05:50
仙丈小屋に向けて歩いて行く。
もはや登山道の右も左も高いところはなく、高いのは正面の山のてっぺんだけ。
とても気分がいい。
仙丈ヶ岳山頂方面。
ゆるやかに蛇行しながら標高を上げていく登山道、その先にある仙丈小屋、カール、そして山頂。
早朝の、空気が澄んでいるときにここを歩けてむしろ良かった。昨日、雨が降っているうちに「急げ急げ」と視界が悪いままここを歩いても、全然面白みが足りなかったはずだ。
05:55
また仙丈小屋をバックに記念撮影。
やたらと記念撮影を撮っているのは、それだけこの光景に大感激した証拠だ。普段なら、もう少しさりげない「歩いている最中を偶然撮影された」っぽい写真を撮っていたはずだ。セルフタイマーで。
05:57
仙丈ヶ岳の西側にも、連なる山々が見える。あれが中央アルプス。
山頂に立てばもっと見晴らしよく撮影できるとは思うけど、山の天気は信用ならない。油断していると、天気が急変するということはあり得る。雨が降ることはないにしても、下界からガスがふわーっと上がってきて、遠くの山が霞むというのはあり得ることだ。
だから、後で写真が無駄になってもいいから、写真を撮れるうちに撮る。たとえアングルが不十分であっても。その精神が大事。
改めて北アルプス。しつこく撮影する。
雄大な稜線は、撮影しがいがある。
こういう形でバッチリ見たことがほとんどないので、「うおおお」と言いながらシャッターを連打。いや、動く被写体じゃないので連打する必要はないのだけれど。
北アルプスを拡大したところ。
ギザギザした穂高連峰、とんがった槍ヶ岳がよく見える。
そして、その間にガクンと稜線が落ち込んでいるところがある。あれが「大キレット」。写真のちょうど中央部分だ。
あそこを踏破したことがあるけれど、改めてこうやって遠くから眺めてみると、なんという位置エネルギーの無駄なんだ。
大キレットを登りきった左側の山が、北穂高岳。標高3,106メートル。
「その他大勢のなかの一つの山」にすぎないように見えるけれど、日本有数の3,100メートル超の山だぞ、おい。
これまで歩いてきたところを振り返った。北方面。
奥に八ヶ岳が見える。
そして、足元から続いていく稜線が「馬ノ背」だ。馬ノ背の奥に、ノコギリみたいにギザギザした稜線が見える。あそこは「鋸岳」。
修験道に使えそうな山だけど、僕が持っている地図には登山道が描かれていない。バリエーションルートとして利用する人はいるけれど、あまり一般的ではないようだ。
06:07
仙丈小屋の真下まで行ってきた。
風力発電の風車がたくさん設置されているのが分かる。
06:10
これまで登ってきた道を振り向いたところ。
馬ノ背ヒュッテ宿泊客で朝ごはんたべるよ派の中では最速に近い出発だったので、おかげで静かな山歩きができている。
この先、仙丈小屋から先は「仙丈小屋で朝ごはんをゆっくり食べたよ派」と混ざることになる。静かな山歩きはここまでだ。
それにしても、急激に標高を稼いでいてなかなか息が上がる場所。
06:11
登山道脇に塩ビパイプがニョッキリと突き出て、そこから湧き水が出ていた。
どうやらこれは仙丈小屋の水場らしい。
馬ノ背ヒュッテには、「仙丈小屋の水場は涸れた」という警告が出ていたけど、昨日降った雨のせいか、今日は水が湧いている。
山頂はすぐそこで、こんなところでも水が湧くのか!とびっくりする。もっと、降り注いだ雨はストーンと地中奥深くに染み込んでいくものだと思っていたから。
その塩ビパイプは、固定させるために角材にくくりつけられていた。
その角材をよく見ると、昔は看板だったことがわかる。
ええと、「温かい味噌汁300円」?
なんだこれ。
仙丈小屋でお味噌汁を売っているのだろうけど、看板がこんな転用をされるとは。
(つづく)
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