07:55
眼下を見下ろしたところ。
一部木々が生えていない場所があり、そこにも小さな人工建造物が見える。
おそらくあれが藪沢小屋だろう。
しつこく振り返る。
そしてしつこくこの登山記に写真を載せる。
それだけの見ごたえがあるのが、仙丈ヶ岳だ。いやあ、この迫力とこの達成感はすごい。豊かな山容を誇り、「山に次ぐ山。ハアハア」といった感じではないのが特にいい。振り向いたら、振り向いたぶんだけ、視界の右端から左端まで、仙丈ヶ岳が目を楽しませてくれる。
天気が最高のときに登れて、本当に良かった。むしろ、昨日雨が降ってくれてよかった。
もうこのあたりはこれ以上登りがない。そろそろ、小仙丈ヶ岳。
稜線から東を見たところ。
富士山って、やっぱりすげえな。
東京に住んでいると、冬になれば日常的に富士山を見ることができる。なので今更珍しいものじゃないけれど、東京から見える富士山というのはあくまでも「ビル越しの姿」だ。
でもこの富士山はどうよ。雲海ににょっきりと、孤高の存在として浮き上がっている。そしてそのシルエットの美しいことといったらない。こっちからだと、宝永火口が見えないぶん、より美しいシルエットだ。
そしてその手前には、日本第二位の高峰である北岳。最高のシチュエーションじゃねぇかこの野郎。
07:59
おっと、人のガヤガヤした声が聞こえるな、と思ったらここが小仙丈ヶ岳。山頂付近は大きめの岩がゴロゴロしている。
08:00
小仙丈ヶ岳、2,864メートル到着。
ここは本当に素晴らしい。写真を撮るなら、仙丈ヶ岳山頂よりもはるかにいい画が撮れる。
北を向けば、標識とともに甲斐駒ケ岳がバッチリ。
そして北を向けば、仙丈ヶ岳の山頂方面もバッチリだ。仲間と山登りをしたなら、ここで「これでもか!」と記念撮影をしておくといい。山頂よりもよっぽど思い出深い写真が撮れる。
しつこくて恐縮だが、本当に甲斐駒ケ岳は気になって仕方がない山だな。
深く刻まれた谷、そして立派な稜線、最後は険しい岩稜地帯。
谷の途中に仙水小屋があって、谷を登りつめたところが仙水峠2,264メートル。峠から稜線のある駒津峰2,740メートルまで一気に標高を稼ぐ。そこから痩せ尾根、白ガレの道を通り、山頂は標高2,967メートル。見ていてワクワクさせられるルートだ。
「甲斐駒ケ岳を北沢峠から登るのは軟弱。(北麓から登る)黒戸尾根ルートをピストンしてこそ至高」と以前コダマ青年に言われたことがある。確かに、標高2,032メートルからスタートする北沢峠ルートは楽をしているといえるけれど、これだけ変化に富んでいれば、ぜひ試してみたいコースだ。
いつか、あの山頂を目指すぞ。
そう誓って、いよいよ本格的な下山を開始する。ここからは、北沢峠まで急降下して一気に樹林帯だ。
(つづく)
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