褒美の希望は島流し【のっとれ!松代城2014】

まつしろ駅への道中

会場にいれば、夜遅くまでずっといろいろなイベントが繰り広げられるらしい。みこしが練り歩いたり、花火があがったり、かがり火が焚かれたり。「のっとれ!松代城」がらみでも、「越後松代幕府出陣式」が行われるらしい。

「折角だから、『越後まつだい冬の陣』を徹底して楽しみたい!」という気持ちは強かったのだが、夜遅くまで続くイベントに付き合ってはいられなかった。何しろ僕ら、松之山温泉で一泊だから。温泉旅館に泊まるとなると、それはそれで風呂に入ったり宿メシにワクワクしたり、忙しいものだ。特に、「夕食前にまったりするひととき」が最高の贅沢だと感じるお年頃になってきたので、チェックイン可能な時間を過ぎるとどうしてもソワソワしてしまう。早く宿に向かわなくちゃ、と。

そんなわけで、16時頃には会場を後にした。

本当は、会場付近で良い宿があればそこにしたかった。でも松代という場所柄、そういうイベントに好都合な宿はほとんど存在しなかった。そのかわりに、車で20分ほど行ったところに天下の名湯「松之山温泉」があるのだから、そりゃあもう松之山に泊まるしか、ない。

松代から松之山温泉へは、一応バスが走ってはいる。しかし、便数が多いわけでなはいので、こちらの都合やら温泉の湯加減やらなにやら好都合なダイヤにはなっていない。宿によっては宿泊客の送迎をマイクロバスでやってくれるのだが、僕らが泊まる宿はお値段が安く、そこまでのサービスはなかった。なので、自己解決でタクシーを利用するしかない。

タクシーを捕まえるため、まつだい駅まで歩いて行くことにした。まつだい駅の表玄関側がどうなっているのか、見てみたいという気持ちもあったからだ。

道中、左手に見える山の上に建物が見える、ということに気がついた。

松代城らしきものが見えた

あー。

おそらくあれが「松代城」だ。

山のてっぺんに建っていて、明らかに不便なので民家じゃあるまい。地図で確認してみたが、おそらく間違いない。うわあ、あそこに明日は登れってか。結構山の傾斜、きつぞ。

「あの斜面を登れっていうならしんどいぞ?」
「うわあ」

お互い、顔を見合わせる。何しろこの雪だ。

「やっぱり、先頭を走るのはよくないっすね。雪をかきわけていかないといけなくなる。後ろからチンタラ付いていった方が楽ですよ絶対」

よこさんが言うのはごもっともだが、あのお城直下まで僕らが先頭を走っている、ということが果たしてあり得るのだろうか。いや、無いなそれは。そもそも、「走る」という気が二人揃ってさらさらないから。だから、「新雪を気にして、先頭を走るのはやめよう」というこの会話は、限りなく意味がない。

まつしろ駅

まつだい駅に到着。

「え?これが駅?」

と素っ頓狂な声を上げてしまったくらい、結構立派な建物だ。我々が先ほど利用した改札側とは大違いで、なんと三階建てだ。駅の前は広い駐車場があり、さすがに除雪が徹底されている。おおお、なんだかすごいな。

それもそのはず、ここは「北越急行・まつだい駅」であると同時に、「道の駅・まつだいふるさと会館」でもあった。えええ、鉄道と道の駅が共存してるってこと、あるのか。

うーん、なモニュメント

駅前には、巨大な石碑が建っていた。「まつだい駅 ほくほく線発祥の地」と彫られている。新潟県知事の名前とともに。こうやって時の権力者の名前を誇示する碑文ってよく見かけるけど、名誉欲に目がくらんだ馬鹿の見本として後世に名を残している、という意識はないのかな?ないんだろうなやっぱり。僕はこういうのを見るにつけ、「あーあ」と憐憫の目で見てしまう。神社仏閣で、多額の寄進をした人の名前が参道脇に彫られたりするけど、あれとは訳が違うからな。あっちは私費だけど、こういう石碑は税金だ。

それはともかく、ほくほく線の中間駅であるこのまつだいがなんで「発祥の地」なのか。そっちの方が気になる。石碑の裏にはいわれが書いてあるので読み解いてみると、ほくほく線の必要性を説いて、建設運動を行ったのがこの松代の人だった、ということだ。運動を開始したのは1931年(昭和6年)だというから、完成するまで半世紀以上かかったということになる。雪深くて冬は自動車が役に立たないので、雪に強い鉄道を、というのがそもそもの発端だったらしい。

そういう歴史が学べたので、この石碑は良かったと思う。ただし、県知事の名前さえなけばもっと気持ちよかったのに。こういうの、誰が言い出すんだろうね。県知事自らが「おい、俺の名前を書いた石碑を建てさせろ」とはいわないだろうから、下々の役人さんが「気を利かせて」ご提案するんだろうか?

まつだい駅構内
いろりもある

中に入ってみてびっくり。うおお、広いぜ。いろいろお店があるぜ。

「道の駅」を名乗っているだけあって、地元の名産品を売る売店はあるし、観光案内所もあるし、いろいろ整備されていた。二階には22時まで開いているレストランもあって、電車通勤をしている地元民の居酒屋としても機能しているとかなんとか。いやでも、駅から家までどうやって帰るんだろう。家の人に迎えに来てもらうのかな。

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