
08:59
チケット売り場からロープウェイ乗り場への動線途中に、日帰り入浴施設の入口がある。登山客を一網打尽にする気満々だ。「座禅温泉」という名前らしい。
僕は「登山終わりに風呂って最高じゃないか」と思っていたのだけれど、まゆみさん・相方さんは「早く家に帰ろうよ」と言う。「家に帰って、登山の荷物を片付けて、ほっと一安心してから風呂に入ってお酒を飲むのがいいのよ」とも言う。なるほど、そういう考え方もあるのか。
お酒を飲んであとは寝るだけ、というシチュエーションから今日これからの行動を逆算していくと、下山直後に風呂に入るよりも、帰宅して一段落してからのほうがいい、というわけか。これは面白い。これまでの僕にはなかった発想だ。本当に風呂をリラックスツールとして捉えているのだろう。
一方の僕はというと、「登山口に温泉?だったら入らなくちゃ!」という「折角だから根性」に基づいている。この違いよ。

写真が小さくてほとんど見えないと思うけれど、本日の登山ルートはこんな感じ。
地図左側の丸沼高原スキー場のゲレンデをロープウェイでビューンとショートカットし、標高2,000メートルから登山開始だ。
このルートの便利な点は、登山ルートが縄ばしご状になっていることだ。山頂に向けて二本並行にルートがあり、さらにそのルートをつなぐ横の登山道がところどころある。誰か不調者が出て引き返すことになったら、諦めがつきやすい。
「諦めていま来た道を戻る」というのはなんだか悔しくて、つい無理をしがちだ。でも、ぐるっと回ってロープウェイ山頂口まで戻れる、というならば少しは気が紛れる。「森林浴をしに来たと思えばいいんだ」と割り切れるからだ。もちろん、足を捻挫したといった場合は速攻退却しないといけないけど。
この地図だとわかりにくいので、国土地理院の地図にもリンクを張っておく。
ロープウェイ山頂駅からスタートし、七色平から反時計回りのルートで山頂を目指す。これで標準コースタイムは2時間20分。
全員の体力があり、時間にも余裕があれば山頂で昼食後に反時計回りで五色沼湖畔に立ち寄り、そこから弥陀ヶ池、座禅山、賽の磧を経由してロープウェイ山頂駅に戻る。もしショートカットしたほうが良い、と山頂時点で判断されれば、五色沼立ち寄りはやめて弥陀ヶ池に下りて帰る。
そんなイメージだ。

09:05
ロープウェイ乗り場は、チケットを売っている建物とは別のところにある。一旦外に出て、乗り場を目指す。

ロープウェイ乗り場。

09:05
登山情報がホワイトボードに掲載されていたので、目を通しておく。
落石が起こりやすくなっているよ、という注意が書かれている。

09:15
ロープウェイは20分弱の乗車時間だという。けっこうな長時間だ。その分、グイグイと標高を上げていく。ほら、さっきまで見えていなかった山々の稜線がすっと木々の隙間から姿を現した。

09:15
標高が上がっていくにつれ、雲が切れてきた。よかった、曇っていたのは標高が低いところだけだったようだ。ゴンドラの行く先も、山の稜線が見えてきた。

09:22
ロープウェイ山頂駅到着。標高2,000メートル。
おお、一気に視界がひらけた。もともとはスキー場のゲレンデだから、という理由もあるけれど、そうでなくても大木の質と量が減ってきている。さすが2,000メートルオーバー地点だ。
そして正面には、これから目指す日光白根山がくっきりと見えた。あれか!
「ははは」
思わず笑ってしまう。ここまできたら、もう山頂に着いたも同然!というつもりだった。でも、案外遠いところに山はあるし、あのそびえっぷりはまだまだハードワークがこれからあるよ、という予告でもある。

ロープウェイ山頂駅はこじんまりとしている。
売店は別棟にあって、駅は駅としてのみ機能している。
ロープウェイ、といってもスキー場のゴンドラなので、バンバン他頻度で運行されているのはありがたかった。本当のロープウェイだと、「15分に1本」とか「20分に1本」といったのんびりした頻度での運行で、次の便までけっこう待たされるからだ。その点ここは、到着次第さっと乗れるのが素敵。

09:22
まだ緑が豊富にある地点だけど、すでに地面は火山由来の場所であることを物語っている。一同、登山靴の紐を締めたり、身だしなみを整えて出発の準備。
(つづく)
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