千客万来の観光施設である、風祭の鈴廣。
しかし、「かまぼこ・ちくわ手作り体験教室」はいつでもどうぞ、というわけではない。そりゃそうだ、「えっ、かまぼこ作りの体験ができるの!?」と知ったら、誰もがやってみたいと思うだろう。
比較的手軽にできる「手焼きせんべい体験」でさえ要予約なのが一般的だ。ましてや、かまぼこともなれば、れっきとした「体験教室」となり、要予約となり、一日5回開催となる。
もちろん、飛び入り参加なんて無理。随分前から予約を入れておかないといけない。週末なら、なおさら。
今回僕はかなり早めに予約を入れていたので、無事体験教室に参加することができた。
どうしても、場所柄/教室の性質上「お一人様参加」というのはほとんどおらず、カップルや家族での参加となる。なので、あっという間に枠が埋まってしまうのだった。
僕らは12:10の回で申し込んであった。朝、チェックアウトしてからやたらとのんびり過ごしていたのは、この体験教室に向けた時間調整のためだ。
受付を済ませたら、ミシン目で繋がった「かまぼこ引換券」と「ちくわ引換券」を貰った。
12:10の回の場合、自分で作ったかまぼこの引き渡しは14:10~17:00、となっていた。つまり、体験教室が終わったらすぐに帰宅、というわけにはいかない。1時間以上、この施設界隈で待機する時間が必要になる。
これは、「単なる魚のすり身」を蒸して加熱調理し、「かまぼこ」に仕上げるための時間がかかるからだ。夕方まで受取時間に余裕があるので、箱根湯本や小田原を観光し、もう一度ここに戻ってきてもいい。
上エプロンを装着し、髪の毛が出ないように頭を覆い、手を入念に洗い、準備。
何せ相手は魚のすり身だ。不完全な衛生管理で食中毒でも出してしまったら、鈴廣としてはたまったものではない。
大きなまな板の上に、一人ずつ「かまぼこ・ちくわ体験セット」ともいえるものがすでに並べられていた。
魚のすり身、独特な形をした刃先がない包丁(というか、へら)、かまぼこ板、ちくわ用の棒、そしてペン。
ペンが用意されているのは、かまぼこが他の人と混ざらないように、かまぼこ板に名前と番号を書き込むためだ。
先生のお手本を見たのち、かまぼこを板に盛り付ける。
「体験教室」といっても、やることは目の前のすり身を板に盛り付けるだけのことだ。「魚をさばいてすり身を作りましょう」というところからやるわけではない。それをやりだすときりがないし、衛生上のリスクが増える。
しかし、簡単そうでこれが難しい。
綺麗に盛り付けようと思っても、なにせ相手はベタベタする練り物だ。手で触るわけにはいかないので、左手にへら、右手にかまぼこ板を持ちつつ、クネクネと手首を曲げつつ盛り上げていく。
しかし、綺麗な半円形にはならないし、表面がなだらかにならない。形を整えようとすると、練り物がへらにくっついてしまい、むしろ形が崩れる。
15分ほど格闘しただろうか、できあがったのがこれ。左が連れのもので、右が僕。明らかに僕の方ができが悪い。
「15分もかかってこの程度のことしかできないのか!」
と笑われそうだけど、これが現実。
蒸せば、もう少し形が落ち着くかな・・・と淡い期待を寄せる。
かまぼこの成形に未練を残しつつ、ちくわに移る。
ちくわは、棒を包み込む形にすれば良いので、楽だった。
敢えて「太くて短いちくわ」にして食感を強調するのも楽しいし、「細くて長いちくわ」にして、いつまでも食べ続けられる感覚に幸せを感じるのもいい。
たかがちくわだけど、人によって個性がでる。
かまぼこは1時間以上できあがりに時間がかかるのだけど、ちくわはすぐその場で焼いてくれる。
焼き鳥の焼き台みたいなところに、ちくわの棒を乗せ、あぶっている。
時々、スタッフの方がトゲのついたブラシでペシペシとちくわを叩く。なんてことをするんだ!せっかく丹念に巻き付けたのに!・・・と思ったが、ちくわってこういう作り方をするんだな。
そういえばちくわって、表面の焼き色にムラがあるし、ボコボコしているし、皮が膨れているところもある。「ちくわとはこういうものだ」と勝手に納得していたけど、よく考えると不思議な作りだ。それは、この「ブラシでペシペシ」があるからこそ、なんだな。
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