森林限界突破の恍惚【日光白根山】

15:00
泉門池(いずみやどいけ)。


日光湯元方面に向かう道と分岐している。池、というか湯川の流れがゆっくりとしている場所。

川の水面まで近寄ることができるし、ベンチも用意されていて休憩場所になっている。

そういえば湿地帯の木道だと、どこにも休む場所がない。こういうところで休んでおかないと。

あと、これは湿地帯トレッキングに限った話じゃないけれど、「あッ・・・トイレに行きたい・・・ッ!」となったときにどうしようもない。湿地のど真ん中で、急にお腹を壊したらどうする?隠れるところなんてどこにもない。

そんなことを考えただけで、ゾワゾワしてくる。

何を今更、と思う。こういう「急な便意の恐怖」というのは、稜線歩きの登山であったり、大事な会議の最中だったり、日常生活でどこにだってある。しかし、久しぶりに広大な湿地を眺め、急に「そういえばトイレって怖いよな」と思い出した次第。

池の底に沈む倒木、苔むした岩、澄んだ空気。

静かで、心地よい空間。すい、と風が吹き抜けただけで得をした気分になる。なんだか嬉しくなる。

15:03
ベンチで休憩がてら、メロンパンを食べる。

どこで買ったものだったか、今となっては覚えていない。おそらく道の駅で買ったものだと思うけど。

メロン色をしたメロンパン。

いや、「メロン色」ってなんだよ。皮は緑でも中は黄色かったりするよな、メロンって。

15:31
泉門池は湧水地でもあるようだ。水が湧き出ている様子が、水面の波でよくわかる。道理で水がとてつもなく澄んでいるわけだ。

湧水だ湧水だ、と思わずカメラを取り出して撮影する一同。

でも、実際にその湧水を撮影しても、さきほどの写真のように「たいしたことない、水面の写真」ができてしまうだけだ。やっぱり、見たまんまの驚きと興奮を写真におさめるのは難しい。

15:35
休憩後、湿原歩きを再開する。

川沿いから少しそれると、また開放的な湿原が広がる。

15:37
すきあらば、と背の高い木が己の生態系樹立に向け努力を繰り返している様子が伺える。「まだまだ!」と湿原パワーで押し返せているところ、「いやもうダメだ、土地が乾いてきたから僕もう湿原をやめて土になります」と諦め、背の高い木の侵略を許しているところがまだら模様だ。

湿原は弱い存在なので、人によって踏み固められたり、川から流れてきた土砂が堆積したりすると木が育ちはじめる。木が育ち根っこが張ってくると地盤が固まり、よりデカい木がやってくるようになる。

15:39
しかしまだまだ、このへんは湿原が頑張っている。これだけ日当たりが良いのだから、白樺あたりが「よっしゃ!一番槍だ!」と生えてきそうだけれど。

15:41
そんな湿地帯に生えているのが、ワタスゲだ。あちこちに白い綿ぼうしをのぞかせている。

なぜこのような植物に進化したのか、世の中は不思議なものだ。たんぽぽのように、種を遠くに飛ばすための仕組みではない。

このあたりはワタスゲの群生地だった。広い湿原のいたるところに、白い綿ぼうしが見える。

15:43
しかし、よくよく解説を見ると、「ワタスゲとよく似た植物でサギスゲというのがある」のだそうだ。えっ、マジで?「詐欺」!?

そういえばさっきまで「群生地だねえ」とか言いながら見ていたワタスゲ、中にはサギスゲも混じっていたような気がする。「サギスゲ」と言われると、すごく損した気持ちになる。いや、損得勘定じゃないんだけど、名前が「サギ」だもんねぇ。

(つづく)

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