いいぞォ、山小屋はいいぞォ【仙丈ヶ岳】

06:55
山頂で一息つきながら、栄養補給をする。

山頂で何かを口にする、というのは大変大事なことだ。お腹が空いていなくても、なにか食べたほうがいい。理想は、ガスストーブを取り出して、お湯を沸かすことだ。

山の単独行だと、つい「間が保たない」からどんどん先へ先へと行ってしまう。山頂もそう。

記念写真を撮る、周囲を見渡す、息を整える・・・さて、行こうか、ってなってしまう。

山のてっぺん、というのはこの旅の目標だ。当たり前だけど、ここを目指してたくさんの時間とお金、そして体力を使ってたどり着いている。なので、一時間でも二時間でもこの空間を満喫するといい。

でも、山頂についた瞬間に、すでに次の目標が気になってしまうのだった。それは、帰り道のことであり、帰りのバスや電車の時間であり、家にたどり着く時間のことだったりする。

小学校のとき、「家に帰るまでが遠足です。」と学校の先生に言われたものだ。それを思い出す。登山だってそうで、山頂についたら終わりというわけではない。

かといって、山頂というのは案外居心地が悪いものだ。遮るものがなくカンカン照りだし、次から次へと下界から人が登ってきて、同じような行動パターンで「わー」と盛り上がっている。ずっと居られる場所じゃない。

そんな貴方のために。下界からノンアルコールビール、「ドライゼロ」の500 ml缶を持ち込んでいた。 へっへっへ、このあたりは抜かりがないですぜ。

呆れたことに昨晩の山小屋では、小屋で買った350ml の缶を飲んで、今ここでは下界から持って上がった500ml缶を飲む。我ながらバカバカしい。

では、ぐーっと。

よっしゃああああああ。山頂だぜええええええ。

喉に流し込まれる達成感。そう、僕はノンアルコールビールという飲み物を飲んでいるのではない。500グラムの液体とともに標高3,033メートルのジャーニーをやってきた実績を飲んでいるのだ。

そして、これまでは「私と、缶」という別々の関係性だったのが、こうして飲み込むことにより、血肉として一体化する。素晴らしい。

・・・とはいえ、やっぱり「だからなんなんだ?」という感じはする。やっぱり、アルコールじゃないから。

ぬるいノンアルコールビールは、大してうまいもんじゃない。烏龍茶を飲むよりも水を飲むよりも、はるかに風情はあるけれど、でも微妙な飲み物ではある。

これがもしキンキンに冷えていたらどうか?・・・きっと、エクセレントな飲み物になっていたと思う。いやそれでもまだ駄目だ、揺れているので開栓時に泡が吹き出る。ならば、ジンバルみたいに揺れを防止できる装置とセットなら?・・・最高以外の何ものでもない。

問題は、どうやって「コンパクトかつ揺れを防止しつつ、24時間以上ガッツリ保冷がきく冷蔵庫」を用意するか、だ。冷蔵庫といえば大げさだけど、350ml缶1本だけでも冷やせればいいんだよな。何か手がないものかな。ソーラーパネルで発電して駆動するとか。

07:11
完全に一息ついたところで、下山を開始する。

日差しが強くなってきたのでサングラスを着用して。

大仙丈ヶ岳は目の前まで迫ってきて、ちょっと寄り道すればすぐに行けそうに見える。

往復30分あれば行けるだろうか。

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