0歳児、晩秋の上高地に突入す【中の湯・明神】

小梨平にあった気温計・湿度計。

ただいまの時刻は10:23、気温は2.9度、湿度は61%。

気温が低いわりには湿度がやたらと高い。川がすぐちかくにあるからだろう。

道理で寒いわけだ、2.9度とは。東京に住んでいると、真冬でも2.9度というのは深夜早朝でもなければなかなかない気温だ。遅い時間になってノコノコと家の外に出る僕にとっては、ほぼ無縁の温度だ。

小梨平から、明神に向かう。

今日の宿は明神なので、今から急いで明神に向かう必要はない。でも、今日は一気に徳沢まで行って帰ってこようと思っているの。ここから徳沢までは片道2時間。小梨平→明神→徳沢→明神、で合計3時間の道のりだ。

上高地に滞在していると、知らず知らずと歩数が増える。とにかく、次の目的地に向かおうとすると1時間を要するからだ。で、往復すると合計2時間。この道中に険しいアップダウンがあるなら、面倒なので行きたくなくなる。でも、スルスルと歩けちゃう気持ち良い道なので、ついつい歩いちゃうのだった。

明神までの道の途中、何やらピンクのリボンがつけられた白いボールが地面に転がっていた。

なんだろう?

よく、国立公園の入口や登山口に、環境省が通行した人の数をカウントするためのセンサーを設置している。それの最新型なのだろうか?と思ったが、さすがにそうではなさそうだ。だって、こんな地面間際に設置されていたら、大股の人が通過したらカウントしそびれてしまう。

ここから明神までの道すがら、ところどころに作業着を着た人を見かけた。どうやら、オフシーズンに入ったらこの道を整備するつもりらしい。そのための下調べのために、早くも現地でいろいろな計測をしている様子だった。

なるほど、ということは先程の白くて丸い玉も、距離か、地面の傾きか、なにかを図るためのものなのだろう。

おそらく、「レーザースキャナ」の「基準球体」というものなのだろう。ネットで調べておきながら、なんのことだか全然わからないけど。なので、この球をうっかり面白半分で蹴飛ばしてこわしたりしたら大変だ。そっと横を通り過ぎなくちゃ。

猿が川でなにかをしていた。

これから寒い冬が来る。冬眠をしない猿は生きていくのが大変だ。もっと気温がひくい下界に移住しようとは思わないらしい。留守にしている間に、他のグループに縄張りを横取りされたらたまらない。

11:06
明神館にやってきた。

かなりハイペースだ。子どもを抱っこしていても、全然ペースが落ちない。なにせ、軽いから。

あと、寒いんで、自然と無口になって歩くペースが上がる。

「手づくりプリンあります」の看板。土日限定だそうだ。

軒先に2台並んでいる自動販売機は、そのうち1台が冬ごもりの準備を済ませていて使えなくなっていた。冬になると、すっかり雪が積もってしまうはずだ。板で囲っておかないと、自販機が壊れる。

「明神カフェ☆メニュー」の立て看板。

こんなわかりやすいメニューがあったっけ?と過去の記憶を振り返るが、記憶にない。そもそも、アフォガードなんてあったっけ?

あったのかもしれない。なかったのかもしれない。

頻繁に上高地を訪れている割には、案外覚えていないものだ。これくらいの「おなじみの場所だけど、忘れていることもいっぱい」感が、リピーターになるにはちょうどいい塩梅だと思う。

今日はとてもとても快晴。明神岳もよく見える。

今年こそ、どのギザギザが明神岳のどの峰になるのか同定してやろう、と意気込んだが、やっぱり無理だった。

僕が実際に見えている画角と、この解説図に画かれている画角が違いすぎる。絵の方が、かなりの広角だ。

家に帰ってGoogleマップの航空写真で同定しようと試みてみたが、明神岳というのは前穂高岳に繋がる尾根の一部で、余計難しかった。

こうやって明神から見上げると、見事なギザギザ山なのに、航空写真だとその立体感がよくわからない。

明神橋をわたって、カフェ・ド・コイショを目指す。

このあたりは観光客が多い。しかし、暖かい季節と違い、服装がしっかりしている人が多い。それはジャンパーなどを羽織っているだけでなく、山用のザックを背負っている人の多さからもうかがえる。

(つづく)

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