように、あっちこっちにあるならまだしも、「コイン式豆の選別機」が道路脇なんかにあるとは思えない。となるとやっぱり人力でやるしかない。

さすがにマメヒコのスタッフだけでこれをやるには無理があるので、そうなると我々のような「遠足でやってくる人手」というのは大事だということになる。ある意味、ハタケの種植えなんかよりもこっちの方が大事かもしれない。

作業中

格納庫にはたくさんの手竹がある。それを運んできては、つるを外す。豆だって、ただ単に手竹にもたれかかるだけで生育してきたわけじゃない。しっかりと絡みついて、我が身を固定させてきたわけだ。その数カ月間の歴史というか、生きてきた証というのを見せつけてくるのでこれはこれで大変な作業だ。

ずるっと引っ張ったら、スコーン!と抜けてくれれば手っ取り早いのだけど、そうはいかない。えいえいと引っ張らないといけない。

作業中

で、えいえいとつるをばらしているうちにどんどん山が大きくなっていった。これ、雑草狩りしたあとのゴミじゃないぞ、ちゃんとした「収穫物」だぞ。

どんどんここから豆を取り出すことができればいいのだけど、「地面ぶん殴り隊」が全然はかどっていないためにこうやって山が大きくなっていく。

この茂みばっかりが大きくなって、この日のうちにこいつを片付けられなかったら、ものすごく邪魔だ。まだ手竹に行儀良く巻き付いてくれていたほうが、あとあと楽だ。

井川さんから「いったんこの辺でとめておこうか・・・」という話も出たが、現場の指揮を任されていた僕は「折角なので全部やってしまえ」とそのままぶっこ抜きを続けていった。全部やらないと気が済まなかったからだ。

束ねる

ボトルネックになっているところに人を融通したり、されたりしながら作業は続行。結局種をさやから出すところが一番時間を要しており、それは最後まで変わらなかった。これはどうやっても時間がかかる。

ある程度殴り尽くしたところで、さやを一つ一つ確認していかないといけない。ちゃんとさやが割れて、中の豆がブルーシートに落ちているかどうか。もちろん、歩留まり率はかなり悪く、結局手作業でさやから豆を出す事がとても多かった。

こちらでもバシバシ

格納庫の中でも、別の豆を殴りつけている人たちがいた。おっと、手竹からつるを抜くのはもう全部終わったと思っていたのに、こっちではまだ沢山の手竹が残っていた。こっちはいんげん豆だったかな?忘れた。

写真を見てもわかるように、中腰になりながら棒を地面に殴りつけている。それなりの重労働だ。効率よく豆を殴りたいので、棒を水平に打ち付けたい。そうなると、こういう姿勢にならざるをえないのだった。

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