0歳児、晩秋の上高地に突入す【中の湯・明神】

2021年10月30日(土) 2日目

07:50
2日目の朝。気持ちが良い天気。

温泉旅館の朝はいつも心地よく起きられる。たぶん、しこたま風呂に入り、心底体が疲れるからだろう。

日常生活なら、「こんなに朝ご飯はいらないよ」と思える量でも、宿の朝ご飯はどんどん、スルスルと胃袋に収まる。

豆乳を煮詰めている鍋が嬉しい。

さっと表面をすくい上げれば湯葉、全体が固まるまで待てば豆腐だ。

09:00
宿の前から見た、奥穂高岳(左)、前穂高岳(右)。昨日よりも今日の方が景色が良い。

これから宿の送迎バスに乗せてもらい、上高地バスターミナルを目指す。

釜トンネルから先、上高地までの間は許可車両だけしか入ることができない。そんな中に、中の湯温泉旅館のバスは入ることができる。これだけでも宿泊しているお客さんにとってのメリットは計り知れない。

しかも、「上高地を軽く散策して、その後松本に戻りたいんです」という人ならば、昼頃にバスターミナルにまたお迎えの車がやってきて、それから松本まで送り届けてくれる。至れり尽くせりの送迎だ。

僕らは今日、明神で一泊する。なので、この至れり尽くせりな送迎を利用することはできない。

09:34
上高地バスターミナル到着。

アルピコ交通の白いバスが並ぶ。観光バスの数は少ない。もう11月間近、ということで団体ツアー客はあまり訪れなくなったのだろう。

しかしどうだ、カラマツが見事に黄色く染まっている。これは美しい。空気は澄んでいるし、寒ささえ気にしなければ最高の季節だ。

僕らは頻繁に上高地を訪れている。

2019年5月、7月、11月。
2020年9月。
そして今年、2021年10月。

コロナになってからも2020年9月に上高地を訪れているので、「ああ、コロナのせいで上高地がこんなに変わっちゃった・・・」と今更驚くことはない。

でも、コロナによる人流の低下が1年を超えてきて、少しずついろいろなものが変わってきている。

バスターミナルすぐちかくにある河童焼きのお店。

昔からあるお店だけど、ソフトクリームや豚汁って売っていたっけ?記憶にない。新しい商売を始めたのだろうか。

その時は「お店も経営を維持するために大変なんだろうな、新商品の投入でなんとか客足を食い止めているんだろう」と勝手に結論付けていたんだが、昔の写真をひっくり返してみてその考えが間違っていることに気がついた。

河童焼きのお店で豚汁やソフトクリームを売っていなかったのは事実だけど、すぐとなりのそばおやきのお店で売っていたのだった。で、そのそばおやきのお店は現在シャッターが閉まって営業をしていない。お店の営業を中止している間、隣のお店で売ることにしたらしい。

09:46
上高地の森を歩くのは本当に気持ちが良い。平坦だし。

河童橋と、岳沢。そして奥穂高岳。

抱っこされている弊息子タケに、「お前の名前の由来はこの岳沢だぞ?」と何度も何度も教えて聞かせる。

我が子が生まれる前に夫婦で訪れたこの地を、今回我が子を帯同して再訪できたことは本当に感慨深い。しかも彼がおそらく一生背負うことになる名前の由来の場所だし。

「よかったなタケ、河童とかいう名前にならなくて」

梓川の川沿いはカラマツが黄色く色づいていて本当に美しい。そして奥に見える焼岳は早くも雪を纏っている。

ただいまの時刻は10:05。この時間になっても、まだ河原には日が差し込んでいない。10月末ともなると、太陽の位置が随分と低くなるからだ。なので、河原に立つと寒い。

五千尺ホテル上高地の売店に立ち寄ってみる。

既に売り物は徐々に減らしてきているようだ。商品を平積みする場所が空白になっている。

上高地の閉山日は毎年11月15日だ。その日まで上高地観光は可能だけど、実際は11月3日の文化の日で各種施設は営業を終えてしまう。それを思えば、本日が10月30日なので、閉山間際のギリギリの時期、ということになる。

売れ残ったら困るので、在庫を絞るのは当然。むしろこの時期でも在庫を用意してくれていることがありがたい。

五千尺ホテルはオリジナルのお菓子をたくさん作って売っている。さすがにこのホテル内で製造しているのではなく、下界で作ったものを上高地に運び込んでいるのだとは思う。

いしはここのお菓子がお気に入りで、なにを買おうかと商品棚の前でウキウキだ。

フィナンシェやスティックケーキといったお手頃サイズのお菓子がいろいろ売られている。「せっかくだからあれも、これも」となってしまいがちだ。ちなみにフィナンシェは1個180円。

以前、ここの「信州りんごのパウンドケーキ」を買って食べて美味しかった記憶がある。ただしお値段は2,100円。ちょっと「エイッ」と気合をいれないと買えない値段だけど、満足感がある食べ物だった。

今回は「栗のパウンドケーキ」を発見。「この値段なら買えるかな?」とこちらを挑発するように、3,240円という値段を提示してきた。すまん、さすがにその値段は厳しい。

いしが「高いけど、栗のパウンドケーキを食べてみたい!」と言うなら買ってもいいと思った。しかし彼女は先程のマドレーヌ類をあれこれ買って満足したので、このデカいケーキを買いたいとは言わなかった。

そもそも、今晩泊まる宿は「山のひだや」だ。僕らが愛してやまない「カフェ・ド・コイショ」が併設されている宿で、ここでケーキやら焼き菓子が食べられるはずだ。それが今回の旅の目的なのだから、ここであれこれ買わなくても大丈夫だ。

(つづく)

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