0歳児、晩秋の上高地に突入す【中の湯・明神】

16:12
じゃーん。中の湯温泉。日本秘湯を守る会、会員宿のひとつ。

2019年秋、僕らが結婚する直前に訪れた場所。1回限りの宿泊だと思っていたけど、わずか2年後に再訪、しかも子どもを連れての再訪なのだから人生どうなるかわからない。

なので僕ら二人、この宿の入口を見るだけでも感慨深い。

本当なら2020年にいしはアフリカに長期赴任する予定だった。それがコロナの流行によって中止となり、そして今の生活と弊息子タケがいる。

中の湯温泉旅館のチェックイン手続きは、フロントではなくロビーのソファで行われる。宿帳をここで書く。

「おっ」と思ったのは、長いソファの真ん中に「ここは座るな」という意味のカードが置いてあることだ。

本来なら三人座ることができるソファだけど、二人だけしか座っちゃだめよ、というわけだ。

赤の他人が肩を寄せ合って座ることはありえない。並んで座るとしたら仲間や家族だ。だから、着座禁止にする意味はない気がする。・・・が、こういうことを「やっていること」が2021年当時はあらゆる施設で求められていた。なんとなくの雰囲気として。

また、ソファの前に設置されているローテーブルには、毎度おなじみアクリル板のパーティションが置いてあった。人が座っている位置からずいぶんと離れているが、このパーティションにどれほど効果があるのか、謎だ。

でも、「合理的ではない」「効果は謎」と思いながらも施設の人は設置しなくちゃいけないし、毎日拭き掃除の手間が増えて大変だった。そんな時代。

フロントには透明ビニールカーテンが吊り下がっている。

コロナ禍を知らない世代が今後現れたときに備えて、こういう写真も参考資料として残しておこう。

この宿が飛沫感染に対してビビりすぎているわけではなく、当時はコンビニのレジにしろ何にしろ、接客を伴うカウンターにおける数多くが、この手のカーテンが採用されていた。で、当然お互いの声が聞き取りにくいものだから、「は?」「え?」と聞き返すことが頻発し、快適ではない空間となっていた。

「お支払いはどうなさいますか?」「iDで」「edyですね?」「違う、iD」

といったやりとりは日常茶飯事だ。まあ、このやりとりはカーテンがあってもなくても繰り広げられる、紛らわしい言葉だが。

中の湯温泉旅館の館内図。

僕の大好物。迷路みたいだし、増改築の歴史や、建物が建っている土地の高低差や制約が伺えて面白い。

宿の部屋で見るだけでなく、こうやって写真を撮って、改めて家で見返すのも面白い。

この宿は安房トンネル工事に伴って、これまで釜トンネル近くにあった建物を安房トンネル中腹に引っ越ししている。なので増改築を繰り返すことなく、建物全部が新しい。

だから、謎の開かずの部屋があったりすることはないのだが、宿としては使われていない、無色の部屋がいくつもある。これはなんだろう・・・と思ったら、どうやら従業員部屋らしい。従業員部屋まで館内案内図に載せているというのは面白い。その素直さは大好き。

僕らの部屋。穂高109号室。

「109号室」というから一応1階という扱いなのだが、フロントからエレベーターに乗って2フロア分上に上がったところに部屋がある。

なお、フロントも1階だ。この建物は1階が縦に長い。

窓の外の景色。

10月末ともなると、落葉樹はすっかり葉を落としてしまっている。

雑木林には白樺の木が混じり、ここが標高が高いことがうかがえる。そりゃそうだ、外は寒い。

弊息子タケをおもちゃで遊ばせる。

ご機嫌で何より。

寒暖の差で風邪を引かないように願うばかりだ。それが一番の心配事だが、次に心配なのがウンチをブリブリとやって、オムツを貫通して畳や布団を汚すことだ。いつも以上にこまめにオムツの状況は確認しなければならない。

なにせ、ヤツのウンチはまだ硬さが足りない。液状なので、量が多いとオムツを突破してくる可能性がある。

「卜伝の湯」が土砂崩れで入浴できません、という注意書きがあった。はい、承知しております。

良いお湯だし、ここに入るというのは得難い体験だ。しかし、送迎バスで松本からこの宿にたどり着くのが16時過ぎで、夕食が18時で、翌朝はやく上高地に向かう・・・となると、その行程の中に卜伝の湯入浴を挟むのがかなり大変だ。慌ただしい。

せっかくの温泉なんだし、ゆっくりしたいよね・・・と思えば、卜伝の湯が使えないのも「まあ、しょうがないか」とあきらめが付く。

子ども向けの注意書き。違うか、子どもがいる親に対する注意書き。

「決して運動会をしないようご注意願います」と書いてある。

わざわざ「決して」と強い口調で書いてあるので、昔何か問題がおきたことがうかがえる。

我が家は大丈夫。まだハイハイすらまともにできない年齢だから。運動会のしようがない。

おねしょは彼の人生で殆ど経験がないのだが、フロントに「おねしょシーツ」の用意があるということなので後で借りてくることにした。

子どもの宿泊料金は無料なのだけど、わざわざ子ども用の小さな浴衣が用意されていた。ありがたく着用させてもらう。とはいえ、まだ身長70センチ程度の弊息子タケにとっては、これでもまだ浴衣が大きい。

でもそれが親からするとかわいい。「眼福だなあ」と言いながら写真を撮る。

料理長おすすめの追加料理、としていろいろメニューがあった。

岩魚の活造りがあるのか!それはすごい、と思ったが、注文はやめておいた。標準装備の夕食だけでも十分満足できるから。

(つづく)

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